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重要土地等調査法に基づく届出義務とは?

2025-10-20

重要土地等調査法とは

重要施設周辺、国境離島等の機能阻害を防ぐため調査、規制の措置を講じることを定めた法律であり、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号。以下「重要土地等調査法」という。)が、令和3年6月23日に公布され、令和4年9月20日に全面施行されました。

重要施設とは、自衛隊、在日米軍基地等の防衛関係施設、海上保安庁の施設、原子力関係施設及び空港(自衛隊施設が隣接し、かつ自衛隊も使用する施設)を指します。

注視区域、特別注視区域の指定

重要施設(防衛関係施設等)の周囲おおむね1,000メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等(土地及び建物)が機能阻害行為(重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為)の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することとしています。

三鷹市周辺では、令和5年12月時点で小平学校、東立川駐屯地、立川駐屯地等が指定されています。今後、注視区域が新たに指定されることもあり得ます。

また、重要施設や国境離島等の機能が特に重要、又はその機能を阻害することが容易で、他の重要施設や国境離島等によるその機能の代替が困難である場合は、注視区域を特別注視区域として指定することとしています。

東京都下においては、同年同月時点で横田基地、横田飛行場が特別注視区域として指定されています。

届出制度

特別注視区域内にある一定面積以上の土地及び建物(以下「土地等」という。)に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転又は設定をする契約を締結する場合には、契約の当事者(売主及び買主の双方)は、あらかじめ、法令に定められた事項を内閣総理大臣に届け出る必要があります。

なお、重要土地等調査法は、土地等の取引を規制するものではありませんので、適法な届出書を提出した場合には、土地等の売買等の契約締結は妨げられません。

届出が必要な場合

届出を行う必要があるのは、特別注視区域内にある200㎡以上の土地や床面積が200㎡以上の建物に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転又は設定をする契約を締結する場合です。例えば、売買、贈与、交換等の契約を締結するときが該当します。

対して、相続によって土地等を取得する場合には届出は不要です。土地等の賃貸借契約を締結するときも同様です。

届出をしなかった場合

以下のいずれかに該当する場合には、6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が課せられることがあります。

  • 届出をしないで契約をした場合
  • 契約をした日を含めて2週間以内に届出をしなかった場合(民事調停法による調停等によって事後届出の対象となったとき。)
  • 虚偽の届出をした場合

NISA改正で未成年も利用可能に!?

2025-10-14

金融庁の税制改正要望

2025年8月29日、金融庁は2026年度の税制改正要望の内容を公表しましたが、ポイントとなるNISAに関連する主なものは以下のとおりです。

NISAは現在18歳以上が利用できますが、今後それが全世代に開放されて使いやすくなる可能性があるのです。0歳から資産運用を始めることができれば、長期運用が容易となって資産形成に資することが期待されているようです。

  • つみたて投資枠を未成年者にも拡大
  • 対象商品の拡充
  • スイッチング(投資商品の入れ替え)規制の緩和

贈与税

年間110万円までの贈与なら贈与税はかからないということをご存知の方は多いでしょう。言うまでもなく、つみたて枠をフルに使うと贈与税がかかります。じゃあ、毎年110万円に抑えてつみたてをすればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、事はそう単純ではありません。

贈与契約については後述しますが、仮に贈与が認められたとしても一定の期間にわたって一定額を繰り返し贈与する定期贈与に該当すると贈与税が課される可能性があるのです。

例えば、「毎年100万円を10年間に渡って贈与する」というような約束(契約)をした場合です。この場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束した年に「定期金に関する権利(10年間に渡り毎年100万円ずつの給付を受ける権利)」の贈与を受けたものとして1000万円から110万円を控除した残額に対して贈与税が課されます。

贈与契約

贈与は契約です。契約は当事者同士の意思表示が合致することで成立します。つまり、「あげます。」「もらいます。」の両方の意思表示が合致しなければならないのです。

意思表示をするためには、そのための能力を有していなければなりません。何歳になれば能力を有することになるかですが、一般的には10歳前後とされています。当然のことながら0歳児には「もらいます。」という意思表示はできません。

