売れない不動産は贈与!?無償譲渡物件のマッチングサイトについて

不動産を無償であげたい人ともらいたい人のマッチングサイトが存在する

以前の記事「どうする?実家の家と土地」で私の体験談をご紹介しました。まだお読みになっていない方は、是非お読みいただきたいと思います。

相続によって空き家、農地、再建築不可の土地などを取得した場合に、処分したくてもできない悩みを抱える方が多くいらっしゃいます。そんな悩みを解消するべく売れない、貸せない不動産を贈与するためのマッチングサイトが存在するのです。

タダであげたい側にとっては、持っているだけで負債を抱えているのと同様な「負」動産を処分でき、もらう側は税負担などを伴いますが、生活拠点の確保などが容易にできるのです。不動産を有効活用するための新たな手法ともいえます。

私自身、サイトの存在を知りませんでしたが、贈与者(あげる側の人)の視点に立って注意点を解説したいと思います。

個人から法人への贈与には、贈与者にみなし譲渡所得税が課される

個人から個人への贈与では、どんな高額な不動産であっても贈与者に税金が課されることはありません。ところが、法人へ贈与した場合には、贈与時の時価で譲渡があったものとみなされ、不動産の取得時から贈与時までの値上がり益に対して所得税が課税されます。(所得税法第59条第1項第1号)

ただし、公益法人等に贈与した場合において、その贈与が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、この所得税について非課税とする制度が設けられています。(租税特別措置法第40条)

欲しいとの申し出が法人しかいなかった場合や費用負担を厭わない場合を除いて、個人に贈与した方が無難です。

確実に登記名義を移す

先ず、登記名義を移さないことによる贈与者の不利益についてご説明します。

・固定資産税
固定資産税(都市計画税も同様)は不動産の所有者に課されますが、所有者とは登記簿上の所有者を指します。真の所有者に課すとなりますと、所有権が譲渡されたにもかかわらず登記名義が譲渡人のままであった場合に真の所有者を探し出すことは非常に困難ですし、課税に伴う業務が煩雑となるからです。

従って、登記名義を受贈者(もらう側の人)に移さないと翌年以降も納税義務を負うことになります。贈与者が支払ったときは、受贈者に対して支払った金額を請求することができますが、相手方が必ずしも支払いに応じてくれるとは限りません。

・工作物責任などの不法行為責任
例えば、空き家を贈与した場合に登記名義を移さなかったとしましょう。受贈者が引き続き空き家を放置することによって建物が老朽化し、台風で屋根瓦が飛散して近所の車を損傷させた場合には、誰が損害賠償の責任を負うのでしょうか。

贈与者が損害賠償請求されたときに、「建物は譲渡したので、私は所有者ではありません。」と言って責任を逃れることができるかが問題となります。所有権は受贈者に移転しているわけですから、所有者ではない贈与者は責任を問われないとも考えられますが、登記名義人の贈与者も責任を負うべきとする見解があります。

理由として、日本の不動産取引の慣習に照らせば登記名義を移すことは容易であり、それを怠ったのなら登記名義人に落ち度があると言えますし、譲渡を理由に責任逃れをするのは信義にもとることが挙げられます。また、被害者が真の所有者にしか損害の賠償請求をできないとしたら、所有者を探し出すことは非常に困難であり、被害者に酷であるでしょう。

登記名義が移っていない場合には、登記引取請求訴訟を提起することで解決を図ることもできますが、そのようなトラブルが生じないように登記申請は司法書士に任せた方がよいと考えます。

司法書士は贈与者、受贈者双方の本人、意思及び贈与の目的物を確認する責務を負います。その責務を怠ってトラブルに発展したときは、業務停止などの懲戒処分がなされます。

 

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