不動産リースバック・利用上の注意点とは?

不動産リースバックとは?

不動産を売却した後、買主と賃貸借契約を結び継続して同じ不動産を利用し続けるというシステムです。老後資金の確保のために自宅を売却したいが、次に住む場所を探すのが大変な場合などに利用することが考えられます。

メリットばかりがネット上の情報で強調されているようですが、利用する場合の注意点を解説したいと思います。

修繕義務は借主が負う

原則として、賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うことになっています。リースバックにおいては、賃貸借契約書に借主が修繕義務を負う特約条項を設けることが一般的です。

古い建物の場合には、修繕・メンテナンス費用が高額となりがちなので十分な資金を用意しておく必要があります。また、所有権は買主に移転しますので、外壁塗装、屋根の葺き替えといった大規模メンテナンスは、所有者の承諾なしに勝手に行うことはできません。

安く売って高く借りるおそれ

リースバックにおける不動産の買取価格は、市場価格(時価)の7~8割程度とされており、賃料についても相場より高くなることが多いようです。リースバックを扱う会社は、不動産投資と同様に利回りを重要視していることが原因となります。

(年間の家賃収入÷物件価格)×100=表面利回り
例えば、3,000万円で買い取って賃料を10万円とした場合の表面利回りは4%になります。

利回りは高ければ高いほど良いというわけではありませんが、利回りを重視することにより、売り手側に立ってみれば安く売って高く借りるということになりがちです。買い手の負担としては固定資産税くらいであり、修繕費負担もなければ空室リスクもありません。

買戻し特約の登記はできない

買戻しとは、売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除し、目的物を取り戻すことを指します。メリットとして、買戻しができることを掲げている業者がいるようですが、その特約を登記することはできません。

登記がされていれば、買主が第三者に不動産を売却したとしても、売主はその第三者に対して買戻権を行使することができますし、後に設定された抵当権も消滅します。

これには融資をする銀行の事情(リスク)が関係しています。不動産購入の際、銀行融資を利用するときに買戻権者を公的機関以外の者とする登記がなされている不動産については、それを担保にした融資をしないことになっているのです。

私ならどうするか

自宅を売って現金化しなければならない状況になった時にはどうしたらよいのでしょうか。私ならリースバックではなく、一般の市場で売却して他の賃貸物件に引っ越すことを考えると思います。

最後に

上述した以外にも、賃料を年金などの収入でずっと払っていけるのか、譲渡所得税の課税、居住用不動産を売却した場合の3,000万円特別控除、賃貸借契約の吟味など注意すべき点がたくさんあります。

そのようなことを考慮しないまま、現金化を急ぐあまり安易にリースバックに飛びついてしまうのは避けた方がよいと考えています。

 

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0422478677 問い合わせバナー