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はじめに
公証人の認証を必要とする定款は株式会社、一般社団法人及び一般財団法人等です。対して、合同会社等の持分会社の定款については公証人の認証は不要です。「会社を設立するには定款の認証が必要です。」というのは正確ではありませんのでご注意ください。
電子定款の最大のメリットは、印紙税4万円が不要になることです。また、自分で手続を行えば、司法書士等の専門家に依頼した場合のような報酬の負担がありません。
公証役場との事前打合せ
定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人しかできません。例えば、本店所在地が東京都内のときは、東京都内のどの公証役場でも構いません。
電子定款の認証請求をするときは、必ず事前に請求先の公証役場に電話をするなどして、担当者と事前の打合せをしましょう。定款認証については、内容に不備があると、設立登記ができなくなるおそれがありますので、申請前に指名する公証人と連絡を取っていただき、定款の内容等について、公証人の事前審査を受けてください。
公証役場によっては、実質的支配者となるべき者の申告書(電子署名済のもの)の提出を事前審査の段階で求められますし、公証役場に直接来所する場合にはウェブ会議の利用を希望しない旨の申告書が必要です。定款案のPDFファイルと一緒にそれらを添付して公証役場にメール送信します。紙ベースの定款(同一情報の提供の書面)が欲しいときは、手数料の計算に必要となりますのでその旨を記載しておきます。
電子定款の作成と電子署名
認証の対象となる電子定款は、PDF形式で保存されたものに限られます。電子文書に電子署名をするには、Adobe Systems 社の市販ソフトウェア「Adobe Acrobat(Standard または Professional)」その他のソフトウェアを使用してください。また、電子証明書を読み取るために、カードリーダーが必要になります。
マイナンバーカードでPDFに電子署名する手順は、日本公証人連合会のホームページに掲載されていますので、そちらをご参照ください。定款作成については、同ページに掲載された発起人3名以下の場合における支援ツールを利用する方法もありますし、Word等で作成してPDF化してもよいでしょう。
電子公証のオンライン申請
公証人による定款案の事前チェックを終えたら、「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、事前の打合せをした指定公証人を指名して、嘱託・請求をします。
電話またはメールで面前審査の日程調整をして、面前審査までに、クレジットカード払い又はインターネットバンキングを利用して手数料を支払います。
手数料の額は、資本金の額に応じて3~5万円になりますが、定款に「設立に際して出資される財産の最低額」を記載している場合には「5万円」の手数料額となります。資本金の額が300万円未満の株式会社の場合には注意が必要です。
また、公証役場からウェブ会議に接続するためのURLがメールで送信されます。
公証人による電子公証
ウェブ会議を利用する電子認証の場合を想定しています。予約した日時に、公証役場からメール送信したウェブ会議接続用のURLをクリックし、公証人による面前審査を受けます。面前審査の際、顔写真付き身分証明書を確認しますので、お手元にご準備ください。
ウェブ会議には、FacePeer社の提供するFaceHubを利用します。パソコン、スマートフォン、タブレットに対応しており、以下のウェブブラウザから接続することができます。なお、FaceHub専用アプリのインストールが必要なことがありましたが、現在は不要となっています。
- 【パソコン】
Windowsの場合 → Google Chrome、 Firefox、 Microsoft Edge
Macの場合 → Google Chrome、 Firefox、 Safari - 【スマートフォン、タブレット】
Androidの場合 → Google Chrome
iOS、ipadOSの場合 → Safari
電子定款の受取
オンライン申請システム又はメールのいずれかお好きな方法で受領できます。認証後、申告受理および認証証明書、領収書のほか嘱託人の請求により、同一情報の提供の書面(定款謄本)も同封して、嘱託人に送付されます。
また、嘱託人から希望があれば、郵送された電子媒体(CD-R等)に認証済みの電子定款を格納して、返信用のレターパックに同封して受け取ることも可能です。