Archive for the ‘司法書士試験’ Category

記述式問題の取組方法・とにかく書きまくれ!

2024-10-07

時間が足りない!

司法書士試験の午後の部は本当に過酷です。

私もそうでしたが、とにかく時間が足らないし問題量(記述式)が多すぎるうえ、ページ数も多い。ページを切り取ることは許されていないので、ページを何度も行ったり来たりを繰り返さなければならず、午後2時頃になると受験会場ではページをめくる音が鳴り響くことになります。

そこで、今回は記述式問題にどう取り組めば良いのか、特に時短のために意識すべきことなどを書いてみたいと思います。

平常心で臨むのは無理

合格へ近づけば近づくほど本試験では緊張します。全く緊張しないという方は合格レベルから程遠いか、類まれな性格のどちらかでしょう。

私もその場から逃げ出したくなるような緊張感に襲われていましたし、二度と試験を受けたいとは思いません。呼吸が乱れるくらいの緊張から、試験直前には腹式呼吸をして何とか心を落ち着かせようとしていたことを思い出します。

何が言いたいのかですが、本試験を平常心で臨むのは無理であること、無理であるのなら緊張して当たり前と心得たうえで、緊張するのならば実力の100%を発揮することも当然叶わないことになります。

1日1問を解く

1日の勉強の初めに不登・商登どちらでもいいので1問解くことをお勧めします。過去問は時間がかかり過ぎるので、基本的な問題を実際に書いて解くことが重要です。過去問を解くなとは言いませんが、問題の作りが粗いので繰り返し解く意味はないと考えています。

本試験では雛型を思い出している時間などありませんから、手が勝手に動き出すくらいの状態、少しオーバーな気もしますが、それが理想です。ボールペンのインクが1~2か月で無くなるくらいの分量になるかと思います。

字は汚くて当たり前

きれいな字を書いている余裕などないわけですから、字が汚くなるのは当たり前です。ただ、採点する側は人間なので、字が汚すぎたり、訂正だらけの答案は非常に印象が悪くなります。

字は必ず楷書を使い、書き順を正確にしましょう。書き順は小学生で習いますが、一度間違って覚えると一生直りませんので、自信がない漢字は検索してこの機会に書き順を改めたほうが良いと思います。

1文字でも少なく書く

特に商登に言えるのですが、1文字でも少なく書くことが時短に繋がりますので、それを意識することです。例えば、「次のとおり変更」の「次のとおり」の部分は不要ですし、登記されることもありません。

TACの山本先生の著書に登記申請書は登記記録の下書きであるとの記載がありますが、実務上今でもそれを意識しています。雛型を覚えるより、どのように登記されるのかの記載例を押さえることの方がはるかに重要なのです。

合格は通過点に過ぎない

ここまで色々と述べてきましたが、司法書士を目指す以上、生涯勉強して自己研鑽に励むことが求められます。合格したからといって勉強から解放されるわけではないのです。ただ、長期にわたる無味乾燥な受験勉強でも実務では必ず役に立ってくれます。

特に、会社法・商登法の知識は実務上重宝されることが多いと思います。商業登記をたくさん扱う司法書士は少数なので、知識の抜けが著しいのがその理由です。

司法書士試験記述式問題の配点が変更されました(対策は必要なのか!?)

2024-06-24

2問70点から140点満点に

令和5年12月4日、法務省から令和6年度以降に実施する司法書士試験筆記試験午後の部の記述式問題の配点を変更することが公表されました。【変更内容】として、「2問で70点満点」から「2問で140点満点」に変更します、と記載されています。

実際に法務省のウェブページを見にいったのですが、理由の記載等もなく、あまりに簡潔な内容のために拍子抜けしてしまいました。

変更によって、択一式210点(60%)・記述式140点(40%)の配点となり、記述式の配点割合は上昇することになりましたが、択一式の配点割合を超えるまでには至りませんでした。

理由は?

1つ目の理由として、試験時間内に解き終えることができないほどに問題の分量が増えたことが考えられるでしょう。そのことによって、0.5点刻みの配点をしなければならなくなりますので、それを解消するためかもしれません。

2つ目は、択一問題得意な法律知識先行型の者より、実務能力に長けている者を司法書士として選抜したいのではないかということです。

対策は?

あくまでも私見ですが、特別な対策は不要で今まで通りの勉強方法で良いのではないかと思います。記述式の配点割合は増えましたが、依然として択一式の配点の方が多いので、択一で逃げ切り点を確保して、記述式の基準点を死守するのが良いのではないでしょうか。ただ、択一の基準点を下げて記述の被採点者数を増やすようなことがあるのなら、他の対策も考えられるかもしれません。

司法書士試験の受験者数は年々減少していますが、被採点者数は約2,000人となっており、毎年これが維持されています。令和6年度以降も踏襲されると予想します。

ところで、令和3年度から司法書士試験の出願者数が増加しています。その後も増加が続き、令和6年度の出願者数は16,837人、前年度より4.4%増加で、令和に入ってから最も多くなっています。

相対評価試験

司法書士試験は、上から順番に取っていく相対評価試験です。この点が、6割取れば合格する行政書士試験と異なります。また、3つの基準点の設定によって不得意科目があると合格できない試験であることも特徴です。それ故、特別な対策は不要ではないかと考える訳です。

記述得意な人が挽回可能になるという見方もあるようですが、そもそも何々が得意とか言っている時点で上位5%の争いの場に立つことさえ困難なことだと思います。

R5司法書士試験不登法記述問題の疑義について

2023-09-04

解なしの記述問題!?

