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東京司法書士会債務整理事件に関する規則が改正。司法書士はどんな心構えで債務整理に向き合うのか

2026-10-05

はじめに

令和8年5月16日に開催された東京司法書士会の定時総会で、「東京司法書士会債務整理事件に関する規範規則」は「東京司法書士会債務整理事件に関する規則(以下、本規則)」へ名称変更され、内容も大幅に改正されました。新しい本規則は同年9月1日から施行されました。

司法書士会の内部規則と聞くと、一般の方には縁遠い話に思えるかもしれません。しかし、債務整理を司法書士に相談しようとするとき、多くの方が「本当に任せて大丈夫だろうか」「高額な費用を請求されないだろうか」といった不安を抱えています。

今回の改正は、まさにその不安を取り除き、依頼者の生活再建を最優先にするためのルールを明確化したものです。

債務整理は生活再建のための支援

本規則の目的は、司法書士による債務整理が依頼者の生活再建に直結する重要な業務であることを踏まえ、不適切な事件処理や不当な高額報酬を防止し、依頼者の権利を守ることにあります。

債務整理は単に借金を減らす手続ではありません。家計の立て直し、生活保護や公的支援の活用、精神的ケアが必要な場合もあります。司法書士は、必要に応じて行政機関と連携しながら、依頼者の生活再建を支える姿勢が求められています。

依頼者と必ず面談し、状況を丁寧に把握する

今回の改正で特に強調されているのが、司法書士本人が依頼者と直接面談し、生活状況や債務内容を丁寧に聴き取る義務です。

債務整理を希望する方の多くは、精神的にも追い詰められ、冷静な判断が難しい状況にあります。表情や声の調子、持参した書類など、対面でなければ把握できない情報は多く、これらを踏まえて初めて適切な方針を立てることができます。

手続の内容・費用・不利益をわかりやすく説明

司法書士は、

  • どの手続を選ぶべきか
  • どんな結果が予想されるか
  • 費用はいくらか
  • 手続によって生じる不利益(信用情報への登録など)

を、依頼者が理解できるよう丁寧に説明する義務があります。

また、報酬の上限も明確に定められました。任意整理では債権者1人あたり5万円まで、ヤミ金対応では1人あたり3万円までなど、依頼者が不当に高額な費用を負担することがないよう厳格なルールが設けられています。

事件処理の途中でも重要な変更は面談で

返済計画の大幅な変更や、破産・再生への方針転換など、依頼者の人生に影響する重大な局面では、電話やメールだけで処理することは禁止されています。必ず司法書士本人が面談し、状況を説明し、依頼者の理解を確認したうえで進めることが義務付けられています。

事件終了後も生活再建を支援

債務整理は手続が終われば終わりではありません。返済の継続、家計管理、再度の負債を防ぐための助言など、依頼者が安定した生活を取り戻すまで支援する姿勢が求められています。

まとめ:司法書士は依頼者の生活を守る専門家

今回の規則改正は、司法書士が債務整理に取り組む際の姿勢をより明確にし、依頼者が安心して相談できる環境を整えるためのものです。

債務整理を考えている方は、「相談したら怒られるのではないか」「こんな状況を話すのが恥ずかしい」と感じるかもしれません。しかし、司法書士はあなたの生活再建を支えるために、丁寧に話を聴き、わかりやすく説明し、適正な費用で、あなたの未来を一緒に考える専門家です。

もし借金で悩んでいるなら、今回の規則改正は安心して相談してほしいという司法書士会からのメッセージでもあります。あなたの生活を立て直すための第一歩として、ぜひ専門家に相談してみてください。

検索用情報に「国籍等」が追加されます

2026-09-28

令和8年10月5日施行・不動産登記規則改正の要点

令和8年10月5日、不動産登記規則の一部改正により、検索用情報に新たに「国籍等」が追加されます。令和8年9月4日付の法務省民事局長通達および質疑事項集により、具体的な運用が示されています。

国籍等追加の目的

今回の改正は、次の二つの観点から国籍情報を把握する必要性があるとされています。

国土の適切な利用・管理

外国人による不動産保有の実態把握のため、国籍情報は基礎的なデータとなります。

相続登記の準拠法判断

所有権登記名義人が死亡した場合、相続に適用される準拠法は法の適用に関する通則法第36条によりその者の国籍で決まります。国籍が不明であると、相続登記の相談・申請時に準拠法の確認に時間を要し、手続の円滑な実施に支障が生じます。

検索用情報の構成

令和7年4月21日施行の改正で、検索用情報は次の5項目が定められました。

1.氏名
2.氏名の振り仮名(外国籍の場合はローマ字表音)
3.住所
4.生年月日
5.メールアドレス

今回の改正で、これらに 6.国籍等 が追加されます。

国籍等の申出と添付情報

日本国籍を申出る場合

質疑事項集問15により、住民票の写しに本籍欄が表示されていれば、内容が「省略」であっても日本国籍と判断して差し支えないとされています。また、問17では、法定相続情報一覧図の写しを国籍等の証明として提供しても差し支えないとされています。

