遺産分割前に法定相続分での相続登記を申請した場合の登記手続

改正(令和5年4月1日施行)前の取扱い

法定相続分での相続登記後に遺産分割協議が成立した場合には、遺産分割を登記原因として、他の相続人の持分の移転の登記を申請する必要がありました。

例えば、甲土地の所有者であるAが死亡し、妻B・子Cが相続人であるとき、共同相続登記後にBC間の遺産分割協議によって、甲土地はCが単独で取得する合意がされたとしましょう。

この場合、登記権利者Cと登記義務者Bの共同申請により、「B持分全部移転」の登記を申請することになります。登録免許税の税率は、相続による所有権移転登記と同様0.4%です。

改正後の取扱い

法定相続分での相続登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記をいう。以下同じ。)がされている場合において、遺産分割協議による所有権の取得に関する登記をするときは、所有権の更正の登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができるものとされました。

上記設例では、Cが単独で所有権更正登記を申請することができますので、Bの登記識別情報、印鑑証明書の添付は不要となります。登録免許税は、不動産1個につき1,000円となります。

相続登記が義務化されることによる相続人等の負担軽減を図るため、登記手続を簡略化したものと言えます。また、以下に掲げる登記を申請する場合も同様となります。

①遺産の分割の審判又は調停による所有権の取得に関する登記
②他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
③特定財産承継遺言(遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言)による所有権の取得に関する登記
④相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

添付情報

上記設例の場合、登記原因証明情報として遺産分割協議書(当該遺産分割協議書に押印した申請人以外の相続人の印鑑に関する証明書を含む。)を添付しなければなりません。

登記手続上、Bのみが実印を押印することで足りますが、実務上、BC両名の実印を押印した遺産分割協議書とBCの印鑑証明書を添付します。

また、法定相続分での相続登記後に所有権全体またはB持分を目的として抵当権を設定した場合等、登記上の利害関係を有する第三者がいるときは、その者の承諾書を必ず添付します。住所移転があった場合、相続放棄によって更正前後に同一性がない場合等、別途登記を要することや、更正登記申請の可否に関わる問題が生じることがありますので注意が必要です。

登記申請書の記載例

上記設例における登記申請書の主要部分の記載例を掲げます。

登記申請書
登記の目的 ○番所有権更正
原因 令和○年○月○日遺産分割
更正後の事項 所有者 住所 C
権利者(申請人) 住所 C
義務者 住所 B
添付情報 登記原因証明情報 代理権限証明情報
登録免許税 金1,000円
不動産の表示 甲土地の表示

 

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