令和5年度の司法書士試験で出題された不動産登記法記述問題に不備があったため、厳密に解釈すれば解答が存在しないこととなり、受験生や予備校が混乱しているようです。早速、法務省のホームページから試験問題を入手して、私なりに検討してみました。

申請件数及び登録免許税の額が最も少なくなるように

この要領で登記を申請するように問題文の「事実関係に関する補足」に記載がされています。第1欄では、譲渡担保契約を合意解除したうえで、譲渡担保権設定者が非居住用不動産を売却した際の登記申請書の作成が求められました。なお、売却前に売主には後見人と後見監督人が選任されているという事案です。

所有権抹消を選択すれば登録免許税は安くなりますが、抹消→名変→移転の3件の申請となり、一方、所有権移転を選択すると登録免許税は高額となりますが、移転→移転の2件の申請となります。つまり、申請件数及び登録免許税の額が最も少なくなるような登記申請は存在しないのだから、どちらを書くべきか非常に悩ましかったようです。

問題文冒頭に司法書士が本人確認情報を作成した記載がありますので、移転→移転の登記申請は考えにくいとも言えます。また、後見人が登記申請人となる場合の本人確認は誰についてするべきなのかが問われています。売却不動産が居住用の場合だと、そもそも本人確認情報の作成は不要となりますので、当該不動産が居住用でないことも問題文に明記されています。

出題者の意図として、民法第864条の規定により後見監督人の同意を要する行為であること及び本人確認の対象は後見人であることを問うために「抹消」の方を書いて欲しかったことは推測できます。

順位変更と順位放棄

第3欄においては、2番抵当権と3番根抵当権の順位を同順位とする契約を締結した際の登記申請書の作成が求められました。根抵当権者は、元本の確定前は転抵当を除き、民法第376条の処分はできませんが、先順位の抵当権者から根抵当権者が376条の処分を受けることはできます。

つまり、順位変更と順位放棄の2通りの登記申請が可能となるのですが、登録免許税が安くなるのは順位放棄です。では、順位放棄が正解なのかと思えば、問題用紙の「添付情報一覧」の中に順位変更契約書(事実関係に基づき関係当事者全員が作成記名押印したもの)の記載が出てきます。

したがって、順位変更を書くべきだと判断せざるを得ないともいえます。ここでも、上記と同様に現場の受験生を悩ませたようです。

問題にケチをつけない

では、このような記述問題に対処するにはどうすればよいのでしょうか。先ず、法務省には受験者がどちらを書くべきか迷うことがないような問題の作成をしていただくのが一番良いのは言うまでもないですよね。その上で、問題に不備があったとしても受験者に公開されるのは得点のみであり、配点や問題の正解すら明らかにされません。

よく言われていることですが、出題者の意図を考えて解答することが最善の方法ではないかと考えます。予備校の記述式解答例をみてもそれを意識したものとなっているように思えます。また、問題の量が多いために解答時間を延長するべきだと言われる方がいらっしゃいますが、仮に午後4時間にしたとしても合格点が上がるだけで、相対評価の試験である以上合格者の顔ぶれはほとんど変わることはないでしょう。

司法書士試験受験者として、問題にケチをつけない、合格できないのを問題のせいにしない姿勢が重要なことではないでしょうか。

令和4年度司法書士試験の合格発表!合格率は?上乗せ点は?

2022-10-17

筆記試験の合格発表

令和4年10月11日、令和4年度の司法書士試験筆記試験の合格発表がされました。受験番号が法務局または地方法務局の掲示板に掲示されたほか、法務省ホームページにも掲載されました。

合格者は口述試験を受験することになりますが、替え玉受験などの不正がないかの本人確認のためになされるに過ぎませんので、筆記試験の合格で実質的に合格確定です。

合格者数と合格率

合格者数は正式には発表されませんが、各受験地の合格者数を合計するとわかります。わざわざ数えなくてもネット上にいくらでも情報が溢れていますので、それによると合格者数は659人だったようです。受験者数ベースでの合格率は5.1%で、昨年とほぼ同様となりました。受験者数は年々減少しているのですが、今年度は昨年度より1,000人弱増えたようです。

合格点は216.5点で、合格点に到達しているのは717人でした。記述の基準点に達していませんと不合格となってしまいますので、例年通り合格点に到達していても不合格となる方が数十人いらっしゃったようです。

