遺言書の法務局保管制度を利用した相続手続(司法書士の体験談)

義父が亡くなりました

以前の記事「義父の遺言書を作って遺言書保管制度を利用しました」において、義父の遺言書を作成したことを書きましたが、その義父が亡くなりましたので、今回は遺言書保管制度を利用した場合の相続手続について解説したいと思います。

広域交付による戸籍の取得

先ずは、義父の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得しなければなりません。死亡届を提出して戸籍に死亡事項の記録がされるまでに2週間程かかります。提出した市町村と本籍地が異なる場合には、もっと時間がかかります。

さらに、広域交付によって本籍地以外の市町村で死亡事項が載った戸籍謄本を取得するには、法務省の戸籍情報連携システムへの反映に時間を要するために1か月ほどかかることもあるようです。

広域交付については、以前の記事「戸籍謄本が本籍地以外でも取れるようになりました!(令和6年3月1日から)」にて解説していますので、是非ご参照ください。

今回は、相続人である私の妻に広域交付で戸籍謄本を取ってもらうことにしました。運転免許証(顔写真付きの公的身分証明書)を所持していたことと、司法書士の職務上請求より早く取得することができるからです。広域交付制度ができてからは、実務上ほぼ広域交付を使用して戸籍謄本を取得しています。

法定相続情報一覧図の作成

次に、法定相続情報一覧図の作成をしますが、後の遺言書情報証明書の交付請求のために相続人の住所を載せて作ることをお勧めします。それによって、添付書面を少なくすることができますし、前記の交付請求書のうち、相続人の住所氏名等を記載した書面の添付を省略することも可能です。

遺言書情報証明書の交付請求

遺言書の原本は法務局に保管されていますが、原本を返却してもらうわけではありません。遺言書の画像データと遺言者、遺言書、遺言執行者等の情報と併せて遺言書保管官の認証文付証明書の交付請求をすることになります。

言うまでもなく家庭裁判所の検認手続は不要です。余談ですが、某金融機関からは検認手続が必要だと言われましたので、まだ遺言書保管制度が周知されていないことを痛感しました。

請求先は遺言書が保管されている遺言書保管所に限られず、全国の遺言書保管所となります。例えば、東京都なら、東京法務局本局、板橋出張所、八王子支局、府中支局及び西多摩支局です。

請求方法は遺言書保管所に来庁するか郵送によってします。来庁する場合には予約が必要となりますので、郵送請求が便利ではないでしょうか。ちなみに、今回は相続人である妻を請求人として郵送により交付請求をして、自宅住所に返送してもらうことにしました。

なお、交付請求書を司法書士等の資格者が作成した場合には、備考欄に事務所住所と氏名を記入して職印を押印します。

相続人等のどなたかが、遺言書情報証明書の交付を受けると、遺言書保管官は、その方以外の全ての相続人等に対して、関係する遺言書を保管している旨を通知します。この通知により、全ての関係相続人等に遺言書が保管されていることが伝わることとなります。

最後に

この記事を書いている時点では、未だ遺言書情報証明書は手元に届いていません。その証明書は、公正証書遺言、検認済自筆証書遺言と同様に相続手続に使えることが想定されています。相続登記申請は問題なくできると思ってはいますが、預金口座の解約に使うのは私自身今回が初めてとなります。

各都道府県の司法書士会は自筆証書遺言書保管制度の周知活動に力を入れていますし、私のホームページにおいても同様です。同制度について疑問点がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

 

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