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新制度をわかりやすく解説
令和8年4月1日から、不動産登記簿に新たに所有権登記名義人の死亡についての符号の表示という制度が導入されました。これは、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)の施行に伴い、不動産登記法、不動産登記規則等が改正されたことによって新設されたものです。
法務省は、この制度の運用上の留意点を全国の法務局に周知するため、令和8年3月27日付で通達(法務省民二第525号)を発出しました。通達はあくまで事務の取扱いを示すものであり、制度そのものは改正法、改正省令の施行によって生じたものです。
なぜ符号の表示が導入されるのか
現行制度では、所有者が亡くなっても相続登記等が申請されない限り、その死亡の事実は登記簿に反映されません。したがって、登記簿を見ても、名義人が生存しているのか、すでに死亡しているのかを確認することはできません。
しかし、所有者不明土地の増加は、公共事業や民間開発の妨げとなり、相続手続の遅れや放置を招く要因にもなっています。死亡情報が反映されないまま長期間放置されると、相続人の探索や交渉に多大なコストがかかり、土地の利活用が著しく阻害されます。
こうした問題を解消するため、登記官が公的機関から得た死亡等の情報をもとに、職権で「符号」を付記する制度が導入されました。符号の表示は、相続登記の申請を促し、所有者不明土地の発生を予防するための仕組みです。
符号の表示の対象
改正後の不動産登記法第76条の4により、登記官は、所有権の登記名義人(自然人)が「権利能力を有しないこととなった」と認められる場合、職権で符号を表示できます。
ここでいう「権利能力を有しない」とは、主に
- 死亡した場合
- 失踪宣告を受けた場合
を指します。
登記官が死亡等を把握する端緒は、住基ネット情報や戸籍情報、所有者不明土地法に基づく調査、地図作成事業、相続登記の審査過程など、公的機関から得られる確実な情報に限定されています。
符号の表示が不要となるケース
次のような場合には、符号の表示は行われません。
- すでに符号が表示されている
- 通知された名義人情報が登記と一致しない
- 相続人申告登記がされている
- 長期相続登記未了土地の付記がある
- 相続財産法人への変更登記がされている
- 一部遺贈による所有権移転登記がされている
つまり、死亡情報が別の形で登記に反映されている場合や、名義人情報に不一致がある場合には、誤表示や重複を避けるため符号は付されません。
登記記録への記録方法
符号の表示は、所有権の登記に「付記」する形で行われます。
記録される内容は次のとおりです。
- 登記の目的
- 名義人の氏名
- 権利能力を有しないこととなった旨を示す記号(◇)
- 登記年月日

誤解してはならないポイント
符号の表示が付されていないからといって、名義人が生存していることを意味するわけではありません。
符号の表示は、登記官が把握した死亡等の情報を反映したにすぎず、死亡の有無を網羅的に確認する制度ではありません。あくまで、相続登記が長期間放置されている状況を改善し、相続手続や土地利用を促進するための仕組みです。
まとめ
符号の表示制度は、所有者不明土地問題の解消に向けた取り組みの一つです。登記官が把握した死亡情報を付記することで、相続登記の申請を促し、円滑な不動産取引や公共事業の推進に資することが期待されています。
令和8年4月1日から施行されたこの制度は、今後の不動産登記実務において大きな役割を果たすことになるでしょう。

司法書士の藤山晋三です。大阪府吹田市で生まれ育ち、現在は東京・三鷹市で司法書士事務所を開業しています。人生の大半を過ごした三鷹で、相続や借金問題など、個人のお客様の無料相談に対応しています。
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