では、どうするか。親権者である父母が法定代理人として意思表示をすることができます。例えば、祖父が0歳の孫に贈与したい際には、祖父と孫の父母間で贈与契約を締結することによって目的を叶えることができるのです。

上述した全世代NISAが実現すれば、0歳でもNISA口座が開設できます。未成年者名義の口座は開設できますが、口座内において親や祖父母の資金で購入した金融商品を管理すると問題が生じます。

名義預金(口座)

名義預金とは、名義人と実質的な所有者が異なる預金のことを指します。具体的には、親や祖父母が子供や孫の名義で開設した口座に自分のお金を預ける行為などが含まれます。

例えば、未成年者名義のNISA口座に対して親や祖父母が勝手に入金を継続しても、贈与契約がされていなければ、実質的な所有者は入金をした者です。

名義預金は相続財産とみなされて相続税の課税対象となりますので注意が必要です。

相続人による時効の援用

2025-10-06

はじめに

以前の記事「債権回収会社や法律事務所から債権譲渡通知書が送られてきたときの対処法」において、時効の援用をすることで借金の返済が不要となることに触れましたが、今回は相続人に債権譲渡通知書が送られてきた場合の対処法を解説する内容となります。

被相続人に心当たりがない

例えば、親御様が借金を残したまま亡くなられた場合に、お子様に対して債権譲渡通知書が送られてきた場合には、被相続人が誰かわからないということはありません。

ところが、被相続人に心当たりが全くないときがあります。ご自身の伯叔父母が亡くなられた場合です。その方にお子様がいなければ、直系尊属、兄弟姉妹の順に相続人となりますが、直系尊属、兄弟姉妹は既に亡くなって甥姪が相続人となるケースです。

お子様がいたとしてもその全員が相続放棄をすれば同様の結果となります。伯叔父母とは疎遠になりがちなので、そのようなことに巻き込まれる可能性があります。

相続放棄

対処法として、相続放棄または時効の援用をすることが考えられます。相続放棄は自己のために相続が開始したのを知った時から3か月以内にしなければなりませんが、債権譲渡通知が送られてきて初めて借金の存在を知ることがほとんどでしょう。期間の経過によって相続放棄ができなくなるわけではなく、通知が届いてから3か月以内であれば相続放棄が可能なこともあります。

相続放棄をするメリットは、全ての債務(資産も)を相続しないことになりますので、時効の援用のように個別の債権者毎に対応することが不要となることです。また、通知書に書かれている電話番号に電話をしてしまい、債務の承認によって時効の援用に失敗して借金を支払う事態に陥ることを避けられます。また、時効期間経過前に時効の援用をしますと、借金を相続することを前提としてなされた行為だと捉えることができますので、後に相続放棄をすることができなくなることも考えられます。

デメリットは、3か月という期間制限が設けられていること並びに手続及び費用の負担が時効の援用に比べて大きいことです。相続放棄をすると借金だけでなく、プラスの財産も相続できなくなりますが、被相続人と疎遠である場合には資産の調査をするのにも時間がかかります。

時効の援用

確実に時効期間が経過しているのならば、時効の援用を選択することもできます。相続放棄と比べて、時間の制約がなく、手続、費用面での負担も抑えることができます。

ただし、時効の起算点がいつになるのか、相続放棄と時効の援用のどちらがよいのか等の判断は、司法書士、弁護士等の専門家に相談をしたうえで行うべきだと考えます。上述したように、安易に電話をしてしまうと、債務の承認によって時効の援用ができなくなるおそれがあります。絶対に電話をしないように注意喚起しておきたいと思います。

遺贈の放棄について

2025-09-29

遺贈とは

遺贈とは、遺言によって遺産の全部または一部を処分することです。

例えば、お子様のいないご夫婦が遺言書を作成せずに亡くなった場合はどうなるでしょう。亡くなられた方の兄妹姉妹や甥姪等も相続人となりますので、残された配偶者はそれらの方々と遺産分割をしなければなりません。疎遠であることを理由に連絡を取っても無視されることが多く、配偶者の負担は計り知れません。また、推定相続人のいない方が亡くなった場合には、遺産は最終的には国庫に帰属します。

