認知症の人の支えとなる認知症サポーターとは?

認知症サポーターキャラバン

日本は、65歳以上の高齢者の総人口に対する割合が20%を超えている超高齢社会です。年金等の問題もありますが、最重要課題の1つとして認知症があげられると思います。老々介護ならぬ認々介護という言葉が生まれ、誰にでも起こりうる症状故に身の回りに認知症の方がいかに多いかと認識せざるを得ません。

認知症の人やその家族を見守り、支えとなるよう認知症サポーター養成講座の講師役を都道府県、市区町村などの自治体と民間企業、団体等が共催で養成して、全国規模で認知症サポーターを世に送り出す養成講座が開催されています。

このような仕組みが認知症サポーターキャラバンと呼ばれるもので、認知症サポーターを全国で育成し、認知症になっても安心して暮らせる町づくりを目指しています。認知症サポーターの数は、全国で約1200万人に達し、こうした活動は海外からも高い評価を受けているようです。

三鷹市においても地域包括支援センターの介護支援専門員(ケアマネ)等が講師役を務める認知症サポーター養成講座が開催されています。この記事の執筆時点では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、講座の開催が見合わせられています。

認知症とは?

「一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のないときにみられる。」というものです。要するに、認知症という病名があるのではなく、記憶障害などの特定の状態のことを指します。

似たような症状として、もの忘れがあります。例えば、昼食を食べたことは覚えているけれども何を食べたか覚えていない、そんな体験したことの一部だけを忘れるのがもの忘れです。それに対して、認知症の人は昼食を食べたこと自体を忘れてしまいます。

両者の明確な区別は困難なため、認知症と診断される程度には至らない状態の軽度認知障害(MCI)と呼ばれるものがあります。一度MCIと診断されるとその半数以上は認知症へと進行するようですが、脳の活性化を図ったり、運動習慣を身に付けることで正常な状態に戻る人もいます。

認知症の原因となる疾患

アルツハイマー病

脳の神経細胞が次第に脱落し、脳が萎縮していく病気で、MRIなどの画像検査では、脳の記憶に関連する海馬を中心とした脳萎縮が認められます。見当識障害(時間、季節、場所等の見当がつかない状態)が起こり、行動面での失敗が多くなり、ゆっくりと進行します。

治療薬の1つにイクセロンパッチ・リバスタッチパッチ(リバスチグミン)があり、皮膚に貼ることで薬剤が体内に吸収され、進行を遅らせるとともに病気そのものへの効果も期待されています。

脳血管疾患

脳梗塞や脳出血といった脳の一部への血行が途絶えたり、不十分だったりするために、神経細胞が破壊されることが原因で、高血圧などの全身疾患をもつ人に起こりやすいとされています。

アルツハイマー型と比べて、急激に発症することが多く、症状は固定または階段状に進行します。まだら認知症と呼ばれ、多くの場合、片まひや言語障害を伴います。

レビー小体病

脳の神経細胞の中にレビー小体という物質が出現したために認知症になることが判明していますが、詳しい原因などは未だ解明されていないようです。

幻視(実際にはないものが見える。)やパーキンソン症状(動作がゆっくりになったり、筋肉が硬直したりする。)が出現します。認知の変動(頭がはっきりしているときと、ボーっとしているときの変動)が大きいのが特徴です。

前頭側頭葉変性症

脳の一部(前頭葉と側頭葉)が萎縮していき、脳全体が徐々に萎縮していくアルツハイマー型とは異なる点です。「わが道を行く」といった、自分勝手、反社会的行動、無頓着など本能のおもむくままの行動をするようになるのが特徴です。

また、認知症の行動・心理症状(BPSD:病変によって記憶や認知機能に障害をもった人が、現実の生活に適応しようとしたときに引き起こされる症状)の1つとされている常同行動(不安やストレスなどから同じ動作をし続けること)が見られます。

その他

クロイツフェルト・ヤコブ病、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症などがあります。

認知症の人とどう接するか

サポーター養成講座では、認知症の人への対応の心得として“3つの「ない」”を掲げています。

1.驚かせない

先ず、どのように声をかけたらいいのか。相手の目線の高さに合わせることが大切ですので、ベッドに横になっていたり、車椅子の方にはこちら側が屈んで相手の目線と同じかやや下から見上げるような姿勢が望ましいです。立ったまま相手を見下ろしてしまうと、そのようなつもりが無くても相手を威圧するようなことになると思います。

後ろから声をかけたりするのは論外です。注意力が低下し、平らな所でも転倒してしまうリスクを抱えているわけですから、必ず相手の視野に正面から入ってお声がけをしましょう。

2.急がせない

認知症の人とコミュニケーションを取るにあたっては「何を」話すかではなく、「どのように」話すかが大切です。甲高い声や早口ではなく、穏やかな声で、短くわかりやすくゆっくりと話すことです。一度にたくさんの事を伝えても理解するのが困難なわけですから、相手の様子を見ながら分かりやすい表現を使いましょう。

こちら側がせっかちであってはなりません。気持ちに余裕をもってリラックスしている状態でいることです。気持ちにゆとりがなかったり、緊張していると相手はそれを察してしまうものです。

3.自尊心を傷つけない

認知症の人の思いや立場を推測、想像することが大切です。過剰な親切心は、その人の残された能力を奪うことになりかねないのみならず、自尊心を傷つけるでしょう。

認知症の人は、よく同じことを繰り返し話されます。それを頭から否定するようなことはせず、その人の思いに寄り添う姿勢で共感的に接することです。認知症の人を「説得」するのではなく、話をよく聞いて「納得」する姿勢が重要だと考えます。

 

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