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ここまで剥がれないとは!
登記識別情報のシールが剥がれないことはよく耳にします。今回は今までで一番大変な思いをしたので記事にしてみます。
登記識別情報は平成17年の不動産登記法の改正によって新たに登場しました。その後、シールが剝がれにくいといった事象が多発したため、その対応策として、平成21年に証明書用紙(地紋紙)のデザインを変更(透かし部分を小さくしたようです。)しました。
しかし、シールで目隠しをする方法が改められることはなく、問題の解決には至りませんでした。そこで、平成27年頃から折込式といわれる現在の様式に変更されることになり、シールを剥がすのに苦戦するといったことから解放されたのです。
登記識別情報の再作成
シールが剥がれずに登記識別情報を読み取ることができなければ、登記申請はできません。この場合の対応策として、法務省は剥がれない登記識別情報通知書を添付して申出をし、登記識別情報を再作成する手続を設けています。
私が今回苦戦したのは抵当権抹消の登記識別情報です。もし、読み取り不可ということになれば、抵当権者である金融機関に再作成手続をしてもらうか、委任状を交付してもらうかのどちらかです。司法書士が金融機関に対して、シールが剥がれないからといってそれらを依頼するなんてことはできないですよね。
私はそう思いましたし、多くの司法書士が同様ではないでしょうか。本人申請なら、本人からの要請に応じることがあるかもしれませんが、今までそのような話を聞いたことがありません。
書面申請へ
オンライン申請では登記識別情報を暗号化しなければなりませんので、読み取り不可の場合使えません。書面申請に切り替えて登記識別情報通知書の原本を添付する方法がありますが、法務局でもやることは一緒です。剥がして読み取ることができなければ、再作成せざるを得ないでしょう。
対応策
今回は抵当権抹消だったので時間をかけることができましたが、決済などその日に登記申請をしなければならないものだと相当マズイことになりそうです。毎回、書面申請の準備をするわけにもいかないでしょうし、決済事務所の方々はどうされているのでしょう。
ネットで検索すると、アイロンを使うことで上手く剥がれることがあるようですが、さすがに事務所にアイロンを常備しておくことはできないです。
シールは2層構造になっています。登記識別情報が印字されている用紙にシールを貼りますが、用紙の上に透明のシール、その上に目隠しをする紙の部分となっています。剥がれないのは透明のシールと紙の間の接着剤が透明のシールにこびりついてしまうことが原因かと思います。
硬貨等で力任せに擦ってしまうと、印字されている用紙部分を損傷してしまうおそれがあり、そうなると再作成です。ちなみに、今回は爪を使って少しずつ剥がしていきました。かかった時間は30分。3日間爪の痛みが残りました。
最後に、悪戦苦闘した登記識別情報通知書の写真を載せて終わりたいと思います。登記は完了していますので隠す必要はないとは思うのですが、登記識別情報をネット上に晒すのにはさすがに抵抗を感じますのでそうさせていただきました。以後、貧乏くじを引かないように願うばかりです。