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不動産を財産分与するときにかかる税金について

2023-02-13

財産分与とは?

離婚をした夫婦の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。夫婦が婚姻期間中に共同生活を送る中で築き上げた財産の公平な分配、離婚後の生活保障(扶養)及び離婚の原因を作ったこと(不貞行為等)への損害賠償(慰謝料)の3つの性質があると解されており、特に冒頭に掲げた財産の清算を主たる目的とするものです。

贈与税

無償で財産を取得するわけですから、贈与税が課されるのではないかと心配される方もいらっしゃると思います。上述したように財産分与は、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を清算する意味合いで行われるものですから、その財産の範囲内でなされる財産分与について、もらう側に贈与税が課されることはありません。

どのような割合で分けるかについては夫婦間の協議で定めるものですから、対象となる財産の2分の1を超えるものを譲り受けたとしても同様です。ただし、財産分与の対象となる財産を超えるものを分与したり、贈与税・相続税逃れのために財産分与を利用した場合には、課税されるおそれがありますので注意が必要です。

不動産取得税

不動産を婚姻期間中に取得し、実質的に夫婦の共有と推定されるものを財産の清算として財産分与するのであれば課税されることはありません。例えば、夫単独名義のものを妻名義に変更する場合などです。

登記名義人が婚姻前から所有している、または、相続により取得した不動産を財産分与の対象とした場合には、不動産取得税が課税されます。他に課税されるケースとして、財産分与の性質が扶養・慰謝料の場合、夫婦共有名義の不動産の持分移転をする場合などが挙げられます。

譲渡所得税

財産分与する側に課税されるおそれがあります。例えば、婚姻期間中に甲不動産を3,000万円で購入して、夫Aの単独名義にしたとします。妻Bに財産分与をする際には、甲の時価を把握することが重要です。

時価が5,000万円なら、譲渡益2,000万円が所得税の課税対象となります。甲が居住用不動産のときに3,000万円の特別控除を使いますと、実質的には非課税となりますが、この場合でも申告が必要となります。

時価を把握して、A、B及びBの子などがそれを共有しておくとよいでしょう。BやBの子が今後売却する際の甲の取得費は3,000万円ではなく、財産分与時の時価である5,000万円となります。ちなみに、時価とは不動産会社の買取価格ではなく、売却した場合の売却代金のことを指しますので、複数の業者に査定依頼をするのがよいと思います。

登録免許税

不動産の登記申請(名義変更)の際に納めるもので、固定資産税評価額の2%が税額となります。固定資産税評価額は納税通知書・課税明細書、評価証明書などに記載されています。

1,000万円の不動産であれば納税額は20万円となり、かなり高額となりますので、離婚協議書に登記費用の負担者を定めておくことが望ましいでしょう。

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