単独名義にする方法による換価分割の注意点を解説します

単独名義にするメリット

実家などの不動産を相続した場合において、今後居住、賃貸等の利活用をする予定が全くないときにその不動産を売却して代金を相続人間で分ける遺産分割方法を換価分割といいます。他の分割方法が使えないときにも利用されます。

相続において不動産を売却するメリット・デメリット」にて解説していますので、ご参照いただければ幸いです。

売却する前提として、先ずは相続登記を申請して亡くなった方から相続人への名義変更手続をしなければなりません。手続には2通りあって、相続人全員の共有名義にする方法と相続人代表者の単独名義にする方法です。今回の記事は単独名義にする方法を選択した場合の注意点を解説する内容となります。

最大のメリットは、売却活動をスムーズに進められることです。相続人が離れて住んでいる、相続が複数発生していて相続人の中に高齢の伯叔父母がいるなどの場合には媒介・売買契約の際に全員が集まることが非常に困難となります。単独名義にすれば契約当時者は一人になりますので、契約書面への署名押印も一人がすることで足りるのです。

デメリットは?

贈与税が課されるリスクが挙げられるでしょう。単独名義にするには、登記申請手続及び税務面両方に配慮した遺産分割協議書を作成しなければなりません。

作成を誤りますと、贈与税が課されるリスクが高まります。また、相続登記後すぐに売却できなかった場合には、売却代金を贈与したとみなされるリスクもあります。

遺産分割協議書の記載例

父Xが亡くなって長男Aと二男Bが相続人である場合に、換価分割のためにA単独名義にする場合の記載例を掲げます。

記載例

1.相続財産のうち、次の不動産(以下「本件不動産」という。)については、A及びBが、本件不動産を売却・換価し、売却代金から仲介手数料、契約書作成費用、登記費用その他の売却に伴う費用を控除した残金をA2分の1、B2分の1の割合で取得する。なお、被相続人X名義の本件不動産は便宜上、Aが取得し、Aの単独名義とする。

2.Aは、共同相続人を代表して本件不動産の売却・換価手続を行うものとし、本件不動産を売却後、Bに対して、上記1に定める割合に応じた残金を支払う。

3.A及びBは、本件不動産を売却し買主に引き渡すまで、これを共同して管理することとし、その管理費用は、上記1に定める割合に従って負担する。


誰が不動産を取得するのかが明記されていなければ登記申請は受理されません。だからといってストレートに書いてしまいますと、贈与税が課されるリスクがありますので換価分割のために便宜上単独名義にして、相続人を代表して売却することを記しておくことが重要です。

また、固定資産税の納税通知書は登記名義人に送付されますので、費用負担をめぐって相続人間でトラブルにならないような条項を定めておくことも大事かと思います。管理費用には修繕費も含まれます。古い建物であれば修繕しなければならないことも想定されます。

譲渡所得税について

譲渡益が出れば譲渡所得税が課されます。相続した空き家を譲渡した場合には3,000万円の特別控除が使える可能性がありますので、要件に当てはまるかを十分にチェックする必要があるでしょう。

また、相続税を納めた場合には、納税額のうち売却した不動産の全遺産に占める割合に応じた額を取得費に含めることができます。

 

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