しかしながら、生前に遺言書を作成し遺言によって財産の帰属先を配偶者、社会貢献活動を行う非営利団体、お世話になった方等に定めることができますので、前述したような不都合を回避することができるのです。

遺贈の種類

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。包括遺贈とは、相続財産の全部または割合的な一部を遺贈することです。包括という言葉から遺産全部を遺贈するものと考えてしまいがちですが、「遺産全体の2分の1をAに遺贈する。」のような割合的な遺贈も包括遺贈となります。この場合、積極財産だけでなく債務等の消極財産も包括的に承継されます。

一方、特定遺贈とは、特定の具体的な財産を指定して遺贈することです。例えば、「甲土地をBに遺贈する。」というものが特定遺贈となります。

特定遺贈の放棄

ここからは、遺贈の放棄について解説しますが、特定遺贈と包括遺贈では放棄の方法が異なりますので注意が必要です。

遺言者が死亡した時から遺言の効力が生じますが、受遺者(遺贈を受ける者)は遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができます。例えば、負担の大きい負動産を遺贈された等が理由となるでしょう。

放棄の方式は特に定められておらず、遺贈義務者(遺言執行者、遺言者の相続人その他の遺贈の履行をする義務を負う者)に対し、口頭で放棄の意思表示をすることで足りますが、後のトラブルを避けるために書面(内容証明郵便が望ましいです。)で行うことを推奨します。

包括遺贈の放棄

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するために、遺贈の放棄については相続放棄の規定が適用されます。つまり、包括遺贈を放棄するときは、包括受遺者が自己のために遺贈の効力が生じたことを知った時から3か月以内にその旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

消極財産の方が多い包括遺贈をされた場合、相続人が複数いる場合に遺産全部を目的とする包括遺贈がされ、他の相続人とのトラブルを避けるため等が理由になり得るでしょう。

受遺者に対する催告

包括受遺者が遺贈の放棄をせずに前述した3か月を経過しますと、包括遺贈を単純承認したものとみなされます。対して、特定受遺者には期間の制限がありませんので、いつまでも承認または放棄するかの意思表示をしない場合には、遺贈義務者その他の利害関係人は不安定な立場に置かれます。

そこで、遺贈義務者その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができるとされています。受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなされます。

住所が異なる同一共有者の相続登記

2025-09-22

事案

共有者2名のうち一方(以下「甲」という。)が死亡し、遺産分割協議により他の共有者(以下「乙」という。)が相続することになったが、登記未了のまま乙も死亡し、丙が相続した。

連件申請1件目の甲持分全部移転登記の申請により、乙の登記簿上の住所が生前の共有持分取得時に登記されたものと相違する。

問題の所在

上記の登記申請により乙は「共有者」として登記されます。登記簿上住所が同一でないことから形式的に別人と扱われるというのがその理由です。ちなみに、住所が同一の場合には「所有者」と登記されます。

後件で申請する登記の目的を「所有権移転」とするのか、または、形式的に別人と扱われるために「共有者全員持分全部移転」とした方がよいのか非常に悩みました。また、相続を原因として後者で登記するのには違和感を覚えますし、一方で形式面を重視するならばそれでも問題はないとも考えられます。

対象不動産は敷地権付でないマンションでしたので、土地についても登記申請する必要がありました。専有部分と同様、後件の登記の目的を「乙持分全部移転」にしてよいのか頭を悩ませました。住所の異なる共有持分取得登記のうちどちらを目的にしているのか特定できないとも考えられるからです。

事前相談

登記の目的が正確ではなかったとしても補正で済む話なのですが、法務局の手を煩わせるのは資格者として失格だと思いますので、事前相談をすることにしました。

ネット検索をしてみたところ、色々な情報が掲載されており錯綜していると感じたからです。法務局によって取扱いが変わることも十分に考えられます。

法務局の回答

建物については「所有権移転」、土地については「乙持分全部(順位○番で登記した持分)、乙持分全部(順位○番で登記した持分)移転」として下さいとのことでした。

私の見解は、建物については形式面を重視して「共有者全員持分全部移転」とすべきというものだったのですが、法務局側は、戸籍の附票等により被相続人の同一性が確認できれば「所有権移転」で問題ない、相続を原因として「共有者全員持分全部移転」と公示するのは相応しくないと判断したようです。土地については、多少の文言の相違はあったものの私の見解とほぼ同様のものでした。

