相続した農転不可の農地の処分方法

はじめに

以前の記事「遺産分割中の共有持分放棄は絶対にお勧めしません!(負動産限定)」にて、私が農転できない農地を相続したことを書きましたが、今回はその農地を処分した経験談を記事にしたいと思います。

現状把握

過去の記事で何度も触れていますが、私が相続したのは地方にある実親の実家、山林及び農地です。農地処分を主目的として、市町村の空き家バンクに登録したのですが、なかなか買い手が見つからず、固定資産税及び雑草刈取り費用の負担が継続していました。

空き家バンクで目的が達成できない場合に備えて、相続した土地(農地)が相続土地国庫帰属制度の要件を満たすものなのかを把握する必要がでてきました。

私が子どもの頃は、実家の便所は汲み取り式だったのですが、相続後に発見された資料により便槽を撤去して合併浄化槽を設置する工事がされたことがわかりました。更に、図面では合併浄化槽は宅地内に設置されているようになっていますが、実際は隣接する農地に設置されていることが現地を見て判明します。

農転許可の問題があるとは思うのですが、今さらそれを追及しても意味はないでしょう。それより、地下に埋設物がある場合には、国に引き取ってもらうことはできません。ただ、撤去してしまうとトイレだけでなく生活排水の手段が奪われてしまいますので、実家を住居として使うには、別の場所に移設するしかありません。

また、農地上に電力、電話会社の電線が通っており、複数箇所に電柱が設置されていました。登記記録を確認したところ、地役権の登記はされていませんでしたが、事実上承役地になっていると認定されるおそれがあるでしょう。

最後に境界についてですが、現地を隈なく見てまわったところ境界標のようなものを一切見つけることができませんでした。以上のことから、相続した農地を相続土地国庫帰属制度によって国に引き取ってもらうことはほぼ無理だと判断するに至ったのです。

値下げを拒む仲介業者

空き家バンクには、指定された民間の仲介業者が存在しました。できるだけ早く処分をしたかったので、仲介業者に売値の値下げの申し入れをすることにしました。しかしながら、なかなか売れないのは農地を抱き合わせにしているのが原因だから、宅地建物だけを値上げして売ったらどうかと逆に提案されたのです。

腹立たしいことからこれ以上は書きませんが、不動産屋がどういうものかご理解いただけるのではないかと思います。

売れるものから処分はNG

売れるものから処分しましょうという提案がされることはよくあります。それをやってしまうと最後に農地が残ってしまい、どうすることもできなくなるのは目に見えています。

それを避けるために有効なのが抱き合わせ販売です。農地に限らず、売りにくい不動産なら抱き合わせは使えると考えます。また、近所である必要はなく、例えば三鷹の土地と地方の不動産の抱き合わせも可能です。

仲介業者から嫌がられるとは思いますが、こちらも子ども世代にまで負担をかけないことを目的としていますので、背に腹は代えられません。

贈与

以前の記事「売れない不動産は贈与!?無償譲渡物件のマッチングサイトについて」においてマッチングサイトのことに触れましたが、結局、そのサイトでマッチングした方に贈与することによって農地を処分したというのが結果です。

後のトラブルを避けるために贈与契約書を私が作成し、登記申請も行いました。自分が自分へ委任状を出すことは実親の相続登記以来2回目となりました。

今後も、「負」動産を処分するのに贈与は有効な手段だと思っています。最近では、高額な管理費の負担がある別荘地がサイトに掲載され、0円で引き渡し及び現金数百万円上乗せというような募集を見かけます。法的には不動産及び現金の贈与となるのですが、近い将来、贈与すらできない負動産は有償で処分するのが当たり前になるのかもしれません。

 

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