Archive for the ‘相続手続’ Category

どうする?実家の家と土地

2021-12-27

相続した田舎の実家の家と土地

「【2021年12月22日】
【NHKテレビ・あさイチ】に
【どうする?実家の家と土地】
 という番組が放送されていました。」

番組全てを観たわけではないですが、相続した田舎の実家の家と土地について、私の実体験を基に書いてみたいと思います。

私の体験談

2020年に父が亡くなり、東京から遠く離れた父の実家の家と土地を相続しました。家は空き家となっており、土地は宅地以外に農地と山林がありました。

農地(主に田んぼ)は、父の生前には無償で近所の農家に貸していましたが、後継者がいないことや過疎化が大きく影響して、現在ではタダでも借り手はいませんし、雑草の刈取りに多くの費用がかかっています。定期的に刈取りをしないと、猪などの野生動物が田畑に入り込んで土を掘り返したりするなど近隣に迷惑をかけることになるようです。

農地の管理に多額の費用がかかるので処分をしたかったのですが、私の所有地は農地転用(農地を農地以外の目的で使用すること)ができない農地でした。自身が所有している農地がどうなっているのかは、全国農地ナビで調べることができます。

市町村に寄付する方法もあるようですが、ほぼ無理だと思います。不動産は管理費用が高額となりますし、固定資産税は地方税として市町村の収入源となります。ですから、そのまま固定資産税を払い続けてほしいということなのでしょう。
タダで譲渡(贈与)することも貸すこともできませんので、八方塞がりでした。ちなみに、父の遺産は実家以外にもありましたので相続放棄をする選択肢はなかったです。

そこで、宅地と抱き合わせで売却することを近所の不動産会社数社に相談をしましたが、需要がないこと、農地の売買に不慣れであること及び売買価格が高額にはならないことを理由に全て断られました。売買の仲介をする不動産会社は売買価格に応じて手数料を取得しますから、田舎の安価な不動産の仲介などやりたがらないということなのだと思います。

市町村の空き家バンクに登録

私の代で何とか処分しないと、いずれは娘が相続することになってしまいます。民間業者で処分が無理だったことから、実家の家と土地を市町村の空き家バンクに登録しました。もちろん農地抱き合わせです。
市町村のホームページに所有不動産が掲載されることになり、今までに数件の問い合わせがありました。ただ、広すぎる農地抱き合わせがネックとなり、未だ売買成約には至っていません。

相続土地国庫帰属制度が救世主となるのか?

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)について、施行期日を定める政令が2021年12月14日に閣議決定され、2023年4月27日施行とされました。

相続土地国庫帰属制度とは、相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度のことです。

相続した土地が要らない場合に10年分の管理費用を支払うことで、実質的に所有権を放棄して国庫に帰属させることができるわけですが、高いハードルが設定されています。詳細は割愛しますが、要件を満たす土地は普通に売却可能と思われるところがあるのです。あくまでも、私個人の見解なのですが・・。

上記法律の条文には、農地も対象となることを前提とするものが見受けられますが、現時点でははっきりとしたことはわかりません。タダでも要らない土地を国が貰ってくれるのかは疑問ですが、あまり過度な期待はせずに成り行きを見守りたいと思います。

長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知が送られてきた場合の手続について

2021-12-06

なぜ送られてきたの?

所有者不明土地問題を解消するためだといえます。
例えば、道路拡張のために土地収用をするとなった場合には、事業者である自治体等は土地の所有者と交渉しなければなりません。登記簿から所有者が判明すればよいのですが、登記名義人が既に死亡しており、相続登記が長期にわたりされていないと現在の所有者を把握することは非常に困難となります。結果として公共事業が滞ることになり、都市計画に影響を及ぼすことになります。

このような場合に、登記官が、公共の利益となる事業を実施しようとする者の求めに応じ、事業を実施しようとする区域内の土地について一定期間相続登記がされていないときは、登記名義人となり得る者を探索します。探索は、市町村役場から戸籍謄本等を取り寄せることによってなされ、相続人となる任意の1名に対して、相続登記等の勧告を行うこととされています。

何もしなくていいの?

送られてきた書面は相続登記を申請してくださいと協力を求めるものであって、強制力はありません。だからといって、何もしないのは2つの理由からお勧めしません。

1つ目は、2021年4月に民法・不動産登記法が改正され、相続登記義務化関係の改正については公布後3年以内に施行されるからです。怠った場合には罰則が設けられています。

次に、相続登記をせずに放置をしますと、第2、第3の相続が発生して相続人の数が膨れ上がってしまいます。そうなると、相続手続が非常に煩雑となり、子孫に負担がかかります。是非、この機会に相続登記を申請しておくことをお勧めします。

相続登記申請の方法

法定相続人情報を取得する

法定相続人情報とは、家系図のようなもので被相続人や相続人などが記載されています。法定相続情報一覧図と名称が似ていますが、全く別のものとなります。

取得するといっても、正確には法務局に行って閲覧申請をしてプリントアウトした書面を受け取ります。したがって、オンラインや郵送で請求することはできません。通知書面(お知らせ)の下部に不動産番号及び不動産所在事項の記載があります。所在事項に記載された不動産を管轄する法務局に直接行く必要があります。管轄する法務局は、管轄のご案内で調べることができます。

遺産分割協議書を作成する

相続人が複数いる場合には、遺産分割協議書を作成して不動産を相続する相続人を決めます。併せて、市役所等で相続人全員の印鑑証明書を取得します。相続人が一人のときは作成不要です。

評価証明書を取得する

登記申請の際に納める登録免許税を算出するために市役所等(東京23区の場合は都税事務所)で評価証明書を取得します。相続人代表者届出書を提出している場合には、相続人から取得することができます。そうでない場合には、相続人であることを証する戸籍謄本等の提示を求められます。

登記申請をする

法定相続人情報の作成番号(12桁)を提供することで、戸籍謄本や相続人の住民票の写しの添付が不要となります。第2の相続が発生している場合には、別途戸籍謄本等の添付が必要となります。

作成番号は通知書面(お知らせ)の下部に記載されているほか、長期間相続登記がされていない土地の登記事項証明書の記載(登記官の職権により、所有権の登記に付記されます。)により確認することもできます。

同じ管轄の不動産(建物など)で、長期相続登記等未了土地の付記登記がされていないものについても同時に申請ができます。ただし、登記名義人の住所・氏名が付記登記された土地と一致していない場合には、別途、被相続人と登記名義人の同一性を証する書面の添付が必要となります。

他管轄の不動産の相続登記を申請する場合には、法定相続人情報の作成番号のほかに法定相続人情報を保有する法務局(支局・出張所)を提供することにより、戸籍謄本等の添付が不要となりますが、登記名義人の住所・氏名が一致していない場合の取扱いは前述のとおりです。

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