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相続放棄をする場合に必要な戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本について

2022-09-20

はじめに

相続放棄は自分ですることも可能です。平日に仕事をされている方であっても、お昼休みに郵便局に行く時間が取れるのであれば、定額小為替証書、収入印紙、郵便切手を入手することができますし、戸籍謄本の取得及び相続放棄の申述も郵送ですることが可能です。この記事がそのような方の参考になれば幸いです。

必ず必要な書類

・被相続人(亡くなった方)の住民票の除票又は戸籍の附票
相続放棄の申述先は家庭裁判所になりますが、どこの家庭裁判所でもよいわけではなく、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しなければなりません。実際に住んでいた場所ではなく、住民登録されていたところがこの場合の住所地となります。家庭裁判所が管轄を確認するためにこの書類が必要になります。

・申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本
相続人であること及び被相続人の死亡時点において現に存在する相続人であることを証するために必要になります。したがって、発行日が死亡日より後の戸籍謄本を取得しなければなりません。

その他必要な戸籍謄本等

(1)申述人が、被相続人の配偶者の場合

・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人の死亡は戸籍で確認をします。死亡後に転籍をした場合には、転籍先の戸籍には死亡事項は記載されませんので、転籍前の除籍謄本を取らなければなりません。配偶者は相続人の順位に関わらず必ず相続人になりますので、他に相続人がいないことを証する必要がありません。

(2)申述人が、被相続人の子又はその代襲者(孫、ひ孫等)(第一順位相続人)の場合

・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人の子又はその代襲者(孫、ひ孫等)は第一順位の相続人ですから、配偶者の場合と同様に他に相続人がいないことを証する必要がありません。相続人であることを証することで足りるのです。代襲相続人も同様で、被代襲者の死亡事項の記載のある戸籍を添付すればよいこととなります。

(3)申述人が、被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
(2)までとは違い、第二順位以下の相続人の場合には先順位の相続人がいない(相続放棄した場合も含みます。)ことを証する必要があります。所謂「ないこと証明」が求められるのです。出生時から死亡時までの戸籍により、被相続人の子の有無がわかります。子には認知した子などの婚外子、養子を含みます。

・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
子(及びその代襲者)の代襲相続人が一人もいないことを証する必要があります。一般的に、ないことを証明するのは、あることを証明するより困難になりますから、添付する戸籍謄本も大幅に増えることになるのです。

・被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいらっしゃる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
こちらも「ないこと証明」になります。民法の規定によれば、「親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。」となっていますので、先順位の相続人がいないことを証する必要があるのです。

(4)申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
第三順位の相続人の場合には、第一・第二順位の相続人がいないことを証する必要がありますから、最も戸籍集めが大変と言えるでしょう。

・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
ここまでの戸籍謄本等は、第二順位の相続人に添付が求められるものと同様です。

・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
第二順位の相続人がいないことを証する必要があります。被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本に、父母の死亡事項の記載がある戸籍が含まれていると思われます。祖父母については、生きていれば100歳を超えるようであれば死亡事項の記載のある戸籍謄本等の添付は不要でしょう。

・申述人が代襲相続人(おい、めい)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
上記3つとは違い、代襲相続人であることを証する「あること証明」を求めるものです。被相続人の兄弟姉妹が、相続の開始以前(同時死亡の推定がされる場合を含みます。)に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となることから、被代襲者の死亡事項の記載が必要となります。

まとめ

戸籍謄本等の添付が求められるのにはそれぞれ理由があり、大まかに「ないこと証明」と「あること証明」の2種類のためとなります。「ないこと証明」の方が添付する戸籍謄本等の通数が多くなることが両者の違いです。

理由を理解すれば、添付書面を見なくても必要な戸籍謄本等がわかるようになります。出生時からの戸籍を求める理由は子の有無を調べるためですから、例えば、5歳まで遡って戸籍を取得した場合に出生時から5歳までの戸籍の添付を求めるのは、既に目的を達成していると言えるわけですから無意味なことになります。

