取締役会設置会社が取締役会を廃止する場合の登記について

代表取締役の扱い

取締役会を置く旨の定款の定めを廃止した場合において、代表取締役の選定方法を特に定めなかった場合には、取締役全員が当然に代表取締役となります。取締役が各自会社を代表することとなるわけです。

一方、代表取締役の選定方法を定めて、引き続き現在の代表取締役のみを代表取締役とすることも可能です。この記事では、株主総会の決議によって取締役の中から代表取締役を定めることとしたうえで現在の代表取締役を選定する場合の登記について解説します。

株式の譲渡制限に関する規定

「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を要する。」と登記されている場合には、承認機関を変更する登記申請が必要となります。例えば、「当会社の株式を譲渡するには、株主総会の承認を要する。」のように変更しなければなりません。

ただし、「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を受けなければならない。」のように登記されている場合には、変更登記は不要です。

登記の事由

取締役会設置会社の定めの廃止
株式の譲渡制限に関する規定の変更

登記すべき事項

「取締役会設置会社に関する事項」
「原因年月日」令和○年○月○日廃止
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式を譲渡するには、株主総会の承認を要する。
「原因年月日」令和○年○月○日変更

登録免許税

取締役会設置会社の定めの廃止分が金3万円、株式の譲渡制限に関する規定の変更分が金3万円となり、合計で金6万円です。

株主総会議事録

以下に議案の記載例を掲げます。

第1号議案 取締役会設置会社の定めの廃止の件
議長は、当会社は定款に取締役会設置会社の定めを設けていたのであるが、諸般の事情から、その定めを廃止することとし、定款の第○条を削除したい旨を述べ、これを諮ったところ、満場一致でこれを承認可決した。

第2号議案 定款変更の件
議長は、株式譲渡の承認方法及び代表取締役の選定方法について、取締役会の決議から株主総会決議に変更することとし、それに伴い定款の第○条及び第○条を下記のとおり変更したい旨を説明し、議場に諮ったところ、満場一致でこれを承認可決した。

(株式の譲渡制限)
第○条 当会社の株式を譲渡するには、株主総会の承認を要する。
(代表取締役)
第○条 当会社は、株主総会の決議により、取締役の中から、代表取締役1名を定めるものとする。

第3号議案 代表取締役改選の件
議長は、第2号議案が可決されたため、本総会で当会社の代表取締役を改めて選定したい旨を述べ、その選定方法を諮ったところ、出席株主中から、現在の代表取締役○○を選定するのが適当であるとの発言があり、議長は、○○につき可否を総会に諮ったところ、全員一致でこれを承認した。

添付書類

株主総会議事録
株主リスト
委任状(代理人に申請を委任した場合のみ必要です。)

最後に

株式会社の機関の変更は会社法の規定に従って行わなければなりません。取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならないと規定されていますので、取締役会設置会社の定めの廃止と同時に監査役設置会社の定めの廃止の登記をすることも可能です。

その際、監査役は退任することになりますので、監査役の変更登記も申請します。監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨が登記されている場合には、その廃止の登記も申請する必要があります。

 

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