記述の基準点に変化が

記述の被採点者数は2,316人で、平均点は33.83点でした。例年通りなら、基準点は34点になると思うのですが、今年度の基準点は35点となっています。何故、1点上げたのかは不明です。

合格者を何人位とするかは予め決まっていますので、合格点を上げることもできたはずです。記述の基準点を厳しめにして人数を調整したといったところでしょうか。

上乗せは8.5問

合格点から基準点合計を引いた点数が25.5点となり、上乗せ8.5問となりました。択一基準点が52問だったことから、逃げ切りには61問必要だったことになります。こちらは、平年より若干高いでしょうか。

口述試験対策

今年度合格された方、おめでとうございます。口述試験は本人確認に過ぎないと言われていますが、きちんと対策はされたほうが良いと思います。少なくとも、司法書士法の条文で過去に聞かれたところは暗唱できるようにしておくと、当日を不安なく迎えられます。

質問に対して間違った回答をしても、落とされることはありません。私も誤答をしましたが、指摘されるようなこともなく、直ぐに次の質問に移っていました。

リベンジを期す方

私自身、平成28年の不合格が分かった時、現実をなかなか受け入れることができませんでした。自分の不甲斐なさを感じたのはもちろんなのですが、応援してくれている妻や子、親などの周りの人達に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになったものです。

合格法として、択一で上乗せ点を確保して、記述の基準点を死守するのが王道だと思います。また、今まで使ってきた予備校やテキストは変えないほうが良いというのが私の考えです。勉強法を変えなければいけないと焦る気持ちもわかりますが、ひとつのやり方として捉えていただければ幸いです。

受験生活を長引かせないための対策

2022-07-25

はじめに

令和4年7月3日、今年の司法書士試験が実施されました。私は、平成29年に資格を取得したわけですが、当時通学していた東京法経学院の受験仲間と先日2年ぶりに飲む機会がありましたので、特に中高年の受験生に向けて司法書士試験の対策について書いてみたいと思います。

苦手意識のある科目を作ってはいけない

択一11科目、記述2科目のうち、1科目でも苦手意識があるとなかなか厳しいと思います。苦手科目を作ってはいけないのはもちろんなのですが、苦手科目は答練や模試などで客観的に明らかになるので分かりやすくて対策はしやすいです。

私が強調したいのは、苦手意識を持ってはいけないということです。例え、マイナー科目であっても苦手意識があるものについては多くの学習時間を費やしてそれを払拭するべきでしょう。

言うまでもなく、午前・午後択一、記述と3つの基準点が設けられ、それを1つでもクリアできないと合格できないわけですから、私の場合はこの点について常に気を配っていました。

条文、テキストの読み込みが疎かになっていないか

実務に就いてからは条文の大切さを身に染みて感じています。法律の勉強の主たるものとして、条文をどのように解釈するかということが挙げられると考えています。

条文を読んだだけで全てを理解できるわけではないので、それをかみ砕いて分かりやすく記述したものがテキストです。法律の勉強とは、六法を参照しながらテキスト(基本書)を読み進めていくことであり、それが王道ではないでしょうか。

択一の点数がなかなか伸びないのは、過去問回しが勉強方法の中心となっているからかもしれません。

手を広げすぎない

やたらに多くの教材を持っている受験生がいるようですが、私もかつてはそうでした。あれもこれもと欲張って色んな教材を手に入れてしまう。結局、どれも中途半端になってしまい、実力が身につかない。

今の時代、ありとあらゆる情報が飛び交っていますので、どのテキストを読めばいいのか判断できずに迷ってしまうことがあると思います。肝心なことはどのテキストを選ぶかではなく、一度決めたテキストは変えずに心中するつもりで繰り返し読み込むことです。

司法書士受験に完璧なテキストはありません。どれを選んでも情報の過不足が生じますが、合格点は取れるように作られています。

繰り返すことによる効果は想像以上に大きいものです。長期記憶となって頭の中に定着したものは、少々のことでは忘れることはありません。

解答テクニックを身につける

法律の勉強と同様に重要なのが解答テクニックです。特に午後の試験について触れていきます。

択一は全部の肢を検討している時間などありませんから、文章の短い肢から読んでいき、軸肢を決めます。軸肢を間違うとその問題は不正解となりますが、そんなことを気にする必要はありません。軸肢の判断で間違わないように知識の精度を上げていくことに注力すればよいのです。

本試験では模試とは違い、慎重になって他の肢も検討したくなりますが、決して読んではいけません。午後の択一基準点は最もクリアしやすくなっていますから、間違いを怖れるよりスピード重視でいきましょう。

記述はどちらから手を付けるかは重要なのですが、その年によって違ってくるので難しいです。私の場合は商登法から解いていましたが、令和4年度は不登法から解いた方が良かったですね。変な問題、令和4年度で言えば合同会社の問題を見たときにすぐに不登法に移るようにするのもテクニックの一つとなるでしょう。

要するに、記述だけでなく択一にも言えることですが、できるところから解いていって確実に点を積み上げていくごく当たり前の戦略が非常に重要となります。

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