抵当権の付いた不動産を信託することはできるのか

2022-09-12

消極財産(債務)を信託することはできない

信託する財産は積極財産に限られますが、信託行為(信託契約など)において、委託者の被担保債務(抵当権によって担保されている債務)を受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務(信託財産責任負担債務といいます。)とする旨を定める(信託法第21条第1項第3号)ことで、抵当権付き不動産の信託は可能です。

債務引受が必要となる

債務引受とは、債務者が負担している債務を新たな人が引き受けて債務を移転することをいいます。債務引受には、免責的債務引受と併存的債務引受があります。ここでは、家族信託のケースを想定して記載します。

・免責的債務引受
引受人(受託者)が債務を引き受けて、債務者(委託者)は以後債務の負担を免れることとなります。通常は、債権者(銀行など)、引受人及び債務者の三面契約で行います。

債権者と引受人となる者との契約によってすることもできますが、この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずるとされています。(民法第472条第2項)債務者と引受人間の契約でもできますが、債権者の承諾が必要となります。(同条第3項)

・併存的債務引受
引受人(受託者)が債務を引き受けますが、債務者(委託者)も引き続き債務を負担するというものです。引受人と債務者の債務は連帯債務となります。(民法第470条第1項)債権者は、引受人と債務者の両方に債務の弁済を請求できるということです。

原則として、三面契約で行うことは免責的債務引受と同様ですが、債権者と引受人となる者との契約によってすることもできます(同条第2項)し、債務者の意思に反しても有効です。引受人が債務者と併存して債務を負担する点において保証(民法第462条第2項)に類似しているからです。

債務者と引受人となる者との契約によってもすることができますが、第三者のためにする契約に関する規定に従うこととされています。(民法第470条第4項)したがって、債権者のためにすることの明示の約定と債権者の受益の意思表示が必要となります。このことから、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずるとされています。(同条第3項)

実務上、債務者を委託者のままにして抵当権付き不動産を信託することはできません。債務引受が必須ということになります。受託者が債務引受により負担した債務は、上述したように信託財産をもって支払うことになります。全てを支払うことができないときは、受託者固有の財産をもって支払いをしなければならない責任を負うことになりますので注意が必要です。

債務控除について

委託者兼受益者(親)が受託者(子供)に抵当権付き不動産を信託し、親が死亡して子供が受益者になったケースで考察してみます。

不動産は相続税評価額で評価して、借入金(抵当権の債権額のうち相続開始の際に現に存するもの)は子供が相続により取得した財産の総額から債務控除します。この場合において、債務控除できる金額は債務控除する者(子供)が債務を負担することが確実と認められるものに限るとされています。(相続税法第14条第1項)残債務が不動産評価額を上回っているような場合には、債務控除の対象にならないおそれが出てきます。

特別口座(信託銀行などの口座管理機関が管理しているもの)の相続手続

2022-09-05

株式の相続手続が漏れている!?

上場株式の相続手続は、一般的には証券会社に必要書類を提出して行います。相続人が証券会社に口座を持っていない場合には、新規に口座を開設する必要があります。

このように株式の相続手続を済ませたつもりでも、亡くなった方宛に配当金計算書などが信託銀行等の株主名簿管理人から届くことがあります。この場合、特別口座の相続手続が必要となることが考えられますので、郵便物に記載された株主名簿管理人に連絡を取りましょう。その際、被相続人(亡くなった方)が特別口座で保有する株式の銘柄、株式数、未受領配当金の有無を確認するようにします。

特別口座とは?

