株主が死亡した場合の株主リストの記載について

同族会社の場合

同族会社においては、会社が株主総会時(基準日)までに株主の死亡を知らないといったことは考えにくいので、今回は同族会社以外の場合も想定して主要な「株主A」が死亡した場合の株主リストの記載について解説する内容となります。

なお、同族会社においては、以前の記事「有限会社の代表取締役が死亡した場合の登記申請」をご参照ください。

株主総会時(基準日)までに株主Aの死亡を知らないとき

株主が頻繁に入れ替わるような場合には、議決権を行使することができる株主を固定する必要があります。そのために、基準日の制度が設けられています。上場会社等の多くの株式会社は、定時株主総会の議決権行使と剰余金配当の基準日を定款で定めています。

臨時株主総会の議決権行使等に係る基準日を定款で定めていない場合は、基準日と基準日株主が行使することができる権利の内容を基準日の2週間前までに公告しなければなりません。もっとも、非上場会社等においては基準日を定めない場合がありますので、その場合には株主総会時の株主名簿上の株主が議決権を行使することになります。

会社が株主総会時(基準日)までに株主Aの死亡を知らないとき、または、知っているが株主Aの相続人全員が誰であるか知らないときは、会社が登記申請時に株主Aの死亡を知っていたか否かにかかわらず「株主A」を記載します。

原則として、基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができます。

しかし、記載する株主について、株主総会(基準日)後にその変動が生じた場合や、会社がその変動を知った場合でも、株主総会時(基準日)を基準に記載することとされています。

株式の遺産分割

相続が発生して相続人が複数いる場合には、株式は相続人の共有となり法定相続分に応じて分割して相続するわけではありません。共有状態を解消するためには、遺産分割が必要となるのです。

また、株式が共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができません。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではありません。

遺産未分割の場合には、当該通知を受けたか否かにかかわらず株主リストには「相続人全員」を記載します。

株主名簿の名義書換

遺産分割により株式の共有が解消され承継人が定まった場合には、承継人の氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社に対抗することができないとされています。(会社法第130条第1項)よって、名義書換が完了している場合には「承継人」を記載します。

会社法第130条第1項の規定は、名義書換未了の場合は会社に譲渡を対抗できないとするにとどまることから、名義書換は単なる対抗要件にすぎないと解されています。したがって、会社の責任で名義書換未了の承継人に権利行使をさせることも許されると解されていますので、その場合も同様に「承継人」を記載します。

対して、名義書換未了の承継人に権利行使をさせなかった場合には、「株主A」を株主リストに記載することになります。

 

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