住民票コードが提供され、住基ネット情報から日本国籍を把握できる場合は、別途資料の提出は不要です(問16)。

外国籍を申出る場合

通達では、次の資料が例示されています。

  • 国籍欄のある住民票
  • 旅券(有効期限内)
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書
  • 外国人登録原票記載事項証明書

旅券等の写しを提出する場合は、申出人が「原本と相違ない」旨を証明すれば足り、原本還付手続は不要です。ただし、有効期限切れの旅券は利用できません。

検索用情報の取扱い(重要)

登記事項証明書や登記情報提供サービスで国籍が表示されることはありません。検索用情報として記録された国籍等は、登記所内部で保有される情報であり、不動産登記法に基づく公開対象ではありません。

これらの情報は、不動産ベース・レジストリを通じた行政機関間の情報連携に活用される見込みとされています。

実務上のポイント

日本国籍者

  • 本籍欄が表示された住民票で足りる
  • 法定相続情報一覧図の写しでも足りる
  • 住民票コードで確認できれば添付不要

→ 追加負担はほぼなし

外国籍者

  • 国籍確認資料の収集が必要
  • 旅券等の写しには原本証明が必要
  • 有効期限切れ旅券は不可

→ 案件初期段階での案内が重要

まとめ

国籍等の追加は、国土管理と相続登記の準拠法判断の双方に資する制度改正です。日本国籍者の実務負担は小さい一方、外国籍者の場合は資料確認が重要となります。通達および質疑事項集の内容を踏まえ、適切な案内と書類確認を行うことが求められます。

自筆証書遺言の訂正はどう行う?方式違反で無効にならないためのポイントを解説

2026-09-24

はじめに

遺言は、遺言者の最終意思を実現するための重要な法律行為です。しかし、遺言は要式行為とされており、民法に定められた方式に従わなければ効力を生じません。方式の不備があると、遺言が無効となる可能性があるため、作成時には細心の注意が必要です。

遺言の方式には普通方式と特別方式があり、普通方式には

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

の3種類があります。
今回は、このうち自筆証書遺言の訂正方法に焦点を当て、一般の方にも分かりやすく解説します。

自筆証書遺言の基本要件

2026年9月時点のものです。

令和8年6月17日に「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)が成立し、同月24日に公布されました。

成年後見・遺言制度について根本的な見直しが行われており、自筆証書遺言の方式要件であった「押印」の廃止、電磁的記録等による新たな遺言制度(保管証書遺言)の創設等が遺言制度に関する主な改正点として挙げられます。施行日は未定ですが、判明次第、別の記事で解説する予定です。

 

自筆証書遺言は、遺言者が

  • 全文
  • 日付
  • 氏名

を自書し、押印することで成立します。

この4つの要件のいずれかが欠けると、遺言は無効となります。ただし、平成30年の民法改正により、例外として財産目録は自書でなくてもよいことになりました。

例えば、パソコンで作成した財産一覧や、通帳のコピーを添付することも可能です。その場合、遺言者は財産目録の各ページに署名押印をする必要があります。

訂正したいときはどうする?──民法968条3項の方式

自筆証書遺言を作成した後、「書き間違えた」「内容を修正したい」という場面は珍しくありません。しかし、訂正にも厳格な方式が定められています。民法968条3項(旧968条2項)によれば、自筆証書遺言の加除訂正は次の方式によらなければなりません。

訂正の方式(要件)

1.訂正する場所を指示すること
 例:文末等に「○行目」などと記載する
2.変更した旨を付記すること
 例:「○字削除○字追加」など
3.その付記部分に署名すること
4.訂正した箇所に押印すること

この方式を欠くと、原則として訂正は無効となり、訂正前の記載が有効と扱われます。

例外:明らかな誤記の訂正は方式違反でも無効にならない

訂正方式を厳格に守らなければならないとすると、遺言者の真意が明らかであるにもかかわらず、形式的な不備だけで遺言が無効になるという不合理が生じます。この点について、最高裁昭和56年12月18日判決は重要な判断を示しています。

判決のポイント

  • 明らかな誤記の訂正であれば、訂正方式に違反していても遺言の効力に影響しない
  • なぜなら、誤記の訂正は遺言者の意思を確認するうえで支障がないため

この判決では、遺言者が書き損じた文字を抹消し、同じ趣旨の文字を改めて記載した事案が扱われました。証書の記載から誤記であることが明らかであったため、訂正方式の不備があっても遺言は有効と判断されています。

判例の位置づけ──危急時遺言の訂正方式を参照した理由

この最高裁判決が興味深いのは、自筆証書遺言の訂正方式を論じるにあたり、危急時遺言の訂正に関する過去の判例(昭和47年3月17日判決)を引用している点です。危急時遺言は、病気や事故などで死が迫っている状況で行われる特別方式の遺言ですが、民法982条により、普通方式の遺言に関する規定が準用されます。