従来紙であった株券が、2009(平成21)年1月5日に電子化されました。株券電子化実施前に証券保管振替機構に預託されていない株式を、株主の権利を保護するため各上場会社の申出により、口座管理機関(信託銀行等の株主名簿管理人)に開設されたものが特別口座です。

証券会社に開設される特定口座に似ていますが、全く別のものとなりますので注意してください。

相続発生時により手続が異なる

相続発生時が株券電子化実施の前後により、相続手続が異なります。

・2009(平成21)年1月4日以前に亡くなった場合
相続人名義で特別口座を開設して、被相続人の特別口座から株式を振替える手続になります。

・2009(平成21)年1月5日以降に亡くなった場合
被相続人の特別口座から、相続人名義で開設されている証券会社の口座に振替える手続になります。

両者の差は、相続人名義での特別口座開設の要否となるのです。

特別口座の株式は売却できません

証券会社の特定口座と異なり、特別口座の株式は取引ができません。そうは言っても、配当金を受け取る権利や議決権(単元未満株式を除きます。)を有することには変わりはありませんので、相続手続を行わないと亡くなった方宛に株主名簿管理人からの郵便物が届くことになるのです。

例外として、単元未満株式の買取請求は可能です。その場合に譲渡益に対する所得税、住民税の源泉徴収がされませんので確定申告が必要となる場合があります。証券会社の口座に振替えた場合も同様となります。

特定口座では源泉徴収がされますが、特別口座から振替えた株式については特定口座内の株式とは分けて管理されます。証券会社によっては、一般口座と呼ばれる口座で管理することもあります。

単元株式数以上の株式を売却する方法

例えば、被相続人甲が特別口座でA株式会社の株式を198株保有していたとします。上述したとおり、98株の単元未満株式については買取請求ができますが、100株については証券会社の口座に振替えたうえで売却する手続を踏まなければなりません。

では、甲の相続人が乙・丙である場合に両者間の遺産分割協議でAの株式を99株ずつ取得することにしたらどうなるでしょう。乙・丙共に相続により取得したのは単元未満株式ですから、証券会社の口座に振替えることなく買取請求することができるのです。

作業療法士って何をする人?

2022-08-29

講座を受けてきました

以前の記事「認知症の人の支えとなる認知症サポーターとは?」に続き、認知症サポーター向け講座の事を書いてみたいと思います。今回の講義は、作業療法士が講師を務め、認知症になっても好きなことを続けるために、その人達に対して作業療法士がどのようなことを行っているかというものでした。

作業療法士の作業って何のこと?

作業療法士(occupational therapist、以下「OT」と記載します。)の作業って何のことでしょうか。作業療法士は日本固有の資格者ではなく、世界的な職能であり、世界作業療法士連盟(World Federation of Occupational Therapists:WFOT)が設立されています。

つまり、「occupation」という言葉が先にあって、それをどう和訳するかの問題だったようです。それは日本にはない概念であり、人の日常生活に関わる全ての諸活動を指します。

例えば、家事、仕事、遊び、日課、地域活動、休息などです。そこで、日本ではoccupationを「作業」と訳した経緯があるようですが、医療や介護の現場では「OT」の呼称が使われています。

何をするの?

一般的にはリハビリ専門の医療職と捉えられ、その活躍の場は病院、介護施設、訪問看護などの訪問サービス、市区町村役場など多岐にわたります。認知症の人に対しては、その人らしく生活を送ることができるように環境を整えたりし、家族や介護する側には介助方法をアドバイスします。

また、できないことに着目するのではなく、現状持っている能力をできる限り活かして、どのような援助が必要なのかといったことや可能な活動についての提案を行っています。

具体例を挙げてみましょう。手指の麻痺などが原因でお箸やスプーンなどが使えずに1人で食事ができない人がいるとします。短絡的に、食事全介助をしたらどうなるでしょう。食事を摂ることで、身体的な健康は維持できるのかもしれませんが、介助される側の幸福感や満足感は得られるでしょうか。

そんな時に、スプーンの柄を太くしたり、角度を変えたり、利き腕ではないほうで使えるようにしたりする自助具を使う方法があります。(下のイラスト参照)そういった自助具のデザインなどもOTの仕事です。最近では、3Dプリンタを自助具の製作に活用しているようです。

ちなみに、今回講師役を務めてくださったOTの方は、色んな自助具を目の当たりにして、OTという職業に魅了されたと話されていました。

認知症の人への作業療法

認知症の人は、その症状故に上述した作業をするにあたって危険を伴ったり、うまくできなかったり、時間がかかってしまいます。周りに気を遣うようになって自分ではやりにくくなり、最終的に他の人が代わりにするようになり、一切その活動をしなくなってしまいます。

