相続した建物が未登記だったときの対処法

そのままで売れるのか

売ることができないわけではありませんが、実際には登記をしない限り売ることは非常に困難だと思われます。売ることができるとしても、買主を自ら見つけて仲介を入れずに個人間で売買するような極めて限定的なケースに限られるでしょう。

仲介の入った不動産取引においては、買主は売主に代金を支払い、それと引き換えに売主は買主に対して、登記に必要な権利証等を交付します。そのうえで、代金を支払った日に司法書士が双方の代理人として登記の申請をします。

未登記建物の場合にはその登記申請ができませんので、売主が二重売買をした場合には必ずトラブルに発展します。不動産会社が売買の仲介に入った場合にはそのトラブルの対処をしなければなりません。ですから、わざわざトラブルの種がある売買の仲介を不動産会社はしないでしょうということです。

建物の取壊し

建物を取壊して更地で売却することは可能です。ただ、相続の場合には建物が共有となることがありますので注意が必要です。遺産分割により家財を含めた建物を取得する相続人が定まっているときには問題ありませんが、遺産分割前の遺産は共同相続人の共有となります。

建物を取壊すに当たり、取壊し業者は所有者や他の共有者の同意等を確認しませんが、相続人間のトラブルを避けるために必ず相続人全員の同意を得たうえで取壊しに着手するのが望ましいです。

建物表題登記

ここからは必要な登記について解説していきます。登記記録には表題部と権利部が存在します。両方とも記録されているのが一般的な不動産となりますが、表題部しかないものもあります。未登記建物とは、その表題部も存在しないものを指します。

建物の表題部には、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが記録されており、どの建物かを特定できるように物理的な現況を示しているといえます。

表題登記とは、新たに建物の登記記録を作出する第一歩となるもので、通常は土地家屋調査士が行います。古い建物の場合には、建築確認書や工事完了引渡証明書が残っていないことが多いので、上申書の提出を求められることがあります。土地家屋調査士に依頼した場合の費用は概ね8~12万円となります。

所有権保存登記

所有権保存登記は権利部にされる登記で、こちらについては司法書士が代理人として登記申請することが多いです。表題登記をしても所有者の住所氏名は記録されますが、それだけでは売却はできませんので所有権保存登記まで済ませておく必要があります。ちなみに、この登記が完了すると登記識別情報(権利証)が交付されます。

司法書士に依頼した場合の費用は、報酬1~3万円及び登録免許税として建物の固定資産税評価額の0.4%となります。土地の相続登記の依頼を受けた場合に追加で申請することが多く、また評価額が低いことにより登録免許税も低額の負担になることがほとんどです。

 

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