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非公開会社の取締役の任期
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます。
非公開会社とは、定款において全ての株式について譲渡制限が付けられている株式会社のことをいいます。株式の譲渡制限に関する規定は登記事項とされていますので、履歴事項全部証明書には、「当会社の株式を譲渡により取得するには株主総会(当会社、取締役会となっている場合もあります。)の承認を受けなければならない。」と記載されています。
会社法施行日である平成18年5月1日以降に設立された上場会社を除く株式会社のほとんどは非公開会社であることから、取締役の任期を10年に伸長しているケースが多くなっています。
みなし解散のおそれ
毎年10月頃、12年以上登記がされていない株式会社及び5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人に対して、法務大臣による官報公告をし、管轄登記所から通知書の発送を行います。
前記の株式会社や一般社団法人又は一般財団法人に該当する場合には、必要な登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があり、これらの手続がされなかったときは、対象の会社等について「みなし解散の登記」がされることになります。
取締役の任期を10年に伸長している場合であっても、少なくとも10年に1回は登記申請をしなければならないことが理由となっています。ですから、役員変更登記をせずに12年以上放置すると株式会社は解散したとみなされるおそれがあるのです。
今すぐチェック!
会社や法人の設立後、登記した事項に変更があったときは、2週間以内に変更の登記をする義務があります。登記をしないでいると会社や法人の代表者、外国会社の日本における代表者は、裁判所から100万円以下の過料に処せられると会社法に規定されています。
商業・法人登記記録(不動産も同様)の日付には西暦ではなく和暦が用いられます。平成25年に設立し、または、役員が就任する登記をした場合の役員10年の任期満了は平成35年となります。平成は31年が最後ですから、元号の変換をして令和5年になることが判明します。
このように和暦の使用が10年経過を分かりにくくしている側面もあるとは思いますが、10年後に登記申請をしなければならないことをずっと把握しておくことは非常に困難でしょう。何年も登記していないと思われる方は、今すぐ会社の登記記録を調べることをお勧めします。