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定期借地権付きマンションが首都圏で増加
「【2025年1月27日】
【NHK NEWS WEB】により
【定期借地権付きマンション供給数 首都圏で過去最大規模見通し】
というニュースが掲載されました。」
借地権
借地権とは建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいいます。借地権の存続期間は30年ですが、当事者間の契約でこれより長い期間を定めた場合にはその期間となります。
借地権は原則として更新することができますし、借地権設定者(地主)が更新を拒絶するには、正当な事由がなければなりません。要は、借主の保護に重きを置く規定となっているのです。
定期借地権
上記の通常の借地権では、建物が存続する限りは借地権を消滅させることが困難となるために地主側は土地を貸すのを躊躇することになります。また、借主には建物買取請求権がありますので、数十年経過した古いマンションの買取請求をされたらたまったものではありません。
このようなことから、地主にもメリットがある定期借地権の制度が創設されたという経緯があります。定期借地権とは一定の存続期間を定め、その期間が満了しても契約の更新を保証せず、存続期間の満了によって借地関係を確定的に消滅させる制度のことをいいます。
購入者のメリットとは?
冒頭のニュース記事では、地主、デベロッパー及び購入者の三者全てにメリットがあると書かれていましたが、果たして本当にそうなのでしょうか。
購入者にとっては比較的、価格を抑えられる利点があるとのことです。具体的には、東京23区内の新築分譲マンションの平均売買価格は1億円を超えていますが、それが1割ほど安くなっているということのようです。1億のマンションが9000万円で買えることになりますが、特筆すべきメリットといえるかは疑問だと思います。
デベロッパーが利益を乗せすぎているのが現状ですから、お買い得感はほぼ無いと考えます。
デメリット
ランニングコストが高くなることが挙げられます。通常の管理費、修繕積立金に加えて解体積立金の負担があります。契約で定めた存続期間満了時にマンションを取壊し更地にして地主に土地を返さなければならないからです。
人手不足による解体費用の高騰、インフレ等によって購入時の積立金が増額されていくことは容易に想像できます。また地代の負担もありますし、途中で増額されることもあります。
固定資産税については建物のみ負担することになりますが、減価償却により建物評価額は下がっていきますので負担は減っていきます。
リセールバリューを考えて購入する
記事によれば、期限が近づくと住居として住みづらくなるため資産価値が下がるリスクがあるとの記載がありました。
私見にはなりますが、マイホームを購入する際にはリセールバリューを考えるべきだと思います。自分が住むだけだからといって、立地等の利便性の悪いマンションを購入すれば資産価値は間違いなく下がります。住宅ローンの返済が残っている際には売却しても残債を完済できずにローンだけが残ることにもなりかねません。
手を出すな
ここまで述べてきたように、メリットがあるのは地主とデベロッパーだけです。購入者にデメリットを上回るメリットはないと思います。定期借地権付きマンションを購入するくらいなら、賃貸マンションでいいんじゃないというのが私の考えです。
もちろん、価値観は人それぞれですから異論を排除するつもりはありません。