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特例有限会社とは
2006(平成18)年5月に会社法が施行されましたが、その会社法施行前に有限会社として設立され、会社法施行後も存続が認められている会社のことです。会社法施行により有限会社を規定していた有限会社法が廃止され、会社法には有限会社に関する規定は存在しません。
存続する特例有限会社については、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下、「整備法」と言います。)中に規定があります。
商号
特例有限会社は株式会社です。廃止前の有限会社法の規定による有限会社であって会社法の施行の際現に存するものは、会社法の施行の日以後は、会社法の規定による株式会社として存続するものとされました。つまり、会社法上、特例有限会社を株式会社として扱い、原則として株式会社の規定を適用しますが、適用を除外する例外については整備法にその旨が定められています。
商号には「有限会社」の文字をそのまま用いなければなりません。「株式会社」の文字を使用するためには、定款の変更によって通常の株式会社に移行する手続を経る必要があります。
株式の譲渡制限に関する規定
特例有限会社の定款には、その発行する全部の株式の内容として当該株式を譲渡により取得することについて当該特例有限会社の承認を要する旨及び当該特例有限会社の株主が当該株式を譲渡により取得する場合においては当該特例有限会社が譲渡の承認をしたものとみなす旨の定めがあるものとみなされます。
「当会社の株式を譲渡により取得することについて当会社の承認を要する。当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては当会社が承認したものとみなす。」のように登記されます。
この株式の譲渡制限に関する規定を定款変更して廃止することはできませんので、株式の譲渡制限に関する規定の廃止の登記もできないことになります。
機関の設置
特例有限会社は、株式会社と同様に株主総会と取締役を必ず置かなければなりません。それ以外に置くことができる機関は監査役のみとなります。取締役会、会計参与、会計監査人などを置くことはできません。また、監査役設置会社である旨、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨は、登記事項ではありません。
取締役と監査役の住所が登記されること、代表取締役でない取締役がいる場合のみ代表取締役の氏名を登記することが通常の株式会社と異なります。したがって、取締役の退任、代表取締役の就任等によって会社を代表しない取締役がいなくなった場合には、代表取締役の氏名を抹消する登記をしなければなりません。
役員の任期
特例有限会社には、役員の任期の規定がありません。したがって、役員の任期満了による変更登記が不要となりますので、12年以上登記がされないことは普通にあり得るわけです。このことから、休眠会社のみなし解散が適用されることはありません。
組織再編
言うまでもなく、新たに有限会社を設立することはできません。それを踏まえて、存続することとなる吸収合併、他の会社の権利義務の全部または一部を承継する吸収分割はできないことになっています。また、株式交換、株式移転及び株式交付をすることもできません。
上記以外の組織再編行為は可能です。例えば、吸収合併消滅会社、吸収分割会社になること、合同会社などの持分会社に組織変更することなどです。