株式会社の解散及び清算人選任登記

解散の事由

株式会社は、次に掲げる事由によって解散するとされています。破産手続開始の決定と解散を命ずる裁判があった場合には、裁判所書記官の嘱託に基づく登記となりますので、当事者が解散の登記を申請することはありません。実務上、最も扱うのは株主総会の決議による解散ですので、それを中心に解説します。

  • 定款で定めた存続期間の満了
  • 定款で定めた解散の事由の発生
  • 株主総会の決議
  • 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
  • 破産手続開始の決定
  • 解散を命ずる裁判

解散の登記と清算人の登記

商業登記法の条文上、同時に申請すべき規定は存在しないことから、代表清算人の資格を証する書面を添付して解散の登記のみ申請することもできます。ただ、分けて申請する実益はありませんので、通常は解散の登記と清算人の登記は同時に申請します。

登記の事由

解散
令和○年○月○日清算人及び代表清算人の選任

解散の登記においては、登記の事由で「株主総会の決議により解散」等の解散の事由を記載する必要はありません。清算人会を設置した場合には、「清算人会設置会社の定め設定」も併せて記載します。

登記すべき事項

「解散」
令和○年○月○日株主総会の決議により解散
「役員に関する事項」
「資格」清算人
「氏名」○○○○
「役員に関する事項」
「資格」代表清算人
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」○○○○

存続期間の満了、解散事由の発生の場合には、「令和○年○月○日存続期間の満了により解散」、「令和○年○月○日定款所定の解散事由の発生により解散」と記載します。清算人会を設置した場合には、[「清算人会設置会社に関する事項」清算人会設置会社]と記載します。

登録免許税

解散の登記が金30,000円、清算人の登記が金9,000円となりますので、合計額の金39,000円を記載します。

添付書類

・定款
必ず必要となります。清算人会設置の有無を定款で確認するからです。ちなみに、特例有限会社においては清算人会を置くことができませんので、添付不要となる場合があります。

・株主総会議事録
株主総会の決議により解散する場合は、株主総会議事録を添付します。定款で定めた解散の事由の発生の場合は、解散の事由の発生を証する書面を添付します。存続期間の満了による解散の場合には、登記簿で存続期間が満了したことが明らかですから、この場合には、解散に係る添付書類は必要ありません。

・株主リスト

・就任承諾書
定款で定めた者と株主総会の決議で選任した者については、清算人の就任承諾書が必要です。定款の定めに基づく清算人の互選で定められた者と清算人会が選定した者については、代表清算人の就任承諾書が必要です。清算人が一人のとき、清算人会を置かない会社が特に代表清算人を定めなかったときは、清算人全員が当然に代表清算人となりますので、別途代表清算人の就任承諾書は不要です。

株主総会または清算人会の席上で被選任者が就任を承諾し、その旨の記載が議事録にある場合には、申請書に就任承諾書を添付することを要しません。この場合、申請書には、「就任承諾書については、株主総会(または清算人会)議事録の記載を援用する。」と記載します。

・委任状
司法書士等の代理人に登記申請を委任したときに必要となります。

・その他
裁判所が選任した者につき、選任決定書正本(又は認証ある謄本)、定款の定めに基づく清算人の互選、清算人会の決議により代表清算人を選定したときは、清算人の過半数の一致があったことを証する書面、清算人会議事録を添付します。

登記記録例

解散の登記申請後、登記官によって取締役、代表取締役、取締役会設置会社である旨の登記等に下線を引き、抹消する記号が記録されます。監査役、監査役会は解散後も置くことができますので、そのまま残されます。清算人の登記申請後、清算人、代表清算人の原因年月日欄は空欄となります。

 

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0422478677 問い合わせバナー