自分が今までできていた作業が徐々に減っていき、その存在価値を低く感じるようになり、認知機能が更に低下していくという悪循環に陥ります。

そこで、OTは療法対象者の人となり(育った環境、仕事、趣味、性格)を先ず把握することに努めます。対象者にとってどんな作業(家事なのか、仕事なのか、余暇なのか)に意味があるのかを推測するために不可欠な要素だからです。

その後、作業遂行能力の理解、作業難易度の把握及び調整、認知症対象者への支援介入度の調節などをします。

「作業」が認知症の人にもたらす効果

・自分の価値を再確認できる
できなくなってしまった作業ができるようになるまたは新しいことに挑戦してできるようになることで、喜びや楽しさを感じることができます。また、達成感や社会とのかかわりをもつことで、前向きな人生を送ることができます。

・自己表現の機会を得ることができる
家族や介護者に危険、時間がかかるなどの理由から自分の好きなことややりたいことを制限されてしまうと、言いたいことを言えずに飲み込んでしまいがちです。それが解消されることにより、作業をするか否か、どのような作業をするかの意思表示が容易にできるようになります。

・今までの人生を肯定し、今後の人生も楽しく過ごせる
認知症になっても、人にはそれぞれできるだけ介助されずに独力でやりたい作業があります。それが人本来のニーズであり、普遍的な能力でもあるのです。

マンションの底地に残っていた仮登記担保(所有権移転請求権仮登記)の抹消

2022-08-22

敷地権化されたマンション

新しいマンションでは土地の敷地権化がほぼされていますが、古いマンションでは分譲時に敷地権化されていなかったものが、後に敷地権化されることがあります。専有部分の表題部や、所有権保存登記に原因の記載があるか否かを確認することで判明します。

後に敷地権化されたマンションを信託することになったのですが、その時は漠然と土地の権利証が要るから注意しないといけないなあと思った程度でした。

土地の登記情報を取ってみたら

決済ではありませんが、権利証の受付番号の照合をしなければなりませんので土地の登記情報を取得したところ、土地の共有持分を目的とした仮登記担保(何某持分全部移転請求権仮登記)が残っていました。

後でわかったことですが、マンション購入時に融資をした債権者が抵当権設定だけでなく、仮登記担保(所有権移転請求権仮登記)と停止条件付賃借権設定仮登記をしたようです。

なぜ残ってしまったのか?

区分建物の登記記録には、甲区の所有権保存登記以外何もありません。つまり、移記前に抹消登記が申請され、区分建物については仮登記担保、抵当権及び賃借権仮登記が全て抹消されたのです。ローンは完済したということですね。

土地の共有持分に設定された抵当権は、敷地権化する時に受付番号が同じものについては登記官の職権で抹消されます。ただ、仮登記担保については抵当権のような規定が適用されませんので土地には残ることになります。

司法書士が抹消登記を申請したのかは不明ですが、不動産の表示に敷地権の表示を記載してしまったのが原因かと思います。

このマンションは売れるのか?

土地だけに仮登記担保が残った状態で売ることはできるでしょうか?仮登記の本登記をすることは分離処分禁止の規定に抵触しますのでできませんし、そもそもローンは完済しているわけですから本登記がされることもないでしょう。

だからといって、放置するわけにはいかないですよね。仮登記担保は所有権の仮登記ですが、債権担保を目的としているわけで、その意味では何ら抵当権と変わりないのです。

抹消書類は司法書士が作成!?

