成年後見人等の報酬について

はじめに

家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができるとされています。成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人及び任意後見監督人についても、同様です。

成年後見人等に対する報酬は、申立てがあったときに審判で決定されます。報酬額の基準は法律で決まっているわけではありませんので、裁判官が、対象期間中の後見等の事務内容(財産管理及び身上監護)、成年後見人等が管理する被後見人等の財産の内容等を総合考慮して、裁量により、各事案における適正妥当な金額を算定し、審判をしています。

後見人と被後見人間で報酬を定めることはできる?

成年後見人に対する報酬は、必ず、家庭裁判所の審判に基づいて付与されますので、両者間で報酬を定めたとしてもそれを受け取ることはできません。被後見人は事理弁識能力を欠く状態にありますので、そもそもそのような合意ができるのかという問題もあるかとは思います。

また、専門職(司法書士等)後見人が相続登記申請などの相続手続をした場合であっても、報酬付与の審判を経ずに司法書士報酬を被後見人から受領することはできません。報酬付与申立事情説明書に記載することにより、付加報酬としての判断材料となります。

報酬額

東京家庭裁判所・東京家庭裁判所立川支部における報酬額の目安は以下のとおりとなっています。成年後見人が、通常の後見事務を行った場合の報酬(これを「基本報酬」と呼びます。)の目安となる額は、月額2万円です。

ただし、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には、財産管理事務が複雑、困難になる場合が多いので、管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円、管理財産額が5,000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。なお、保佐人、補助人も同様です。

不服申立て

後見人に親族、後見監督人に専門職が選任されているケースで、後見監督人の報酬が高すぎるとのご指摘をご家族からされることがあります。そのような場合に裁判所に対して不服の申立てはできるのでしょうか。

後見人等の報酬額は、家庭裁判所の裁量判断事項であり、報酬付与審判に対しては不服(即時抗告)の申立てはできないことになっており、報酬額の具体的理由について説明してくれることもありません。

厳密には、家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、職権で、これを取り消し、又は変更することができるとされていますので、審判が変更される可能性がないわけではありません。

報酬助成制度(三鷹市の場合)

三鷹市においては、成年後見制度を利用している方(成年被後見人、被保佐人、被補助人)のうち、成年後見人、保佐人、補助人への報酬を支払うことが困難で、一定の要件に当てはまる方に、報酬を助成する制度を設けています。

支払困難の目安として、預貯金50万円以下であれば助成対象になり得ます。助成金額の上限は月額20,000円となっていますが、実際の報酬付与の審判では、税込で報酬額が定められます。例えば、年額252,000円とされることが多く、満額助成対象となるわけではありませんので、差額分を被後見人等にご負担いただくことになります。

 

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