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はじめに
新NISAの普及により、オルカンやS&P500などのインデックス投資を長期で積み立てる人が増えています。積立投資は始めることに注目が集まりがちですが、実は同じくらい重要なのが終わり方、つまり出口戦略です。
特に、分配金再投資型の投資信託を利用する場合、老後の資金管理をどうするかを早めに考えておく必要があります。
分配金を受け取れない投資信託の特徴
オルカンやS&P500などの投資信託は、分配金を受け取る仕組みではなく、ファンド内で自動的に再投資されます。分配金が銀行口座に振り込まれることはなく、基準価額に反映されるだけです。このため、投資信託は売却しない限り現金化できないという構造的な制約があります。
個別株の配当金は認知症対策になるのか
個別株の場合、配当金の受取方法はいくつかあります。銀行口座に振り込む方法を選択すれば、認知症になっても家族が銀行口座を管理することで医療・介護費用に充てることが可能です。
しかし、ここで重要な注意点があります。
NISAで配当金非課税を受けるには株式数比例配分方式が必須
新NISAの成長投資枠で個別株を保有している場合、配当金を非課税で受け取るためには、株式数比例配分方式を選択する必要があります。この方式では、配当金は証券口座に入金され、MRFが自動買付されます。ところが、MRFの現金化は証券口座名義人しかできないため、認知症対策としては不十分です。
つまり、
- NISAで個別株を買っている
- 配当金非課税を適用するために株式数比例配分方式を選んでいる
という人は、銀行口座に配当金が入らないため、個別株であっても認知症リスクに備えられない可能性があるのです。
判断能力があるうちに出口戦略を整える理由
認知症になると、証券口座での売買ができなくなります。家族が代わりに売却することも原則できません。したがって、投資信託を現金化するための仕組みを、元気なうちに整えておくことが不可欠です。
目安としては遅くとも75歳までに出口戦略を完成させることが望ましいでしょう。判断能力の低下は人によって早まる可能性もあるため、不安があるなら前倒ししても問題ありません。
出口戦略①:定期売却サービスの活用
2026年6月時点で、新NISA口座で定期売却サービスを提供しているのは楽天証券とSBI証券です。定率売却・定額売却など、自分の方針に合わせて取り崩し方法を選べます。年金で不足する部分を補うように、運用しながら計画的に取り崩す仕組みを作ることができるため、認知症リスクへの備えとして非常に有効です。
出口戦略②:代理人登録制度の利用
定期売却サービスがない証券会社の場合、代理人登録制度の利用が選択肢になります。あらかじめ子どもなどを代理人として登録しておけば、将来認知症になっても代理人が売却手続きを行うことが可能です。ただし、すべての証券口座で代理人登録ができるわけではありません。自分の証券口座が対応しているか、早めに確認しておく必要があります。
注意すべき点として、口座名義人が認知症であることを証券会社が把握した場合、口座は凍結され、代理人も取引できなくなります。これは銀行の預金口座と同じ扱いです。一方で、制度上は口座凍結となるものの、金融機関が認知症であることを把握しない限り、通常どおり取引が続くという現実があります。
もちろん、制度上は名義人本人の判断能力を前提とした仕組みであり、家族が勝手に取引することを推奨するものではありません。しかし、制度と現実のギャップを理解しておくことは、老後の資金計画を考えるうえで重要です。
さらに、代理人が売却できるようになったとしても、取り崩し方が拙ければ資金が枯渇する恐れがあります。4%ルールや暴落時の対処法など、長期運用の基本を子どもに理解してもらうことも、出口戦略の一部といえるでしょう。
認知症リスクまで含めて投資
誰にでも認知症になる可能性があります。だからこそ、投資の出口まで含めて準備しておくことが、長期投資家としての責任ではないでしょうか。新NISAは一生使える制度ですが、一生積み立て続けられるわけではありません。
元気なうちに出口戦略を構築しておくことこそ、安心して老後を迎えるための最も重要なステップなのです。

司法書士の藤山晋三です。大阪府吹田市で生まれ育ち、現在は東京・三鷹市で司法書士事務所を開業しています。人生の大半を過ごした三鷹で、相続や借金問題など、個人のお客様の無料相談に対応しています。
「誰にも相談できずに困っていたが、本当にお世話になりました」といったお言葉をいただくこともあり、迅速な対応とお客様の不安を和らげることを心掛けています。趣味はドライブと温泉旅行で、娘と一緒に車の話をするのが楽しみです。甘いものが好きで、飲んだ後の締めはラーメンではなくデザート派です。
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