最後に

建物については、「所有権移転」でも公示上混乱を招くようなことはないですが、土地について「乙持分全部移転」としてしまうと、上述したようにどちらを目的にしているのか特定できないことから公示上好ましくないと判断されるのではないかと思います。

いずれにしても、管轄法務局によって異なる回答がされるおそれが高いと感じています。事前相談は必須といえるのではないでしょうか。

相続した農転不可の農地の処分方法

2025-09-16

はじめに

以前の記事「遺産分割中の共有持分放棄は絶対にお勧めしません!(負動産限定)」にて、私が農転できない農地を相続したことを書きましたが、今回はその農地を処分した経験談を記事にしたいと思います。

現状把握

過去の記事で何度も触れていますが、私が相続したのは地方にある実親の実家、山林及び農地です。農地処分を主目的として、市町村の空き家バンクに登録したのですが、なかなか買い手が見つからず、固定資産税及び雑草刈取り費用の負担が継続していました。

空き家バンクで目的が達成できない場合に備えて、相続した土地(農地)が相続土地国庫帰属制度の要件を満たすものなのかを把握する必要がでてきました。

私が子どもの頃は、実家の便所は汲み取り式だったのですが、相続後に発見された資料により便槽を撤去して合併浄化槽を設置する工事がされたことがわかりました。更に、図面では合併浄化槽は宅地内に設置されているようになっていますが、実際は隣接する農地に設置されていることが現地を見て判明します。

農転許可の問題があるとは思うのですが、今さらそれを追及しても意味はないでしょう。それより、地下に埋設物がある場合には、国に引き取ってもらうことはできません。ただ、撤去してしまうとトイレだけでなく生活排水の手段が奪われてしまいますので、実家を住居として使うには、別の場所に移設するしかありません。

また、農地上に電力、電話会社の電線が通っており、複数箇所に電柱が設置されていました。登記記録を確認したところ、地役権の登記はされていませんでしたが、事実上承役地になっていると認定されるおそれがあるでしょう。

最後に境界についてですが、現地を隈なく見てまわったところ境界標のようなものを一切見つけることができませんでした。以上のことから、相続した農地を相続土地国庫帰属制度によって国に引き取ってもらうことはほぼ無理だと判断するに至ったのです。

値下げを拒む仲介業者

空き家バンクには、指定された民間の仲介業者が存在しました。できるだけ早く処分をしたかったので、仲介業者に売値の値下げの申し入れをすることにしました。しかしながら、なかなか売れないのは農地を抱き合わせにしているのが原因だから、宅地建物だけを値上げして売ったらどうかと逆に提案されたのです。

腹立たしいことからこれ以上は書きませんが、不動産屋がどういうものかご理解いただけるのではないかと思います。

売れるものから処分はNG

売れるものから処分しましょうという提案がされることはよくあります。それをやってしまうと最後に農地が残ってしまい、どうすることもできなくなるのは目に見えています。

それを避けるために有効なのが抱き合わせ販売です。農地に限らず、売りにくい不動産なら抱き合わせは使えると考えます。また、近所である必要はなく、例えば三鷹の土地と地方の不動産の抱き合わせも可能です。

仲介業者から嫌がられるとは思いますが、こちらも子ども世代にまで負担をかけないことを目的としていますので、背に腹は代えられません。

贈与

以前の記事「売れない不動産は贈与!?無償譲渡物件のマッチングサイトについて」においてマッチングサイトのことに触れましたが、結局、そのサイトでマッチングした方に贈与することによって農地を処分したというのが結果です。

後のトラブルを避けるために贈与契約書を私が作成し、登記申請も行いました。自分が自分へ委任状を出すことは実親の相続登記以来2回目となりました。

今後も、「負」動産を処分するのに贈与は有効な手段だと思っています。最近では、高額な管理費の負担がある別荘地がサイトに掲載され、0円で引き渡し及び現金数百万円上乗せというような募集を見かけます。法的には不動産及び現金の贈与となるのですが、近い将来、贈与すらできない負動産は有償で処分するのが当たり前になるのかもしれません。

