不動産登記においても旧姓(旧氏)の併記が可能になりました

令和6年4月1日施行

不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号)により、現在の所有権の登記名義人の氏名に旧氏を併記することができるようになりました。旧氏は現在の所有権の登記名義人の氏名にのみ併記することができます。したがって、地上権者等の所有権以外の権利の登記名義人や抵当権設定登記の登記事項である債務者等は対象にはなりません。

併記することができる旧氏は婚姻前の氏に限らず、氏に変更があった者が過去に称していた氏であって、その者に係る戸籍又は除かれた戸籍に記載又は記録がされているものとなります。

不動産登記以外の旧姓(旧氏)併記のできるもの

以前の記事「役員の氏名と旧姓の併記について」で、商業・法人登記における旧氏併記手続を解説しましたが、それ以外の併記できるものについて簡単に説明したいと思います。

先ず、令和元年11月5日に「住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令」が施行され、手続きを行うことで住民票、印鑑登録証明書、マイナンバーカードなどに旧姓(旧氏)が併記できるようになりました。後述しますが、この手続が完了しているときに住所証明情報として住民票の写しを提供する場合には旧氏を証する情報である戸籍謄本等を添付することを要しません。

その後、令和元年12月1日から運転免許証に旧姓を併記できるようになっています。持っている運転免許証の場合には裏面の備考欄に旧姓を使用したフルネームが表記され、新しい免許証の交付を受ける場合には表面の氏名欄に括弧書きで旧姓を使用したフルネームが併記されます。

旧氏が併記される場合

新たに所有権の登記名義人となる登記等の申請に伴い、旧氏の併記の申出をする場合と所有権の登記名義人が、登記の申請を伴わずに旧氏の併記の申出をする場合があります。

例えば、不動産を購入し、所有権移転登記を申請して所有権の登記名義人となる者が登記の申請人である場合に、登記官に対し、旧氏(1つに限られます。以下、同様です。)を申請情報の内容として、当該旧氏を登記記録に記録するよう申し出ることができます。

また、現在の所有権の登記名義人から登記官に対し、同様の申出をすることも可能です。

所有権移転登記の申請をする場合に旧氏併記の申出をする場合の記載例

登記申請書
(略)
権利者 ○○市○○町一丁目5番6号
    法務花子(登記花子)
添付情報 (他の添付情報は省略)旧氏を証する情報
(以下略)

旧氏を証する情報として登記花子が記載された戸籍謄本等を添付します。住所を証する情報に申出に係る旧氏が記録されているときは、これをもって旧氏を証する情報を兼ねることができます(新しく所有者となる法務花子の住民票に旧氏(登記)が記載されていて、その旧氏を併記したい場合)。この場合には、添付情報の表示として「旧氏を証する情報(省略)」の例によりその旨を明らかにします。

旧氏併記の申出書の記載例(一部省略)

旧氏併記申出書
申出の目的 ○番所有権登記名義人表示変更
変更後の事項 氏名 法務花子(登記花子)
申出人 ○○市○○町一丁目5番6号
    法務花子
添付情報 旧氏を証する情報

旧氏を証する情報は、申出に係る旧氏が記載された戸籍謄本等及び当該戸籍謄本等に記載された旧氏が申出人に係るものであることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(本籍の記載のある住民票の写し、戸籍の表示の記載のある戸籍の附票等)が該当します。

申出人の住所と所有権の登記名義人の住所が異なる場合にあっては、申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(住所の連続性を確認することができる住民票の写し、戸籍の附票等)を提供します。この情報を提供したときは、旧氏併記の申出の前提として住所変更の登記をすることを要しません。

対して、申出人の氏名と所有権の登記名義人の氏名が異なる場合には、旧氏併記の申出の前提として氏名変更の登記をしなければなりません。

 

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