知らないと損をする!?相続登記の登録免許税の免税措置について

不動産の登記申請をするには、原則として登録免許税という税金を納めなければなりません。相続による所有権移転登記申請(名義変更)についても同様です。この記事では、相続登記における登録免許税の免税措置について解説します。

知らなかったからといって後から税金が返ってくることはありませんので、損をしないために要点をおさえておきましょう。なお、これからご説明する免税措置の適用期限は2025(令和7)年3月31日までとなっています。

土地の相続登記をせずに相続人が亡くなった場合

登記名義人がAとなっている土地があり、Aが亡くなりその相続人Bが相続登記をしないまま亡くなった時には、AからBの名義にする相続登記の登録免許税は課されません。

Bが生前にその土地を第三者に売却していたとしても、AからBへの相続についての相続登記の登録免許税は免税となります。わかりにくいと思いますので、次項で詳しく解説します。

土地は相続しなくても売主の登記申請義務は承継する

上記設例(Bの相続人はCとします。)において、Bが生前に土地を第三者Dに売却した場合には、登記名義をAから直接Dに移すことはできません。売主Bが相続未登記の土地を売却した場合には、Dへの売買による所有権移転登記をする前提としてAからBへの相続登記をしなければならないのです。

当該土地の所有者はDですから、Cが当該土地を相続するわけではありませんが、Bが登記をしないまま亡くなった時には、Bの登記申請義務をCが承継します。この場合のCが申請するAからBへの相続登記の登録免許税が免税となります。

売買契約において所有権移転時期の特約があるとき

Bが生前に土地を第三者Dに売却し、売買契約には代金全額の支払時に所有権が移転する旨の特約があり、代金全額が支払われる前にBが亡くなったケースで考えてみます。売買契約後、残代金支払いの決済までの間に売主が亡くなったということです。

このケースにおいては未だDに所有権は移転しておらず、当該土地の名義をAからB(1次相続)、BからC(2次相続)にする相続登記を申請しなければなりません。この1次相続の相続登記の登録免許税が免税となります。

その後、Cが売主の地位を承継して残代金が支払われた場合には、相続登記後に売買による所有権移転登記を申請します。

不動産の価額が100万円以下の土地

土地について相続による所有権移転登記または表題部所有者の相続人が所有権保存登記を受ける場合において、不動産の価額が100万円以下の土地であるときは、当該土地の相続による所有権移転または表題部所有者の相続人が受ける所有権保存登記については、登録免許税は課されません。

不動産所有権の持分の取得に係るものである場合には、不動産の価額に持分割合を乗じた額が不動産の価額になります。例えば、価額500万円の不動産の持分5分の1について、相続による持分全部移転登記を申請する場合の不動産の価額は100万円となります。

免税を受けるには申請書への法令の条項の記載が必要

登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があります。ここが、最も重要だと思います。記載を忘れると免税措置は受けられません。

土地の相続登記をせずに相続人が亡くなった場合の相続登記の登録免許税の免税措置については、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」、不動産の価額が100万円以下の土地の所有権移転または所有権保存登記の登録免許税の免税措置については、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

 

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