売れない状態で信託することはできませんので、仮登記名義人に連絡を取って仮登記抹消に着手することにしました。仮登記名義人には非常に丁寧にご対応いただきましたが、「抹消に必要な書類は司法書士が作成してください。そのうえで代表者が押印します。」と言われました。

仮登記担保の抹消なんて、登記原因証明情報のない頃の昔にやったきりだし、頭を悩ませてしまうことになったのです。需要があるかはわかりませんが、登記原因証明情報としての放棄証書と仮登記の登記上の利害関係人から単独申請する場合の承諾書の主要な部分の文例を掲げて、この記事の結びとしたいと思います。

・放棄証書
〇〇(地方)法務局○○支局・出張所 ○○年○○月○○日受付第○○号をもって登記された後記物件に対する所有権移転請求権を、○○年○○月○○日放棄致しました。

・承諾書
〇〇(地方)法務局○○支局・出張所 ○○年○○月○○日受付第○○号をもって登記された後記物件に対する所有権移転請求権を、○○年○○月○○日放棄致しましたので、貴殿において所有権移転請求権仮登記の抹消登記の申請をされることを承諾します。

遺産分割中の共有持分放棄は絶対にお勧めしません!(負動産限定)

2022-08-15

事の発端

以前の記事「どうする?実家の家と土地」で書いていますので、そちらを先にお読みいただくと話が分かりやすいと思います。要するに、相続によって自宅から遠く離れた不動産を取得したわけですが、とりわけ農地の処分ができずに非常に悪戦苦闘したわけです。

この記事は、私自身が経験した遺産分割協議での農地の押し付け合いと、要らないからといって安易に共有持分の放棄をしてはいけないことを忠告する内容となります。私と同様の遺産分割中の方の参考となれば幸いです。

非農家が農地を相続する問題

農地といっても厳密には色々な種類があるのですが、この記事においては売買や贈与によって所有権を移転する場合に農地法第3条の許可を得なければならない農地について触れていきます。

なぜ、許可が必要なのかですが、農地を農地としてちゃんと利活用するために農地を取得する人が他の用途に使ったり、放置したりしないような人であるかを農業委員会が審査する決まりになっているからです。土地を譲渡するにあたって、このような縛りがあるのは農地だけです。

つまり、農地を譲り受けることができる人は農業従事者または新規就農者だけということになるのです。ところが、相続によって農地を取得する場合には農地法の許可が不要と農地法に定められています。相続は包括承継だからと説明されます。

このようなことから、非農家であっても農地を取得することができてしまうわけで、当然のことながら農地は放置され、耕作放棄地となり雑草に覆いつくされることになるのです。

遺産分割での押し付け合い

冒頭で書いたように私自身も経験しているのですが、相続財産に管理が必要な農地がある場合には遺産分割で相続人間の押し付け合いとなります。雑草の刈取り費用に結構な費用がかかりますし、農地を所有している限り、自分の代だけでなく子孫の代までそれが続くのです。

誰だって要りませんよね。だからといって、共有持分の放棄をしてはいけないことをここで強調しておきたいと思います。遺産分割が成立するまでは遺産は相続人全員の共有となります。農地も共有となりますから、その共有持分を放棄することもできるのです。

持分放棄は単独ですることができ、相手の同意も不要のうえ農地法の許可も不要です。持分放棄がされますと、他の共有者にその持分が移転しますので農地を相続せずに済むのです。だからといって、押し付け合いの状態で持分放棄をすると、余程相手に有利な条件を提示しない限り遺産分割協議はまとまらないだけでなく、調停、審判の手続へ移行して争いが長期化する可能性が非常に高いです。

しかしながら、インターネット上には持分放棄は早い者勝ちだから、書面にして確定日付をとっておくことを勧めるような情報が見受けられます。

自分がされたらどう思うかを考えてみる

正直なところ、持分放棄することを思いついたこともありましたが、火に油を注ぐようなことになると考えて思いとどまりました。結局、私が農地を相続することにして、その代わりこちらに有利な条件を提示することで遺産分割協議を調えることができました。

この度、相続した農地を譲渡することができましたので、また別の記事で書いてみたいと思います。

今年も行ってきました!セレナe-POWERで2,000㎞走行

2022-08-08

父母の三回忌法要

昨年の一周忌法要で東京・山口間を往復したことについては、「ブレーキ操作不要!?セレナe-POWERのワンペダル走行」に書いています。今年も昨年と同様に7月下旬に父母の三回忌法要を行い、車で往復することになりました。

ワゴンおまかせで借りた車は?

