空き家特例の注意点を解説します!(令和6年1月1日改正対応)

空き家特例とは

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる制度です。

令和6年1月1日以後に行う譲渡で被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります。

先ずチェックすること

特例の適用を受けるために多くの要件が設けられていますが、先ずチェックすべきことを掲げます。

建物については、昭和56年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物登記がされている建物でないこと及び相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったことの全てに当てはまっている必要があります。

したがって、マンション、2世帯住宅で区分所有登記がされている建物は特例の対象外となります。

なお、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋は特例の対象となる場合があります。

令和5年度税制改正

特例の対象となる譲渡について、これまでは当該家屋(耐震性のない場合は耐震改修工事をしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合が対象でしたが、譲渡後、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに当該建物の耐震改修工事又は取壊しを行った場合であっても、適用対象に加わることとなりました。なお、この拡充については令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。

要するに、買主が建物を取壊す特約を設けたうえで売買契約を締結して土地と建物を引渡す場合においても適用が受けられることになったのです。

売主が取壊すのが望ましい

売買契約書に買主が建物を取壊す特約を付けたとしても、必ず履行されるわけではありません。期限も設けられていますし、買主の債務不履行によって特例を適用できない等のトラブルに発展する可能性もあります。

取壊し費用は売主または買主のどちらが負担をするかの問題に過ぎません。売主が負担すれば更地として売買価格は上がりますし、上物付きで売却すれば取壊し費用分だけ売買価格は下がることになるのです。したがって、当事務所では売主が取壊したうえで売買契約を締結することをお勧めしています。

数次相続時の登記申請に注意

事例:Aは、自己名義の乙建物(敷地は甲土地)に妻Bと共に居住していたところ、Aが死亡し、甲土地及び乙建物をBが相続したが、相続登記申請前にBが死亡し、甲土地及び乙建物は長男Cが相続した。

登記手続上、Aから直接Cに名義を移すことはできますが、空き家特例の適用を受けることができませんので注意が必要です。適用を受けるためには、A→亡B→Cのように名義を移す登記申請をしなければなりません。

 

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