会計監査人、役員との違いについて

2025-09-08

会計監査人とは

会計監査人とは、会社の計算書類等を会計監査することを主な職務・権限とする株式会社の機関であり、他の機関である業務監査権のない監査役とほぼ同様の権限を有しているとも言えます。

監査役は会社内部の役員であって計算書類等に限らず会計一般を監査するのに対し、会計監査人は会社外部の専門家であり、計算書類等のみを監査する点が両者の違いです。

資格要件・欠格事由

会社法では会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならないと定められています。

また、欠格事由として、公認会計士法の規定により計算書類について監査をすることができない者、株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者(監査法人でその社員の半数以上がこの要件に該当するものを含みます。)が定められており、これらの事由に該当すると会計監査人の地位を失います。

設置義務

大会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は会計監査人を置かなければなりません。大会社とは、最終事業年度に係る資本金の額が5億円以上または負債総額が200億円以上の会社を指します。

設置義務を負わない会社が任意に会計監査人を置くこともできますが、会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければなりません。

選任の決議要件

会社法が定義する「役員」とは、取締役、会計参与及び監査役を総称するものであり、会計監査人はそれに含まれません。

選任決議についても両者には違いがあります。役員は株主総会の普通決議によって選任しますが、定足数を排除することはできず、その下限が3分の1と定められています。

対して、会計監査人は制限のない普通決議によって選任することとされていますので、定款に定めることにより定足数を排除することも可能です。

補欠の会計監査人

欠員が生じないように、予め補欠の役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。)を選任することが認められています。

補欠役員の選任決議は欠員が生じることを条件とした役員の選任決議と解することができます。欠員が生じること及び就任承諾によって補欠役員が就任することになりますが、任期の起算点は選任決議をした日となりますので注意が必要です。

会計監査人については予め補欠の会計監査人を選任することはできず、現実に欠員が生じてから一時会計監査人の職務を行うべき者(以下、「仮会計監査人」といいます。)を選任しなければなりません。

このようなことから、役員と異なり、会計監査人が退任後にその権利義務を有することはありません。また、役員の欠員が生じた際、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができるとされていますが、仮会計監査人の選任に裁判所が関与することはありません。

仮会計監査人の選任は、監査役が行うこととされていますが、監査役会設置会社では監査役会、監査等委員会設置会社では監査等委員会、指名委員会等設置会社では監査委員会が行います。

任期とみなし再任

会計監査人の任期は 「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」 とされています。任期の短縮・伸長はできません。

また、定時株主総会において会計監査人について別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなされます。

対して、仮会計監査人については任期が定められておらず、後任の会計監査人が就任した時に退任します。仮会計監査人の氏名又は名称は登記事項ですが、後任の会計監査人の就任登記を申請した際に仮会計監査人の登記に抹消する記号(下線)が記録されます。

監査役等による解任

会計監査人は、役員と同様に株主総会の決議によって解任することができます。

加えて、職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき、会計監査人としてふさわしくない非行があったとき等に該当するときは、監査役は全員の同意(監査役会設置会社では監査役会における監査役全員の同意、監査等委員会設置会社では監査等委員全員の同意、指名委員会等設置会社では監査委員会の委員全員の同意)により会計監査人を解任することができるとされています。

チョコラン復帰勢の日常・Part1

2025-09-01

オルタリエを目指す

以前の記事「18年続いているオンラインゲームを親子2代で遊ぶ」にて、親子でチョコランを遊んでいることを紹介したのですが、今回は復帰後に具体的にやってきたことを書いてみたいと思います。

復帰するきっかけとなったのが、転職条件の緩和とオルタリエの存在です。以前は、4次職になるためには3次職をレべ99にして、非常に困難なミッションをクリアする必要があったようです。無課金者には実質的にクリア不可能となっていたようで、課金者に手伝ってもらわない限り4次職にはなれませんでした。それらが緩和され、ロードマップを進めるだけで誰でも4次職で遊ぶことができるようになったのです。