今年も借りられる当日まで車種がわからないプランを利用しました。借りられるのはセレナかエルグランドだったわけですが、昨年と同様セレナe-POWERに乗ることになりました。高級ミニバンであるエルグランドに乗ってみたかったのですが、叶いませんでした。エルグランドは10年以上もフルモデルチェンジをしておらず、その意味ではライバル車に差をつけられている感が否めないです。

一方のセレナは非常に人気のある車なので、借りる人が多いのでしょう。ガソリン価格が高騰していますので、低燃費のセレナe-POWERでよかったのかもしれません。それにしても、サービスエリアにあるガソリンスタンドのガソリン代は高すぎですね。一番高いところでリッター183円でした。実に、街中のスタンドより30円も高いのです。

道の駅上関海峡に行ってみた

法要を終えた後に、新しくできた道の駅上関海峡に行ってみました。道の駅というと、広い駐車場、食料品・土産物売り場やレストランなどの施設を備えたものというイメージを持っていたのですが、予想に反してこぢんまりとした道の駅という感じを受けました。野菜(茄子)が非常に安く売られていたのを覚えています。

近くに美味しいと評判の天ぷら屋さんがあったのですが、火事で焼失してしまったようです。実際に見てきたのですが、太い鉄骨だけを残してほぼ全焼の状態でした。鉄骨にはまだ煤が付いており、火事の恐ろしさを痛感しました。

360度パノラマ瀬戸内海を見下ろせる上盛山展望台

法要のためだけに家族を山口まで連れていくのは、何だか悪い気がしていましたし、私が子供の頃には父に皇座山山頂の展望台に連れていってもらった記憶があったことから、上盛山展望台に行ってみることにしました。

上盛山は瀬戸内海に浮かぶ長島にありますが、長島と本州を渡す上関大橋ができてから、車で行き来できるようになりました。標高は315mで、展望台までの道も整備されていましたのでアクセスは良いと思います。展望台には4階建くらいの高さの灯台のような形の建造物があり、屋内の螺旋階段で屋上まで登ることができます。風力発電の風車が目の前にあり、あまりの大きさに圧倒されます。

屋上では360度パノラマビューを満喫することができ、四国の佐田岬半島や九州の国東半島を望むことができます。行った日は晴天で、かなり条件が良かったようでラッキーでした。妻が何枚も写真を撮っていたのが印象に残っています。

家族信託の活用例-事業承継のために自社株式を信託する方法とは?

2022-08-01

Xからの相談

私は、食品加工業を営む会社の経営者兼オーナーです。私には、長男Aと長女Bがおり、Aだけが会社の経営に携わっています。
後継者であるAに自社株式の全てを承継させるつもりにしていましたが、Bから遺留分の請求をされるおそれがあり、会社経営にも問題がおこりうるとの指摘を知人から受けました。
ちなみに、自社株式以外の資産はほとんど持っておりません。
何か良い方法はありませんか?

問題点

このままの状態を放置して、Xの相続が発生すると株式をAとBが2分の1ずつ取得します。Bが株主になると、株主としての様々な権利行使が可能となり、会社経営に携わっていないBが会社経営に口出しすることができることになります。AとBの関係が良好であれば、そのような心配は不要なのでしょうが、相続による株式の分散は避けるべきです。

では、生前に株式全てをAに贈与する方法はどうでしょう。株式の価値が高ければ高いほど多額の贈与税が課せられますし、後に説明する遺留分の問題も出てきます。また、Xが元気なうちは会社経営に携わって会社のオーナーとしての地位を維持したいと考えていた場合には、それも叶わなくなります。

Xの死後に株式を承継させるために、Xが、自社株式の全てをAに相続させる旨の遺言書を作成する方法も考えられます。設例のケースでは、自社株式以外の資産はほとんどないわけですから、BからAに対し、遺留分の侵害額請求をされるおそれがあります。

Xが認知症になってしまうとどうなるでしょう。判断能力を欠いた状態では、会社の代表者としての行為や株主総会において議決権の行使をすることができません。事実上、会社経営がストップしてしまいます。