裁判所は当然この前提を理解したうえで、危急時遺言の判例を参照し、次のような共通原理を導いています。

  • 訂正方式の趣旨は、遺言者の真意を確保することにある
  • 明らかな誤記の訂正であれば、方式違反があっても遺言者の意思確認に支障がない

つまり、危急時遺言の判例は訂正方式の趣旨を示すものとして引用されており、そこから導かれる原理が自筆証書遺言にも妥当すると判断されたわけです。

まとめ:訂正方式は厳格、ただし誤記の訂正は柔軟に扱われる

自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、方式違反による無効リスクが高いという特徴があります。訂正を行う際には、民法968条3項の方式を確実に守ることが重要です。
しかし、最高裁判例が示すように、

  • 遺言者の意思が明らかであること
  • 訂正が単なる誤記の修正にすぎないこと

が認められる場合には、訂正方式の不備があっても遺言が無効になることはありません。形式的な不備によって遺言者の最終意思が実現できなくなることを避けるため、判例は柔軟な解釈を示しています。

とはいえ、訂正方式は一般の方には分かりづらく、誤りが生じやすい部分です。自筆証書遺言を作成・訂正する際には、専門家に相談することで、遺言の有効性を確実に担保することができます。

会社代表者住所非表示措置の適用範囲拡大について

2026-09-14

令和6年改正で制度化された仕組みが、令和8年改正で大きく広がります

会社の代表者の住所を登記事項証明書などに表示しない住所非表示措置は、令和6年10月1日に施行された商業登記規則の改正により新設された制度です。商業登記規則第31条の3において、株式会社の代表取締役・代表執行役・代表清算人について、住所のうち都道府県・市区町村以外の部分を非表示とする仕組みが規定されました。

法務省は、この制度を安心して起業できる環境整備と代表者のプライバシー保護を目的とするものと位置付けています。代表者の住所が広く公開されることによるストーカー被害や嫌がらせのリスクを軽減し、起業の心理的ハードルを下げることが期待されています。

令和6年改正で制度そのものはすでに整備されましたが、今回公表された令和8年の省令案では、この制度の適用範囲が大きく拡大されることが示されています。

今回の省令案のポイント

今回の改正案は、制度の新設ではなく、既存の第31条の3を他の法人にも準用するための拡大改正です。主なポイントは次のとおりです。

① 対象となる会社の拡大
これまで株式会社のみが対象でしたが、今後は合同会社などを含むすべての会社に適用されます。

② 非表示措置の対象者の拡大
代表者(代表取締役・代表執行役・代表清算人)に加え、支配人も対象になります。

③ 法人の種類の拡大
次のような会社以外の法人にも、代表者住所非表示措置が準用されます。

  • 一般社団法人・一般財団法人
  • 特定目的会社
  • 投資法人
  • 投資事業有限責任組合
  • 有限責任事業組合
  • その他各種法人等登記規則の対象法人

これにより、制度は株式会社の代表者のプライバシー保護から、幅広い法人の代表者のプライバシー保護へと大きく拡大します。

制度趣旨

法務省は、代表者住所の公開がもたらすリスクを次のように整理しています。

  • 代表者個人への嫌がらせ・ストーカー被害
  • 自宅住所の公開による心理的負担
  • 起業をためらう要因となる可能性

これらを踏まえ、代表者の住所のうち行政区画以外を非表示とすることで、プライバシー保護と起業環境の改善を図ることが制度趣旨とされています。

司法書士として感じる制度上の課題

制度趣旨には賛同しつつも、実務上は次のような課題があると考えています。これらは東京司法書士会が提出した意見書でも指摘されており、私自身も概ね同じ問題意識を持っています。

申出できるタイミングが限定されている

非表示措置は、代表者住所が登記されるタイミングでしか申出できません。任期のない法人では、申出の機会が長期間訪れない可能性があります。

非表示措置に期間制限がない

DV被害者の住所非表示には3年の期間制限がありますが、代表者住所非表示には期間制限がありません。代表者が長期間変わらない法人では、住所が半永久的に非表示となり、利害関係人が住所を確認できなくなるおそれがあります。

取引の安全性への影響

代表者住所が証明書で確認できないため、金融機関や取引先が追加資料を求めるケースが増えています。マネロン対策の観点でも、代表者住所の確認は重要です。

消費者被害への対応の遅れ

悪質商法などの被害が発生した際、代表者住所が確認しづらいと、迅速な対応が難しくなります。

改正後に求められる仕組み

制度の対象が広がることで、プライバシー保護のメリットは確かに大きくなります。しかし、取引の安全性や消費者保護の観点からは、次のような仕組みが求められます。

  • 必要な場合に代表者住所を確認できる制度の整備
  • オンラインで住所確認ができる仕組みの新設
  • 本店所在地の実在性確認の強化(転送不要郵便など)

制度の趣旨を活かしつつ、実務に支障が出ないようなバランスの取れた運用が求められます。

まとめ

代表者住所非表示措置は、令和6年改正で制度化された新しい仕組みです。今回の令和8年省令案は、この制度をより広い法人に適用するための拡大改正であり、代表者のプライバシー保護を一層強化するものです。

