監査等委員会設置会社の機関と取締役をわかりやすく解説

はじめに

平成26年会社法改正(平成27年5月1日施行)によって新しく導入された監査等委員会設置会社。上場企業を中心に採用が進んでいる制度ですが、一般の方には少し分かりづらい点も多いかもしれません。本記事では、監査等委員会設置会社の機関構成と取締役の仕組みを、できるだけ平易に整理していきます。

監査等委員会設置会社とは

監査等委員会設置会社とは、取締役会とは別に、取締役である監査等委員が構成する監査等委員会を置き、取締役の職務執行を監査する仕組みを採用する会社のことです。

従来の監査役制度とは異なり、監査を担う者が取締役会の中に入り、取締役として議決権を持ちながら監査を行う点が大きな特徴です。この制度は、取締役会の監督機能を強化し、より透明性の高い経営を実現するために導入されました。

必ず置かなければならない機関

監査等委員会設置会社では、次の機関が必ず置かれます。

  • 株主総会
  • 取締役
  • 取締役会
  • 監査等委員会
  • 会計監査人

特に重要なのは、大会社でなくても会計監査人の設置が義務である点です。監査等委員会設置会社を選択した時点で、会計監査人の設置が必須となります。また、監査役は置くことができません。会計参与は任意設置です。

取締役の種類

監査等委員会設置会社では、取締役が次の2種類に分かれます。

  • 監査等委員である取締役
  • 監査等委員でない取締役

監査等委員は取締役でなければならず、監査等委員会は3名以上で構成され、その過半数は社外取締役でなければなりません。さらに、監査等委員は業務執行を兼任できません。子会社の業務執行取締役や支配人なども兼ねられないため、監査の独立性が強く確保されます。

代表取締役の選定

監査等委員会設置会社の代表取締役は、監査等委員でない取締役の中から取締役会が選定します。つまり、監査等委員である取締役は代表取締役になることができません。監査機能と業務執行を明確に分離するための仕組みです。

取締役の最低人数

取締役会設置会社では取締役は3名以上必要ですが、監査等委員会設置会社では次の理由から最低4名となります。

  • 監査等委員は3名以上
  • 監査等委員は業務執行を兼任できない
  • 業務執行取締役が最低1名必要

また、監査等委員3名のうち最低2名は社外取締役でなければなりません。

任期の仕組み

任期についても、監査等委員会設置会社は特殊です。

監査等委員でない取締役

  • 任期:選任後1年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会終結時まで
  • 任期の短縮は可能
  • 任期の伸長は不可(公開会社でない株式会社に認められる10年までの伸長は適用されない)

監査等委員である取締役

  • 任期:選任後2年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会終結時まで
  • 任期の短縮・伸長は不可
  • 補欠選任の場合、退任した監査等委員の任期までとする定款規定は可能

なお、監査等委員会を置く旨の定款変更を行った場合、監査役の任期は満了します。

取締役の選任・解任

株主総会で取締役を選任する際は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役を区別して選任します。また、定款に別段の定めがあるときを除き累積投票制度の請求も可能で、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役を区別して選任する点が特徴です。

解任については次のとおりです。

  • 監査等委員でない取締役:普通決議(会社法第341条)
  • 監査等委員である取締役:特別決議

監査等委員の独立性を守るため、解任にはより重い決議が必要となっています。

まとめ

監査等委員会設置会社は、取締役会の監督機能を強化するために導入された制度であり、監査等委員会・会計監査人の設置が必須となる点が大きな特徴です。取締役の種類や任期、代表取締役の選定方法など、従来の監査役制度とは異なる点が多くあります。

企業のガバナンスを理解するうえで、監査等委員会設置会社の仕組みは重要なテーマです。制度の背景や目的を踏まえつつ、適切な機関設計を選択することが求められます。

 

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