民事法律扶助の援助要件について

はじめに

民事法律扶助制度は、経済的な理由により、司法書士・弁護士の支援を受けることが困難な方のために、無料法律相談を実施するとともに、司法書士・弁護士の報酬等を立て替える制度です。

平成18年10月、民事法律扶助業務は、総合法律支援法に基づいて設立された「日本司法支援センター(法テラス)」に引き継がれ、司法書士には、弁護士とともに、引き続き法的サービスの提供者として、かつ、民事法律扶助業務の担い手としての役割が期待されています。

3つの援助メニュー

民事法律扶助に関する業務内容として3つの援助メニューが用意されています。

  • 法律相談援助
    司法書士又は弁護士による無料法律相談の実施
  • 代理援助
    民事裁判手続やこれに先立つ和解交渉等において司法書士又は弁護士が代理人となった場合の報酬等の立替え
  • 書類作成援助
    訴状や各種申立書などの裁判所に提出する書類の作成を司法書士又は弁護士に依頼した場合の報酬等の立替え

援助要件・資力基準

資力基準は、「収入等」と「資産」という2つの基準で判断します。同居家族の人数に応じた、申込者及び配偶者の収入(手取り月収額、賞与を含む。)が、一定の額以下である必要があります。

例えば、三鷹市に居住する3人家族の場合は、手取り月収299,200円以下、家賃又は住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額66,000円以下の合計365,200円以下となります。

  • 同居者に生活費を支払っている場合
    申込者本人が同居している者に対し、給料の中から家賃や食費代として一定の金額を支払っている場合、この支払を家賃の支払とみなして、基準額に加算します。加算の限度についても現実に支払っている金額(限度額を超える場合は限度額)と同額です。

    支払う相手方は、(ⅰ)申込者と同居している者、(ⅱ)申込者又はその配偶者に対し住居を提供している者、(ⅲ)申込者の資力基準上の家族でない者といった要件があります。
  • 家族の人数の数え方
    家族の人数には、原則として(ⅰ)申込者、(ⅱ)申込者と同居する配偶者、 (ⅲ)申込者と同居し申込者又は配偶者が扶養している家族が含まれます。
  • 収入等の計算方法
    ①単身者の場合
    申込者の「収入」は、手取りの月収額(賞与を含む。)です。毎月の平均手取り額の12倍と年間の賞与額を合計して12で割って算出します。
    ②申込者に配偶者がある場合
    配偶者の収入は、同居の有無を問わずに加算します。収入額は、上記①の計算方法によります。ただし、離婚事件などで配偶者が紛争の相手方のときは収入を合算しません。
    ③申込者と同居している家族の収入
    申込者又は配偶者が定期的に受け取っている限度で加算します。
  • 資産について
    申込者及び配偶者の保有する不動産、現金及び預貯金等が基準を満たしていることが要件となります。例えば、3人家族の場合は270万円以下です。ただし、援助係争物件・生活のために必要な住宅及び農地は除きます。

勝訴の見込みがないとはいえないこと

「勝訴の見込みがあること」ではなく、「勝訴の見込みがないとはいえないこと」が援助要件とされていますので、それだけ要件が緩和されていると言えます。また、上述した援助メニューのうち、法律相談援助においては「勝訴の見込みがないとはいえないこと」という要件は不要とされています。

民事法律扶助の趣旨に適すること

民事法律扶助事業は、政府の財政支出により実施されるものですから、援助の申込みが申込者の「正当な」権利の実現に「合理的に」資するものでなければなりません。ですから、訴訟の目的が、単に相手方への嫌がらせ、報復的感情を満たすため等という場合には援助は認められません。

法律相談援助における資力基準の例外

法律相談援助については、申込者の手続的な負担の軽減を考慮し、資力基準の例外が定められています。

同居している家族から金銭的な援助を受けている場合でもその金額は含めず、申込者の収入(配偶者がいる場合は、原則配偶者の収入を含む。)で判断しますので、家族(配偶者を除く)からの家計への貢献は考慮されません。

次に、不動産や有価証券等を保有している場合でもその価値を含めず、現金・預貯金のみで判断することとなっています。

最後に

民事法律扶助制度は、法律相談援助を除き司法書士又は弁護士報酬等の立替えをするというものであり、報酬等の支払いを免除するものではありませんので注意が必要です。

 

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