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実質的支配者とは
議決権の25%超を直接または間接に保有する等、法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人のことをいいます。間接保有とは、例えば、自然人Aが、甲株式会社の株主である乙株式会社を介して間接的に甲株式会社の議決権のある株式を有していることをいいます。
この場合において、間接保有というためには、自然人Aは、乙株式会社の50%を超える議決権を有していることが要件となります。この場合、乙株式会社を支配法人(実質的支配者が議決権の総数の50%超の議決権を有する法人)といい、要件を満たせば自然人Aが甲株式会社の実質的支配者となります。
議決権の25%超を保有する者がいない場合には、出資・融資・取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人が実質的支配者に該当しますが、該当者がいないときは法人を代表し、その業務を執行する自然人が実質的支配者に該当します。
議決権の50%超を保有する自然人(法人の収益総額の50%超の配当を受ける自然人)がいる場合は、この者のみが実質的支配者に該当し、他の25%超の議決権を有する者は該当しないことになります。
信託銀行が信託勘定を通じて25%超の議決権を有する場合、病気等により事業経営を支配する意思を欠く場合、名義上の保有者に過ぎず、他に出資金の拠出者等がいて当該議決権を有している者に議決権行使に係る決定権がない場合等、事業経営を支配する意思又は能力を有しないことが明らかな場合には、実質的支配者に該当しません。
国、地方公共団体、人格のない社団又は財団、上場会社等及びその子会社等の法人が実質的支配者となる場合もあり、それらは自然人とみなされます。
制度の概要
本制度は、株式会社(特例有限会社を含みます。)からの申出により、商業登記所の登記官が、当該株式会社が作成した実質的支配者リスト(実質的支配者について、その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面)について、所定の添付書面により内容を確認した上でこれを保管し、登記官の認証文付きの写しの交付を行うものです。
制度の利用により、信頼性の高い実質的支配者情報を得ることができ、金融機関、司法書士等の実質的支配者の本人特定事項の確認がスムーズにできる等のメリットがあります。
利用することができる法人
本制度を利用することができる法人は、資本多数決法人である株式会社(特例有限会社を含みます。)です。投資法人、特定目的会社その他の資本多数決法人は対象外となります。
持分会社(合名会社、合資会社及び合同会社)、一般社団・財団法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人その他の資本多数決法人以外の法人も対象外です。
対象となる実質的支配者
上述した実質的支配者の全てが対象となるわけではありませんので注意が必要です。
具体的には、会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人が該当し、該当者がいない場合には会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人が該当します。
申出手続とその変更
実質的支配者リストの写しの交付を受けるためには、実質的支配者情報一覧の保管及び交付の申出をする必要があります。
また、申出をした実質的支配者リストに記載している実質的支配者が変更された場合には、申出をし直す必要は必ずしもありません。本制度は、任意の申出に基づいて実質的支配者リストの写しを発行するものですので、実質的支配者リストに記載されている情報に変更があった場合であっても、変更後の実質的支配者リストの保管及び写しの交付の申出をするかどうかも任意となります。
新たな情報が記載された実質的支配者リストの写しを必要とする場合には、改めて申出をすることとなります。