一方で、取引の安全性や消費者保護の観点からは、住所確認のための新たな仕組みづくりが不可欠です。制度の趣旨と実務のバランスをどのように取るかが、今後の運用における重要な課題となります。

日銀の利上げ観測高まる、難しい選択を求められる理由とは

2026-09-07

はじめに

2026年9月2日、日銀の高田審議委員が会見で追加利上げの可能性に言及したことで、市場では日銀の利上げ観測が一段と強まっている。日本経済は今、金融政策の正常化を進めるべきか、それとも慎重に様子を見るべきか、極めて難しい判断を迫られている。

その背景には、日本が利上げを進め過ぎれば景気を冷やすリスクと利上げを遅らせれば円安・物価高が長期化するリスクの双方を抱える、繊細な局面にあるという現実がある。

利上げを急ぎ過ぎれば景気を冷やす

日本では長くゼロ金利・マイナス金利が続き、企業も家計も低金利を前提に行動してきた。急な利上げは住宅ローンや企業の借入負担を増やし、設備投資や消費を抑える可能性がある。特に中小企業は資金調達の選択肢が限られ、金利上昇の影響を受けやすい。

景気が弱れば賃上げの勢いも鈍り、せっかく芽生え始めた賃金と物価の好循環が途切れる恐れがある。金融正常化は必要だが、急ぎ過ぎれば景気の腰折れを招くという懸念は根強い。

利上げを遅らせれば円安・物価高が長期化

一方で、利上げを遅らせれば円安が続き、輸入品の価格上昇を通じて家計負担が増す。日本は食料・エネルギーの多くを海外に依存しているため、円安は生活必需品の価格に直結する。

名目賃金が上がっても、物価上昇がそれを上回れば実質所得は改善しない。円安が長期化すれば、家計の購買力が削られ、消費の回復が遅れる可能性がある。

米国の金融政策が日本に与える圧力

さらに、今回の局面を難しくしているのが米国の金融政策だ。2026年8月28日、米FRBのウォーシュ議長はジャクソンホール会議で講演し、インフレ率が目標の2%へ十分な速度で低下しなければ、追加の金融引き締めが必要になる可能性を示した。

労働市場や景気の底堅さを認めつつも、インフレへの警戒姿勢を崩していない。この発言は市場でタカ派的メッセージと受け止められ、米国の短期金利は上昇。為替市場ではドル買いが優勢となり、円は一時160円台まで下落した。

つまり、米国が利上げを続ければ、日米金利差は縮小どころか拡大する可能性が高い。日銀が利上げをためらえば、円安圧力がさらに強まり、物価高が長期化するリスクが高まる。逆に、米国に合わせて利上げを急げば、日本の景気を冷やす可能性がある。ここに、政策判断の難しさがある。

日銀が直面する二つのリスクの狭間

日銀は物価安定という使命のもと、金融正常化を進めている。しかし、景気を冷やし過ぎても、物価高を放置しても問題が生じるため、政策運営は極めて繊細だ。

今後の焦点は、実質賃金が安定してプラスに転じるかどうかである。賃金が物価上昇に追いつき、家計の購買力が回復すれば、日銀は安心して正常化を進められる。逆に、円安や輸入インフレが続けば、利上げを遅らせることがかえって家計負担を増やす結果になりかねない。

まとめ

日本経済は今、

  • 利上げを急げば景気が冷える
  • 利上げを遅らせれば円安・物価高が続く

という二つのリスクの狭間にある。さらに、米国の金融政策が円安圧力を強める可能性もあり、日銀は極めて難しい選択を迫られている。

金融正常化は一度の利上げで終わるものではなく、数年にわたる慎重な舵取りが必要なプロセスだと言える。

監査等委員会設置会社の取締役会

2026-08-31

はじめに

本シリーズの最終回となる今回は、監査等委員会設置会社の取締役会に焦点を当てます。

監査等委員会設置会社は、監査役を置かず、監査等委員会が監査機能を担う点で特徴的ですが、取締役会の権限や運営は監査役設置会社と多くの点で共通しています。ただし、完全に同じではなく、制度固有の違いを理解しておくことが重要です。

監査等委員会設置会社の取締役会が行う職務

監査等委員会設置会社の取締役会は、会社法第362条の一般規定にかかわらず、次の職務を行います(会社法第399条の13第1項)。

業務執行の決定

取締役会は、会社の経営に関する重要事項を決定します。具体的には次のような内容です。

  • 経営の基本方針
  • 監査等委員会の職務執行に必要な法務省令事項
  • 法令・定款適合性を確保するための体制整備(内部統制システム)

これらは監査役設置会社と共通する部分が多いものの、監査等委員会の職務執行に必要な事項を取締役会が決定する点は制度固有の特徴です。

取締役の職務執行の監督

監査等委員会が監査を行うとはいえ、取締役会自身も監督機能を持ちます。

代表取締役の選定・解職

監査等委員会設置会社では、代表取締役は取締役会が選定します。指名委員会等設置会社のように代表執行役を置く制度とは異なり、監査役設置会社に近い仕組みです。

取締役会の運営の特徴

取締役会の招集・決議方法は監査役設置会社とほぼ同じですが、監査等委員会設置会社には次のような固有のルールがあります。

監査等委員による取締役会の招集

監査等委員会が選定した監査等委員は、取締役会を招集できます。監査役設置会社でも監査役が招集できる場合がありますが、監査等委員は取締役であるため、より強い権限として位置づけられています。

