合同会社から株式会社への組織変更について

組織変更とは

組織変更とは、株式会社がその組織を変更することにより合名会社、合資会社又は合同会社となること、又は、合名会社、合資会社又は合同会社がその組織を変更することにより株式会社となることをいいます。

この記事では、実務上最も扱うことが多い合同会社が株式会社となる組織変更について説明します。

手続の流れ

組織変更計画の作成

合同会社が組織変更をする場合には、組織変更計画で次の事項を定めなければなりません。

・組織変更後の株式会社の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数及び定款で定めるその他の事項
・組織変更後株式会社の取締役の氏名
・組織変更後株式会社の機関設計に応じ、会計参与の氏名又は名称、監査役の氏名、会計監査人の氏名又は名称
・組織変更をする合同会社の社員が組織変更に際して取得する組織変更後株式会社の株式の数又はその数の算定方法、割当てに関する事項
・組織変更後株式会社が組織変更に際して組織変更をする合同会社の社員に対してその持分に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等について必要な事項
・組織変更の効力発生日

組織変更後の株式会社の定款の内容を定めなければなりませんが、この定款について公証人の認証は不要です。

代表取締役は、定款で定める事項として代表取締役の氏名を組織変更計画に記載する方法のほか、取締役会の決議、取締役による互選、株主総会の決議によって選定します。その場合、登記が組織変更の効力要件ではないので、効力発生日以降に取締役会等を開催しなければなりません。

債権者の異議手続

必ず、官報に掲載する方法により必要な事項を公告しなければなりません。公告期間は1か月となります。

知れている債権者に対しては各別の催告が必要ですが、官報のほかに定款で定めた公告方法に従って公告すれば、各別の催告の省略が可能です。ただし、合名会社、合資会社が株式会社に組織変更する場合には、催告の省略はできません。

※官報公告掲載例

組織変更公告
当社は、株式会社に組織変更することにいたしました。
この組織変更に異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。
令和五年十二月十九日
東京都三鷹市野崎一丁目一番一号
法務商事合同会社
代表社員 法務太郎

組織変更計画の承認

組織変更をする合同会社は、効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該合同会社の総社員の同意を得なければなりません。ただし、定款に別段の定めを設けることができます。

効力発生

組織変更の効力は、組織変更計画で定めた効力発生日に生じます。債権者の異議手続が終わっていない場合には、組織変更の効力は生じません。

登記申請

組織変更による合同会社の解散の登記と組織変更による株式会社の設立登記を申請します。解散の登記と設立の登記は同時に申請しなければなりません。

添付書類(一例)
・定款
・組織変更計画書
・総社員の同意書
・代表取締役の選定に関する書面
・取締役、代表取締役及び監査役の就任承諾書
・取締役、監査役の本人確認証明書
・公告及び催告をしたことを証する書面
・異議を述べた債権者があるときは、異議を述べた債権者に対し弁済若しくは担保を供し若しくは信託したこと又は組織変更をしてもその者を害するおそれのないことを証する書面(異議を述べた債権者がいないときは、「異議を述べた債権者はいない」と記載します。)
・登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書
組織変更後の株式会社が当該組織変更に際して当該組織変更の直前の会社の株主に対して交付する財産(当該組織変更後の株式会社の株式を除く。)の価額等を記載した書面が該当します。登録免許税法施行規則に規定する額を超過する部分についての登録免許税の税率が異なりますので、添付する必要があります。

組織変更に際して合同会社の社員に交付する財産が株式のみであれば、組織変更による設立登記の登録免許税は、合同会社の資本金の額の1,000分の1.5(3万円未満のときは3万円です。)となります。

 

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