不動産登記事項証明書に住所を表示しないこと(代替措置申出)について

令和6年4月1日施行

以前の記事「代表取締役の住所の非表示措置について」で、DV被害者等である会社代表者等からの申出により、登記事項証明書等におけるDV被害者等の住所を非表示とすることに関する手続を解説しました。

令和6年10月1日施行

登記申請と同時に申し出ること、所定の書面を添付することを要件として代表取締役等住所非表示措置制度が創設されます。この改正により、住所非表示対象者はDV被害者等に限定されないことになり、よりプライバシー保護を重視したものと言えるでしょう。

 

今回は、不動産の登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがある場合等に該当するときには、その者からの申出により、登記事項証明書等にその者の住所に代わって公示用住所(登記記録に記録されている者と連絡をとることのできる者の住所等)を記載する措置を講ずるものとする制度の概要を説明します。

誰でも請求できる登記事項証明書

登記事項証明書(登記事項要約書を含みます。)は誰でも交付請求することが認められています。その点において、DV被害者等の住所を調べるために住民票、戸籍の附票の写しを請求する場合と異なります。

また、配偶者からの暴力(DV)の被害者等の方については、市区町村に対してDV等支援措置を申し出て、支援の必要性が確認された場合には、申出の相手方からの住民票、戸籍の附票の写しの交付請求があっても、これを制限する措置を講じることができます。

不動産登記においてもDV被害者等の保護は特例措置によってなされていましたが、この度の不動産登記法の改正によって明文化されたのです。

代替措置申出

登記記録に記録されている者(自然人に限ります。)に限って申出をすることができます。現在の所有権登記名義人のほか、抵当権の債務者、信託目録に記録されている受益者、合筆により閉鎖された登記記録の名義人等が挙げられます。

申出の方法は申出書を登記所に持参、郵送(書留郵便による。)する方法により行います。オンラインによる申出はできません。

登記申請と同時に代替措置申出をする場合には、代替措置がされる前に登記が実行されることのないよう、登記申請に係る申請情報と代替措置の申出書にそれぞれ「代替措置申出あり」、「登記申請あり」のように補記する必要があります。

代替措置申出は全国どの登記所の登記官に対してもすることが可能です。

添付書面について

  • 申出人が申出書又は委任状に記名押印した場合におけるその印鑑証明書
    申出人が運転免許証その他の本人確認書面を登記官に提示した場合には、印鑑証明書の添付は不要です。その際、本人確認書面の提示をした上で、提示をした書面の写しの提出をします。
  • 申出人の氏名又は住所が登記記録に記録されている氏名又は住所と異なる場合にあっては、そのつながりを証する住民票、戸籍の附票の写し等
    代替措置等申出をする前提として氏名又は住所の変更の登記をする必要はありません。
  • 代理人によって代替措置申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面
    代理人の権限を証する書面には、代替措置等申出についての具体的な委任事項が記載されていることを要します。
  • 措置要件に該当する事実を明らかにする書面
    加害者から受けた被害の日時、場所及び態様、登記記録に記録されている者の住所が公開されることにより更に被害を受けるおそれの内容及び当該おそれが生ずる理由の詳細等を記載し、作成者である申出人が記名押印又は署名をした陳述書を提出します。

    また、原則として、これに加えて過去の被害の事実を裏付ける公的書面又は客観的書面を提出することになります。公的書面としては、①市区町村によるDV等支援措置決定の通知書、②ストーカー行為等の規制等に関する法律に基づく警告等の実施書面、③配偶者暴力相談支援センター等のDV保護に関する証明書等が想定されます。

    客観的書面としては、①医師の診断書、②怪我の写真(撮影時期が明らかなもの) 、③申出人に対する脅迫等を内容とするSNSの画像(投稿時期が明らかなもの)等が想定されます。

    公的書面又は客観的書面の添付がされていない場合や、添付された書面の内容のみでは措置要件に該当する事実が認められないときは、登記官は、申出人に出頭を求めた上で、対面調査を行うことがあります。
  • 公示用住所及び公示用住所提供者の氏名又は名称を証する書面
    公示用住所とされた住所が記録された印鑑証明書、住民票の写し、戸籍の附票の写し、法人の登記事項証明書等の公的書面等のほか、公示用住所とされた営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地(以下「営業所等」といいます。 )が記載されたホームページを印刷した書面その他の営業所等を証する書面であって、公示用住所提供者による公示用住所提供者の営業所等であることに相違ない旨の奥書が付され、記名押印又は署名がされたものが該当します。
  • 公示用住所提供者の承諾を証する当該公示用住所提供者が作成した書面(公示用住所提供者が法務局又は地方法務局であるときを除きます。 )
    公示用住所を提供することを承諾する旨等を記載した上で当該公示用住所提供者が記名押印しなければなりません。原則として、記名押印した者の印鑑証明書(住所地の市町村長若しくは登記官が作成するもの又はこれに準ずるものに限られます。)を添付する必要があります。
  • 法務局又は地方法務局を公示用住所提供者とするときは、申出人に宛てて当該法務局又は地方法務局に送付された文書その他の物の保管、廃棄その他の取扱いに関し必要な事項として法務大臣が定めるものを記載した書面
    公示用住所提供法務局等が受領した文書は、当該受領の日から1か月間に限り公示用住所提供法務局等で保管するものとし、申出人本人又はその代理人がその期間内に当該文書を受領しないときは、公示用住所提供法務局等において当該文書を廃棄することを承諾する旨等が該当します。

 

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