相続した実家を貸すという選択肢について

避けたいのは空き家の放置

実家を相続した場合、その後どのようにするかは、居住、売却、賃貸、放置の大まかに4種類になるかと思います。一番してはいけないのが空き家のまま放置することです。

他の記事でも放置してはいけない理由について触れていますので、ここでは賃貸する場合の注意点を中心に書いてみたいと思います。

相続等により取得した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例をチェック

賃貸することを検討する前に、特別控除の要件を満たしているかを確認する必要があります。譲渡までに賃貸してしまいますと、特例は使えません。

もっとも築40年以上(昭和56年5月31日以前に建築された建物)の古い建物にしか適用されませんので、特例を使う場合には建物を取壊して更地で売却することが圧倒的に多くなるでしょう。

売却に比べてかかる労力は3倍以上

そのくらいの覚悟で臨まれた方がよろしいのかと思います。賃貸需要の調査、家財処分、リフォーム、管理会社の選定、不動産所得の申告、空室や家賃滞納リスクなど、売却する場合と比較すると大変なことが多いです。

売ってしまえばその後は楽ですが、不動産を売ることは非常に困難ですから、どちらが良いとも一概には言えないのかもしれません。

賃貸需要の調査

リフォームにお金をかけても物件が全く賃貸需要のないエリアに存在するのであれば意味がありません。エリアにもよりますが、アパートや賃貸マンション等の共同住宅は供給過剰の状態にあることが多く、その点戸建であれば数が少ないことからある程度の需要は見込めるのかと考えます。

ネット上の一括査定を利用して、どのくらいの賃料収入が見込めるのかを調べてみることが手っ取り早い方法ですし、ある程度需要を把握することもできると思います。

家財処分

言うまでもなく必須です。売却であれば残置物をそのままにして引き渡すことも可能です。家財処分については業者に依頼する一択だと思います。間違っても自分達だけでされることを考えるのは避けたほうがよろしいのかと。

また、複数の業者に相見積もりを取ることも必須です。業者によって料金が全く違いますし、できれば買取りも行っているところに依頼すると費用を抑えることができます。

リフォーム

一番難しい項目と言えるでしょう。重要なのはお金をかけ過ぎないことです。管理会社からは、和室を洋室に変えた方がいいとか、色々と提案されるかもしれませんが、一々そんなことを聞き入れていたらお金がいくらかかるかわかりませんし、そもそもリフォームはお金をかけようと思えばいくらでもかけられるものだと思います。

ですから、複数業者に相見積もりを取ることがこちらも必須と考えます。選定基準としては、貸主側の目線に立ってリフォームの提案をしているかどうかです。管理会社が紹介する業者に見積りを依頼することもよいでしょう。一般的なリフォーム業者より、貸主側の目線に立った提案をしてくれることが多いです。

管理手数料は5%以下

自主管理をすれば管理手数料はかかりませんが、不動産賃貸業を自ら営んでいるような特別な場合を除いて、管理委託をしたほうが良いと思います。入居後のトラブルは時間を選んでくれませんから、対応をお任せできることは大きなメリットになります。

上述したネット上の一括査定を利用すると複数の管理会社から連絡が来ることになりますが、管理手数料はまちまちです。これは私見になりますが、5%を超える管理手数料を要求するところは候補から除外した方がよいでしょう。

不動産所得の申告

固定資産税、修繕費、火災保険等の損害保険料、管理費、修繕積立金などが経費となるのは分かりやすいと思いますが、減価償却費が一番重要となります。減価償却を計算するのに必要となるのは、建物の取得費、耐用年数(構造により決まります。)、取得時期などになります。

相続した実家は居住用ですから、非業務用として耐用年数が1.5倍になります。経過年数による累積償却額を算出し、取得費からそれを控除したものが未償却残高となります。

まとめ

相続した実家は資産ですから、売却せずに残しておきたいと考えられるかたもいらっしゃると思います。また、不動産のまま保有することで相続税対策になることもありますので、売る以外の選択肢の貸す場合の注意点を私なりに列挙したつもりです。少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

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