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株式の相続手続が漏れている!?
上場株式の相続手続は、一般的には証券会社に必要書類を提出して行います。相続人が証券会社に口座を持っていない場合には、新規に口座を開設する必要があります。
このように株式の相続手続を済ませたつもりでも、亡くなった方宛に配当金計算書などが信託銀行等の株主名簿管理人から届くことがあります。この場合、特別口座の相続手続が必要となることが考えられますので、郵便物に記載された株主名簿管理人に連絡を取りましょう。その際、被相続人(亡くなった方)が特別口座で保有する株式の銘柄、株式数、未受領配当金の有無を確認するようにします。
特別口座とは?
従来紙であった株券が、2009(平成21)年1月5日に電子化されました。株券電子化実施前に証券保管振替機構に預託されていない株式を、株主の権利を保護するため各上場会社の申出により、口座管理機関(信託銀行等の株主名簿管理人)に開設されたものが特別口座です。
証券会社に開設される特定口座に似ていますが、全く別のものとなりますので注意してください。
相続発生時により手続が異なる
相続発生時が株券電子化実施の前後により、相続手続が異なります。
・2009(平成21)年1月4日以前に亡くなった場合
相続人名義で特別口座を開設して、被相続人の特別口座から株式を振替える手続になります。
・2009(平成21)年1月5日以降に亡くなった場合
被相続人の特別口座から、相続人名義で開設されている証券会社の口座に振替える手続になります。
両者の差は、相続人名義での特別口座開設の要否となるのです。
特別口座の株式は売却できません
証券会社の特定口座と異なり、特別口座の株式は取引ができません。そうは言っても、配当金を受け取る権利や議決権(単元未満株式を除きます。)を有することには変わりはありませんので、相続手続を行わないと亡くなった方宛に株主名簿管理人からの郵便物が届くことになるのです。
例外として、単元未満株式の買取請求は可能です。その場合に譲渡益に対する所得税、住民税の源泉徴収がされませんので確定申告が必要となる場合があります。証券会社の口座に振替えた場合も同様となります。
特定口座では源泉徴収がされますが、特別口座から振替えた株式については特定口座内の株式とは分けて管理されます。証券会社によっては、一般口座と呼ばれる口座で管理することもあります。
単元株式数以上の株式を売却する方法
例えば、被相続人甲が特別口座でA株式会社の株式を198株保有していたとします。上述したとおり、98株の単元未満株式については買取請求ができますが、100株については証券会社の口座に振替えたうえで売却する手続を踏まなければなりません。
では、甲の相続人が乙・丙である場合に両者間の遺産分割協議でAの株式を99株ずつ取得することにしたらどうなるでしょう。乙・丙共に相続により取得したのは単元未満株式ですから、証券会社の口座に振替えることなく買取請求することができるのです。