特別取締役による取締役会の決議

監査等委員会設置会社は、一定の要件を満たす場合、特別取締役による取締役会の決議を利用できます(会社法第373条)。

特別取締役制度の正確な理解

会社法第373条第1項は、特別取締役による取締役会で決議できる事項を次の二つに限定しています。

  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 多額の借財

特別取締役制度を利用できる要件は次のとおりです。

  • 取締役が6名以上
  • 取締役のうち1名以上が社外取締役

監査等委員会設置会社でも、上記の要件を満たし、かつ第399条の13第5項・第6項の除外事由に該当しない場合に利用できます。

重要な業務執行の決定の委任

監査等委員会設置会社の取締役会は、一定の要件を満たす場合、重要な業務執行の決定を取締役に委任できます(会社法第399条の13第5項)。

委任できる要件

委任が可能となるのは次のいずれかの場合です。

  • 取締役の過半数が社外取締役である場合
  • 業務執行の決定を委任できる旨の定款の定めがある場合

つまり、取締役全体の過半数が社外取締役でなければ委任できないという理解は誤りであり、定款の定めがあれば社外取締役の割合にかかわらず委任可能です。

特別取締役制度と委任制度の関係

会社法第373条第1項により、監査等委員会設置会社は、

  • 特別取締役による取締役会の決議
  • 重要な業務執行の決定の委任

の両方を同時に利用することはできません。どちらか一方のみを選択するか、どちらも利用しないという選択も可能です。

まとめ

監査等委員会設置会社の取締役会は、監査役設置会社と多くの点で共通しつつ、監査等委員会との役割分担を前提とした独自の仕組みを備えています。特別取締役制度や業務執行の決定の委任制度など、柔軟な意思決定を可能にする制度も整備されていますが、利用にあたっては会社法の条文構造を正確に理解することが不可欠です。

本シリーズを通じて、監査等委員会設置会社の制度全体像を体系的に整理しました。企業統治の理解を深める一助となれば幸いです。

被相続人の兄弟姉妹を代襲相続できない者とは

2026-08-24

最高裁令和6年11月12日第三小法廷判決を素材に制度の射程を考える

2026年施行の民法等改正法により、親権・養育費・親子交流など家族法の幅広い領域が見直された。その流れの中で、相続法の兄弟姉妹の代襲相続の解釈が改めて注目されることとなった。

今回取り上げる最高裁令和6年11月12日判決は、養子縁組により被相続人の兄弟姉妹となった者の縁組前の子が代襲相続人となり得るかという、制度の根本に関わる問題を扱った重要判例である。

事案の概要

被相続人の従妹が被相続人の親と養子縁組し、法律上妹となった。しかし、この従妹には縁組前から子がいた。被相続人には子がなく、兄弟姉妹も死亡していた。問題は、この子が兄弟姉妹の子として代襲相続できるかである。

民法889条2項は兄弟姉妹の子による代襲相続を認めるが、準用する887条2項ただし書は被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人とならないと規定する。兄弟姉妹の子は直系卑属ではなく傍系卑属であるため、ただし書をそのまま準用すると制度が成り立たない。ここに読み替え解釈が必要となる。

第一審(地裁)の判断

地裁は、887条2項ただし書の趣旨を養子縁組前の親子関係に基づく直系卑属を排除する規定と捉え、兄弟姉妹の子の代襲相続に準用する際には、養子縁組前の親子関係に基づく傍系卑属も排除されると読み替えるべきだとした。
理由として、

  • 兄弟姉妹の子の代襲相続は、被相続人と兄弟姉妹の血族関係を基礎とする制度である
  • 養子縁組により兄弟姉妹となった者の養子縁組前の子は、被相続人との血族関係を持たない
  • 改正経緯にも、養子縁組前の血族関係を相続に持ち込むことを避ける趣旨がある

とした。

さらに地裁は、原告らの主張する読み替え(「直系卑属でない者」→「傍系卑属でない者」)を採用した場合、

  • 養親の相続では、養子縁組前の子は代襲相続できない
  • より親等の遠い被相続人(養子の兄弟姉妹)の相続では代襲できてしまう

という制度的な不整合が生じる点を指摘し、原告らの解釈は採用できないとした。

第二審(高裁)の判断

高裁は逆に代襲相続を肯定した。
その論理は、

  • 889条2項は兄弟姉妹の子の代襲相続を認める趣旨であり、制度の実効性を確保するためには柔軟な読み替えが必要
  • 887条2項ただし書の「被相続人の直系卑属でない者」を「被相続人の傍系卑属でない者」と読み替えるべき
  • 控訴人らは被相続人の5親等の傍系卑属に当たるため、ただし書による排除を受けない