何を目指すかですが、私はオルタリエ一択だと思っています。ペット(霊獣)に敵を倒してもらうペット職なので、自分で倒す醍醐味を味わえないのではないかと不安でしたが、今ではその選択は間違っていなかったと感じています。一方、娘は最初物理職を目指していましたが、サムライに転職したときに私がオルタリエへの方向転換を勧めて、現在では二人ともオルタリエになっています。

職業協会クエスト

ロードマップを進めてデュアルスター80になった時点で、オルタリエ転職前に職業協会クエストにチャレンジすることにしました。言うまでもなく「デュアルトレジャー」を取得するためです。そのために参考にしたのがYouTube動画「0からデュアルトレジャー習得まで」です。

視覚的に情報が入ってきますし、非常にわかりやすく作られていますのでお勧めです。特に、序盤の迷路のようなマップは動画を一時停止してそれを参照しながら攻略すると道に迷って時間を浪費することがなくなります。

デュアルスターのステ振りですが、LUK極振り、その他はお好みで良いと思います。「銀の首あて」の素材にワグティカのLUCKYアイテムがあるのですが、LUK未振りの状態ではストレスを感じる程盗めないです。230には届きませんが、ある程度回避率が上昇するのも良い点と言えます。

最後のクエスト「マミミの想い」では、フュージョンソウル、オーダインを使わずにペット2体でチャレンジするとクリアしやすいです。オルタリエでも同様で、霊化させずにペット2体を召喚するだけにすることでクリア可能です。

バリゲットン

最後にシーフのスキル「バリゲットン」について書いてみたいと思います。最大の関心事はスキルレベルを上げるのか、または、上げるとしたらどこまで上げるかでしょう。

装備を作る際に素材集めが必要となるときがあります。オルタリエを目指すなら、メイリン装備を作ることになるかと思いますが、そのときにもイナツミ素材等を集めなければなりません。シーフには優秀なスキルが多いので、スキルポイントはできるだけ温存しておきたいところです。

私はスキルレベルを1のままにしていますが、盗みの成功確率が低いので素材集めには時間がかかります。そのため、娘のメイリン装備を作る際にバリのレベルを7まで上げましたが、さくさく盗めて好感触でした。レベル10の半分のスキルポイントで済みますので、他の優秀なスキルにも影響は少ないと思います。

ただ、素材は周回をしてデュアルトレジャーの恩恵を受けながら集めることの方が多いので、スキル1のままを推奨しておきます。ちなみに、私はレイコール7Fセットのためにサケールをレベル10にしていました。シーフはスキリセ決定ですね。

農地の売買と相続登記の要否

2025-08-25

農地の所有権移転の効力発生日

農地の所有権を移転するには、売買契約等の締結及び農地法所定の許可到達の両方が必要です。通常、両者の日付は一致しないことが多いので、契約締結日と許可到達日のうち後の日付が所有権移転の効力発生日となります。

以上のことから、契約締結後、許可が到達する前に当事者が死亡した場合に、相続登記の要否が問題となります。

許可到達前の売主死亡

売主について相続による所有権移転登記を申請した後、買主への売買による所有権移転登記を申請します。

相続登記を省略することはできません。許可到達前に売主が死亡していますので、農地の所有権は一旦売主の相続人に移転します。不動産登記制度における物権変動の過程を忠実に公示すべきであるという原則の存在がその理由です。

令和7年度司法書士試験

今年の試験の不動産登記記述式問題で上記の論点が出題されました。AB共有の甲土地に農地法第3条の許可を停止条件とする「条件付共有者全員持分全部移転仮登記」がされ、その仮登記の本登記を申請するにあたり、農地法所定の許可到達前にBが死亡した際の相続登記の要否を問う問題です。

法務省は模範解答例を公表しませんので、予備校のものを参照すると相続登記は省略しているようです。その根拠として、先例の存在を掲げています。Bの相続登記を申請しても、仮登記の本登記申請によってその登記が職権抹消されてしまうから省略可能という内容のものです。

あくまでも、申請人の負担を考慮して便宜的に省略を認めている趣旨だと考えます。登録免許税の負担もありますし、もっとも、農地なので租税特別措置法によって非課税になるとは思いますが、申請件数が増えるのは負担となります。