Xの後見人を選任したとしても、後見人はX本人の利益となることしかできません。会社の設備投資などの行為をすることはできませんし、そもそも後見人がXの法定代理人として会社の経営に携わることは想定されていないと考えます。

自益権と共益権

信託の活用にあたって、株主の権利には自益権と共益権があることを理解する必要があります。

自益権とは、経済的利益を受ける権利のことを言います。配当を受け取る権利、株式を売却してその代金を受け取る権利、会社が解散した場合に残った財産を受け取る権利などを指します。

共益権とは、会社の経営に口出しする権利と言えます。具体的には、株主総会において議決権を行使することなどを指します。

信託の活用法

委託者兼受益者をX、受託者をAとします。株主は、XからAになります。

Aは議決権(共益権)を行使することもできますが、Xが判断能力を有しているうちはXの意思を会社経営に反映させるために、Xを議決権行使の指図権者として、AはXの指図に従って議決権を行使します。Xが認知症になってしまった場合には、Aに対する指図はできなくなりますので、議決権はAの裁量によって行使することになります。

Xが死亡した場合には、受益権(自益権)をAに75%、Bに25%の割合で取得させます。Bが取得した受益権は自益権のみなので、議決権(共益権)は行使できません。Aが全ての株式について議決権を行使できますので、無用なトラブルを防止できます。

このように信託を活用すれば、自益権と共益権を分離して承継させることができるのです。Bが取得した受益権の相続評価額は、Bが株式を相続で取得した場合と同じになります。Bは議決権を行使できませんが、それによって評価額が下がるわけではないのです。

補足説明

設例の信託は長期にわたることが予想されるため、後継の受託者として孫Cを定めたり、一般社団法人を設立してそれを受託者とする方法も考えられます。

同族会社においては、ほとんど株式の譲渡が制限されていますので、Bが株式を売却して現金に換えることは困難だと思われます。また、配当金も多くは貰えないでしょう。

したがって、将来的にはAまたは会社がBの株式を買い取って、Bに現金を手渡すことを検討した方がよいでしょう。

受験生活を長引かせないための対策

2022-07-25

はじめに

令和4年7月3日、今年の司法書士試験が実施されました。私は、平成29年に資格を取得したわけですが、当時通学していた東京法経学院の受験仲間と先日2年ぶりに飲む機会がありましたので、特に中高年の受験生に向けて司法書士試験の対策について書いてみたいと思います。

苦手意識のある科目を作ってはいけない

択一11科目、記述2科目のうち、1科目でも苦手意識があるとなかなか厳しいと思います。苦手科目を作ってはいけないのはもちろんなのですが、苦手科目は答練や模試などで客観的に明らかになるので分かりやすくて対策はしやすいです。

私が強調したいのは、苦手意識を持ってはいけないということです。例え、マイナー科目であっても苦手意識があるものについては多くの学習時間を費やしてそれを払拭するべきでしょう。

言うまでもなく、午前・午後択一、記述と3つの基準点が設けられ、それを1つでもクリアできないと合格できないわけですから、私の場合はこの点について常に気を配っていました。

条文、テキストの読み込みが疎かになっていないか

実務に就いてからは条文の大切さを身に染みて感じています。法律の勉強の主たるものとして、条文をどのように解釈するかということが挙げられると考えています。

条文を読んだだけで全てを理解できるわけではないので、それをかみ砕いて分かりやすく記述したものがテキストです。法律の勉強とは、六法を参照しながらテキスト(基本書)を読み進めていくことであり、それが王道ではないでしょうか。

択一の点数がなかなか伸びないのは、過去問回しが勉強方法の中心となっているからかもしれません。

手を広げすぎない

やたらに多くの教材を持っている受験生がいるようですが、私もかつてはそうでした。あれもこれもと欲張って色んな教材を手に入れてしまう。結局、どれも中途半端になってしまい、実力が身につかない。

今の時代、ありとあらゆる情報が飛び交っていますので、どのテキストを読めばいいのか判断できずに迷ってしまうことがあると思います。肝心なことはどのテキストを選ぶかではなく、一度決めたテキストは変えずに心中するつもりで繰り返し読み込むことです。