というものである。高裁は、制度の機能性を重視し、傍系卑属であること自体を代襲相続の根拠とした点が特徴的である。

最高裁の判断

最高裁は原判決を破棄し、代襲相続を否定した。最高裁の判断の核心は次のとおりである。

兄弟姉妹の代襲相続人は共通の親の直系卑属に限られる

兄弟姉妹の代襲相続は、被相続人と兄弟姉妹が共通の親を介して血族関係にあることを基礎とする制度である。したがって、代襲相続人となり得るのは、兄弟姉妹の共通の親の直系卑属に限られる。養子縁組前の子は、養親との血族関係を持たず、共通の親の直系卑属でもないため、代襲相続人にはならない。

高裁の読み替え論は採用できない

最高裁は、887条2項ただし書の趣旨と兄弟姉妹の代襲相続制度の構造から、高裁の読み替え論は条文構造に整合しないとして退けた。

なお、地裁が指摘した制度的整合性の欠如(養親の相続では代襲できないのに、より遠い親等の相続では代襲できてしまう点)について、最高裁は明示的には触れていないが、制度構造の観点から同趣旨を内包していると理解できる。

実務上の注意点

兄弟姉妹が相続人となる事案は増加

少子化により、兄弟姉妹が相続人となるケースは確実に増えている。その際、養子縁組や再婚家庭の連れ子など、家族関係が複雑化していることが多い。

代襲相続の可否は共通の親の直系卑属かで判断

今回の最高裁は、兄弟姉妹の代襲相続人は、その兄弟姉妹の共通の親の直系卑属に限るという明確な基準を示した。

登記実務では家族関係の確認がより重要に

相続登記では、

  • 養子縁組の時期
  • 養子縁組前の子の有無
  • 血族関係の有無

を丁寧に確認する必要がある。

まとめ

本判決は、兄弟姉妹の代襲相続制度の基礎にある共通の親の直系卑属という原理を明確化し、養子縁組前の子を代襲相続人とすることを否定した。高裁のように制度の機能性を重視する考え方も理解できるが、現行法の体系との整合性を踏まえると、最高裁の判断はより妥当である。

今後、複雑な家族関係が増える中で、相続実務では血族関係の確認が一層重要となるだろう。

監査等委員会設置会社の監査等委員と監査等委員会

2026-08-17

はじめに

前回の記事では、監査等委員会設置会社の機関構成と取締役の仕組みを整理しました。続編となる今回は、この制度の中核を担う監査等委員と監査等委員会について、制度の趣旨や監査役制度との違いを踏まえながら詳しく解説します。

監査等委員は取締役である

監査等委員会設置会社の最大の特徴は、監査を担う者が取締役であるという点です。監査等委員は取締役として選任されるため、取締役会の構成員となり、取締役会の議決に加わることができます。これは従来の監査役制度との根本的な違いです。

監査役は取締役ではないため、取締役会の議決に加わることはありません。監査役会設置会社では社外監査役の設置が義務づけられていますが、社外監査役は取締役会の議決に参加しないため、取締役会の議決に社外性が反映されないという批判がありました。

監査等委員会設置会社では、監査等委員の過半数を社外取締役とすることが義務であり、取締役会の議決に必ず社外性が含まれる仕組みとなっています。これが制度導入の大きな意義の一つです。

監査等委員会の職務

監査等委員会は、監査役会とは異なり、監査だけでなく取締役の選任・解任等に関する意見決定など、監督機能の一部も担います。主な職務は次のとおりです。

  • 取締役(会計参与設置会社では取締役及び会計参与)の職務執行の監査
  • 監査報告の作成
  • 会計監査人の選任・解任・再任しないことに関する議案内容の決定
  • 監査等委員でない取締役の選任・解任・辞任・報酬等に関する意見の決定

最後の項目は、指名委員会や報酬委員会を置かない監査等委員会設置会社に特有のもので、監査等委員会が経営陣の選任・報酬に関する監督機能の一部を担うことを意味します。

個人ではなく監査等委員会が監査機関

監査等委員会設置会社では、監査等委員個人が監査機関なのではなく、監査等委員会という合議体が監査機関です。そのため、監査等委員が行使する権限は、監査等委員会の決議に従う必要があります。監査等委員会が選定した監査等委員は、次のような強い調査権限を持ちます。

  • 取締役や使用人に対する職務執行状況の報告請求
  • 会社の業務・財産の調査
  • 子会社に対する事業報告請求・調査(正当な理由があれば拒否可能)

これらは監査役の権限と同様ですが、監査等委員会の決議があるときは、これに従わなければならない点が特徴です。

不正行為等に対する報告義務・差止請求権

監査等委員は、取締役に不正行為や法令違反の疑いがある場合、遅滞なく取締役会に報告しなければなりません。また、重大な損害が生じるおそれがある場合には、当該取締役に対し行為の差止めを請求することができます。