試験問題では「答案作成に当たっての注意事項」により、相続登記不要というのが出題者の意図ではないかと捉えられているようです。

では、実務上相続登記を申請すると却下されてしまうのかというと、そんなことはありません。寧ろ、物権変動の過程を忠実に公示すべきであるという要請に応えるべく相続登記は省略できないという見解を有する人達もいらっしゃるようです。

許可到達後の売主死亡

売主の相続人全員と買主の共同申請により所有権移転登記を申請します。

この場合、許可到達によって農地の所有権は買主に移転しますので、売主の相続人に所有権が帰属する余地はありません。

許可到達前の買主死亡

農地法第3条の許可申請は売主及び買主が共同で行います。実務上は、行政書士が双方の代理人として申請することが圧倒的に多いです。言うまでもなく、許可の時点で買主が亡くなっていますので、死者に対してその効力が生じることはありません。

したがって、売買による所有権移転登記の申請はできないことになります。

許可到達後の買主死亡

売主と買主の相続人の共同申請により、買主を登記名義人とする所有権移転登記を申請します。

買主は生前に許可を得ていますので、その時点で農地の所有権を取得しているからです。

20歳の子どもの国民年金保険料は親が払う!?

2025-08-18

国民年金加入のお知らせ

20歳になった娘宛に日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」が届きました。前もって、日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方は国民年金への加入が法律で義務づけられている旨を通知する郵便物が届いていましたが、当の本人は全く関心がないようでした。

私が20歳のときを振り返ってみると、娘と同様に関心がなく、「国民年金?払うだけ無駄じゃないか。どうせ破綻するんだし…。」といった感じで未納状態を危惧するようなことは全くありませんでした。今でこそ、60歳から繰り上げ受給をしようと考えるようになり、年金について勉強しましたし、最も関心がある世代となっております。

そこで、今回は20歳の子どもの年金保険料は親が払うことで未納期間を作らないようにすることをテーマに書いてみたいと思います。

親の心

国民年金に無関心だった20代の私が未納期間を作らずに済んだのは親のおかげでした。年金手帳を親が管理し、年金保険料を代わりに払ってくれていたのだと思います。

話は逸れますが、現在では年金手帳は発行されないようです。代わりに「基礎年金番号通知書」というカードサイズの用紙が送られてきます。万一、それを紛失してもスマホでマイナポータルにログインすれば確認可能です。

親だからこそ年金の重要性を理解していますし、親の立場になった今、今度は子どものために年金保険料を払うつもりです。学生納付特例、免除・納付猶予の制度を利用することもできますが、子ども自らが手続申請をするとも思えないです。

年金制度については子どもに教えたいと考えていますが、学ぶ気のない者に教えてもほとんど効果はないでしょう。先ずは年金についてどの程度知っているのかを探りつつ、自発的に年金について学ぼうという姿勢が出てくるのを待ちたいと思っています。

連帯納付義務

送られてきた封筒には、あて名の方の世帯主もご確認くださいと書かれています。何故かというと、国民年金第1号被保険者の世帯主および配偶者は国民年金保険料を連帯して納付する義務があるからです。期限までに納付されない場合は、納付勧奨を実施したうえで督促状が送付されます。

それでも納付されない場合、被保険者はもとより連帯納付義務者である世帯主または配偶者の財産が差し押さえられます。また、督促状で指定した期限までに未納の国民年金保険料が納付されない場合は、延滞金が課されることがあります。

最後に

厚生労働省の資料によると、厚生年金などを合わせた公的年金加入者全体の約99%の方が保険料を納付し、保険料を払っていない方は全体の1%ほどだそうです。また、日本の公的年金は国の制度ですから、国が存続する限り破綻することはありませんとも書かれています。

破綻することはないとしても、少子高齢化が急速に進んでいることを考えると制度が改悪されることはほぼ間違いないと言えるでしょう。

仮にそうだとしても、払わないという選択肢は考えられないです。配偶者が未納者だったために遺族年金を受給できない身近な親族が私にはいるというのがその理由です。

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