司法書士受験に完璧なテキストはありません。どれを選んでも情報の過不足が生じますが、合格点は取れるように作られています。

繰り返すことによる効果は想像以上に大きいものです。長期記憶となって頭の中に定着したものは、少々のことでは忘れることはありません。

解答テクニックを身につける

法律の勉強と同様に重要なのが解答テクニックです。特に午後の試験について触れていきます。

択一は全部の肢を検討している時間などありませんから、文章の短い肢から読んでいき、軸肢を決めます。軸肢を間違うとその問題は不正解となりますが、そんなことを気にする必要はありません。軸肢の判断で間違わないように知識の精度を上げていくことに注力すればよいのです。

本試験では模試とは違い、慎重になって他の肢も検討したくなりますが、決して読んではいけません。午後の択一基準点は最もクリアしやすくなっていますから、間違いを怖れるよりスピード重視でいきましょう。

記述はどちらから手を付けるかは重要なのですが、その年によって違ってくるので難しいです。私の場合は商登法から解いていましたが、令和4年度は不登法から解いた方が良かったですね。変な問題、令和4年度で言えば合同会社の問題を見たときにすぐに不登法に移るようにするのもテクニックの一つとなるでしょう。

要するに、記述だけでなく択一にも言えることですが、できるところから解いていって確実に点を積み上げていくごく当たり前の戦略が非常に重要となります。

生活保護に対する誤解を解く!

2022-07-19

はじめに

債務整理と生活保護は密接な関係があります。本題に入る前に、債務整理の目的について考えてみましょう。

借金を減額または免除してもらうことが直接的な目的かもしれません。しかし、それを達成したとしても全く収入がない場合や支出が収入を上回る場合に、また借り入れをしなければ生活を維持できないとしたら、根本的に問題を解決したことにはならないのです。

つまり、生活再建の視点に立って、借り入れなしに生活を維持できるようにすることが本来の目的となります。そのためには、生活保護を利用しなければならないケースも当然ながら出てきますので、今回の記事は、生活保護に対して一般の方が誤解しているであろうことを取り上げていきます。

その誤解を解いたうえで、生活保護を利用することは国民の権利であり、決して恥じるべき行いではないことを強調したいと思います。

扶養義務者がいる場合

民法の規定により、直系血族(親子など)及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があるとされています。そのために、生活保護受給申請の際に「親族に援助してもらってください。」などと言われ、いわゆる水際作戦と呼ばれる妨害行為が散見されるようです。

生活保護法の規定では、扶養義務者の扶養は生活保護に優先して行われるものであって、扶養義務者の存在が生活保護の利用を妨げることにはなりません。(生活保護法第4条第2項)ただし、申請受理後に福祉事務所が扶養義務者に対して照会(扶養照会)をすることがあります。

65歳以上でないと保護を受けられないのか

働くことができるのであれば、その能力(稼働能力といいます。)に応じて収入を得ることが求められます。それでもなお、最低限度の生活の維持ができずに生活に困窮するのであれば保護の対象になります。

では、若くて働くことができるのに無職の者が、生活保護を一切利用できないのかというとそうではありません。稼働能力があっても雇って貰えなければお金にはなりませんし、雇ってもらえたとしても給料日まではお金を手にすることはできないわけです。

したがって、稼働能力を有していてもそれを現実に活用する環境が整っていない場合には、生活保護の利用を妨げられるものではありません。

持ち家に住んでいる

持ち家が居住用不動産である場合には、原則としてそのまま住み続けながら生活保護の利用が可能です。

生活保護法第4条第1項には、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と規定されていますが、住むことも資産の活用となるからです。

ただし、売却した価値が大きい場合には売却を求められます。三鷹市に持ち家がある場合に、いくらで売れるものが売却を求められるかですが、目安として3,000万円となります。

これは時価ではなく、固定資産税評価額で判定します。インターネット上には、査定が必要だとして不動産の所在などの情報を入力させるページが見受けられますので注意しましょう。

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