株主にも同様の差止請求権がありますが、監査等委員の差止請求は、会社内部の監督機能として重要な役割を果たします。

株主総会への報告義務

監査等委員は、取締役が株主総会に提出しようとする議案や書類に法令違反や著しく不当な事項があると認める場合、株主総会に報告しなければなりません。これは監査役制度と同様の義務であり、株主保護の観点から重要な役割です。

訴訟における会社の代表

監査等委員会設置会社と取締役との間の訴えにおいて、誰が会社を代表するかは次のように区分されます。

  • 監査等委員が当事者の場合:取締役会が定める者(株主総会が定めた場合はその者)
  • それ以外の場合:監査等委員会が選定する監査等委員

監査等委員会が会社の代表者を選定する点は、監査役制度にはない特徴です。

会計監査人に関する権限

監査等委員会は、次のような会計監査人に関する重要な権限も持ちます。

  • 会計監査人の解任
  • 一時会計監査人の選任
  • 会計監査人の報酬等の決定への同意

財務の透明性を確保するため、監査等委員会が会計監査人に関与する仕組みが整えられています。

監査等委員会の運営

監査等委員会の運営は取締役会と似ていますが、いくつか異なる点があります。

  • 招集権者は各監査等委員
  • 決議要件は過半数出席・過半数賛成(定款で加重不可)
  • 議事録は10年間本店備置
  • 株主は裁判所の許可を得て議事録の閲覧・謄写を請求可能

特に、決議要件を定款で加重できない点は取締役会との大きな違いです。

まとめ

監査等委員会設置会社の監査等委員と監査等委員会は、従来の監査役制度とは異なり、取締役会の内部に社外性を確保しつつ、監査と監督の機能を強化するために設計された制度です。

監査等委員が取締役として議決に加わることにより、取締役会の透明性と独立性が高まり、企業統治の実効性が向上します。制度の理解が深まることで、企業のガバナンスを評価する際の視点もより明確になるはずです。

監査等委員会設置会社の機関と取締役をわかりやすく解説

2026-08-10

はじめに

平成26年会社法改正(平成27年5月1日施行)によって新しく導入された監査等委員会設置会社。上場企業を中心に採用が進んでいる制度ですが、一般の方には少し分かりづらい点も多いかもしれません。本記事では、監査等委員会設置会社の機関構成と取締役の仕組みを、できるだけ平易に整理していきます。

監査等委員会設置会社とは

監査等委員会設置会社とは、取締役会とは別に、取締役である監査等委員が構成する監査等委員会を置き、取締役の職務執行を監査する仕組みを採用する会社のことです。

従来の監査役制度とは異なり、監査を担う者が取締役会の中に入り、取締役として議決権を持ちながら監査を行う点が大きな特徴です。この制度は、取締役会の監督機能を強化し、より透明性の高い経営を実現するために導入されました。

必ず置かなければならない機関

監査等委員会設置会社では、次の機関が必ず置かれます。

  • 株主総会
  • 取締役
  • 取締役会
  • 監査等委員会
  • 会計監査人

特に重要なのは、大会社でなくても会計監査人の設置が義務である点です。監査等委員会設置会社を選択した時点で、会計監査人の設置が必須となります。また、監査役は置くことができません。会計参与は任意設置です。

取締役の種類

監査等委員会設置会社では、取締役が次の2種類に分かれます。

  • 監査等委員である取締役
  • 監査等委員でない取締役

監査等委員は取締役でなければならず、監査等委員会は3名以上で構成され、その過半数は社外取締役でなければなりません。さらに、監査等委員は業務執行を兼任できません。子会社の業務執行取締役や支配人なども兼ねられないため、監査の独立性が強く確保されます。

代表取締役の選定

監査等委員会設置会社の代表取締役は、監査等委員でない取締役の中から取締役会が選定します。つまり、監査等委員である取締役は代表取締役になることができません。監査機能と業務執行を明確に分離するための仕組みです。

取締役の最低人数

取締役会設置会社では取締役は3名以上必要ですが、監査等委員会設置会社では次の理由から最低4名となります。

  • 監査等委員は3名以上
  • 監査等委員は業務執行を兼任できない
  • 業務執行取締役が最低1名必要

また、監査等委員3名のうち最低2名は社外取締役でなければなりません。

任期の仕組み

任期についても、監査等委員会設置会社は特殊です。

監査等委員でない取締役

  • 任期:選任後1年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会終結時まで
  • 任期の短縮は可能
  • 任期の伸長は不可(公開会社でない株式会社に認められる10年までの伸長は適用されない)

監査等委員である取締役

  • 任期:選任後2年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会終結時まで
  • 任期の短縮・伸長は不可
  • 補欠選任の場合、退任した監査等委員の任期までとする定款規定は可能

なお、監査等委員会を置く旨の定款変更を行った場合、監査役の任期は満了します。

取締役の選任・解任

株主総会で取締役を選任する際は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役を区別して選任します。また、定款に別段の定めがあるときを除き累積投票制度の請求も可能で、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役を区別して選任する点が特徴です。

解任については次のとおりです。

  • 監査等委員でない取締役:普通決議(会社法第341条)
  • 監査等委員である取締役:特別決議

監査等委員の独立性を守るため、解任にはより重い決議が必要となっています。

まとめ

監査等委員会設置会社は、取締役会の監督機能を強化するために導入された制度であり、監査等委員会・会計監査人の設置が必須となる点が大きな特徴です。取締役の種類や任期、代表取締役の選定方法など、従来の監査役制度とは異なる点が多くあります。

企業のガバナンスを理解するうえで、監査等委員会設置会社の仕組みは重要なテーマです。制度の背景や目的を踏まえつつ、適切な機関設計を選択することが求められます。

セレナe-POWER(C28)で2,000キロ走行して分かったこと

2026-08-03

C27・E52との比較と、還暦ドライバーが感じた進化

毎年7月、東京から山口までお墓参りのためにレンタカーを借りて往復するのが、わが家の恒例行事となっています。今年は7回忌法要も重なり、例年よりもスケジュールがタイトでしたが、結果として体への負担は例年よりも軽く、快適に往復することができました。その理由こそ、今回選んだ セレナe-POWER(C28) の出来の良さにあります。

これまでの5年間は、C27セレナやE52エルグランドを中心に乗り比べ、ブログにも毎年記録を残してきました。今年はE52を借りる予定でしたが、E53への移行期でレンタルできず、選択肢はセレナのガソリン車かe-POWERのみ。過去記事ではガソリン車を推していたものの、今回は多くのユーザーが選ぶe-POWERを試してみることにしました。

借りた車両は セレナe-POWER ハイウェイスターV(2025年6月登録・MC前)。結論から言えば、C28は期待以上の完成度で、E52と並べてどっちを選ぶか迷うほどの仕上がりでした。妻と娘に「C28とE52のどちらが良かった?」と聞いても明確な答えは返ってこず、私自身も甲乙つけがたいと感じています。

走行性能の進化は段違いだった

C28には第2世代e-POWERと専用エンジンが搭載され、120kWの高出力と燃費向上を両立しています。高速道路の合流で加速にもたつくことはなく、追越車線でアクセルを踏み込めば後続車を一気に引き離す力強さを感じました。

また、サスペンションロール剛性が20%向上したことで、カーブでの車体の傾きが軽減。E52のような低重心ミニバンと比べても遜色なく、安心してコーナーを抜けられます。シートのホールド性は高くないため体が外側に持っていかれる感覚はありますが、恐怖を感じるほどではありませんでした。

e-Pedal Stepは便利だが、高速ではOFF推奨

C27同様、慣れるまで時間がかかるものの、街中では非常に便利です。ただし高速走行時は注意が必要で、追越後にアクセルを戻すと強い回生ブレーキが働き、ブレーキランプが点灯します。走行車線に戻った直後に後続車へブレーキランプを見せるのは不快感を与えるため、私は高速ではOFFにしました。

ブレーキホールド・電動パーキングブレーキの恩恵

ブレーキホールドは常時ONで使用しましたが、停車中に足を離してもブレーキランプが点灯したままになるため安全性は高いと感じました。

電動パーキングブレーキも便利で、Pレンジで自動ON、Dレンジでアクセルを踏めば自動解除。操作の煩わしさがなく、使い勝手は非常に良好です。

ボタン式シフトは慣れれば問題なし

誤操作を心配する声もありますが、走行中に誤って押しても問題は起きません。切り返しが多い場面ではボタンを確認する必要がありますが、慣れればブラインドタッチできるようになるでしょう。

左膝が当たる問題は私の場合は無縁

身長179cm(座高高め)ですが、左膝が当たることは一度もありませんでした。むしろ気になったのはペダル位置で、特にアクセルペダルが遠く感じました。ドラポジの好み次第で評価が分かれるポイントだと思います。

プロパイロットは過信禁物

急なコーナーでは自動で減速してくれるものの、減速しすぎた際にアクセルを踏むと、開度と加速が釣り合わず怖い思いをしました。

私は行きの高速で早々にハンドル支援をOFFにし、帰りもOFFのまま走行しました。支援が入ることで自分の操作とズレる場面があり、速度が高いほど恐怖感が増します。

アダプティブLEDヘッドライトは夜間走行の救世主

小牧JCTから中央道上り線をロービームだけで走るのは毎年苦痛でしたが、今年は違いました。対向車がいてもハイビームを維持し、必要に応じて自動で切り替えてくれるため、視認性が大幅に向上。夜間走行のストレスが一気に減りました。

燃費は高速9割で15.93km/L

3名乗車、終始スタンダードモード、エアコンつけっぱなし(仮眠中含む)という条件で 15.93km/L。C27より明らかに高速燃費が向上しており、長距離ユーザーには大きなメリットです。

まとめ:高速走行が多いなら、迷わずC28を選ぶべき

C27とC28で迷っている方がいるかもしれませんが、高速走行を多用するなら圧倒的にC28がおすすめです。走行性能は段違いに向上しており、長距離移動の疲労感も大きく軽減されます。

還暦を迎えた私でも、東京〜山口の往復2,000kmを快適に走り切れたことが、その性能の高さを何より証明していると感じています。

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