詳しい説明はありがたいけど、もっと簡単に自分でする方法はないの?という方に抵当権抹消登記を自分でする際の注意点を解説していきたいと思います。
このページの目次
手順
1.抵当権抹消をする不動産を特定する
共同担保目録付きの登記事項証明書を登記所で取得します。分筆や建物の建替えなどで、抵当権設定当時と抹消時の物件が異なっていることがあります。共同担保目録付きで登記事項証明書を取ることで、現在抵当権が付いている物件がわかりますので、抹消漏れがないように注意して下さい。
オンラインで請求する方法もあります。登記所に行く必要がなく、自宅・会社から請求して郵送で受け取ることができます。事前準備として申請者情報の登録をして、請求書様式への入力、請求データの送信をします。手数料は窓口請求が600円となるのに対し、郵送受取は500円となります。インターネットバンキング等により電子納付します。
登記申請をする不動産が分かっている方は、ここは省略しても構いません。
2.管轄を調べる
不動産の所在地によって管轄する登記所が決まります。
こちらから調べることができます。→法務局の管轄案内
3.登記申請書の添付書類を作る
金融機関から預かった書類(解除証書、委任状など)のブランクのところを記入します。
4.登記申請書を作る
5.登記所に行き申請書を提出する
マイナンバーカードを使用して、オンラインで登記申請することもできますが、手間を考えると書面申請の方が簡単にできると思います。書類に不備があると登記所に出向いて補正をしなければならないこともあります。
解除証書について
(注1)注3と同じ日を記入します。
(注2)登記事項証明書に記載されている受付年月日と受付番号を記入します。建物に抵当権を追加設定した場合などには、受付年月日と受付番号を複数記入します。
(注3)ここがブランクの場合は、金融機関に確認して下さい。
(注4)登記事項証明書を参照して記入します。
委任状について
受任者または代理人の箇所には、所有権の登記名義人の住所・氏名を記入します。現在の住所と登記記録上の住所が転居等で違うときは、住所変更登記が必要となります。
登記申請書について
不動産登記申請手続の不動産登記の申請書様式についてのうち、抵当権抹消登記申請書を使用して作成します。記載例のとおり作成していけばよいのですが、わかりにくいところをピックアップして解説したいと思います。記載例の<解説及び注意事項等>の補足説明となります。
(注2)登記原因及び日付についてですが、上記解除証書の(注3)を記載します。解除証書を例に掲げましたが、「弁済証書」、「放棄証書」、「登記原因証明情報」などの書面を出してくる金融機関もあります。
また、長方形の「登記済」の判が押された抵当権設定契約証書に抵当権を解除する旨の奥書をしたものもあります。平成17年以前に設定された抵当権には、このタイプの解除証書が見られます。この場合には登記済証が解除証書を兼ねることになりますので、別途解除証書は交付されません。
(注4)会社法人等番号は、委任状に記載されていますのでそれを参照して下さい。記載がなくわからないときは、国税庁法人番号公表サイトで調べることができます。13桁の番号から先頭の1文字を取った12桁が会社法人等番号になります。
後半には色々とごちゃごちゃ書いてありますが、要するに会社法人等番号を提供することで、紙媒体の登記事項証明書を添付する必要がなくなるということです。ただし、抹消書類一式の中に「原本還付」と記載された閉鎖事項証明書が含まれている場合にはそのコピーを添付する必要があります。
(注9)実務上、抹消書類が交付されるときに登記済証または登記識別情報が無いことはほぼありません。抹消書類を預かったまま登記をせずに放置したために紛失してしまうという、所有者側の帰責事由によるケースがほとんどです。
稀だとは思いますが、抵当権者側が紛失してしまった場合には、印鑑証明書が交付されますのでそれを添付します。その場合のみ「登記識別情報を提供できない理由 失念」と記載し、それ以外は記載不要です。
登記申請後について
登記が完了すると登記完了証が交付され、添付した登記済証や原本還付請求した原本が返却されます。登記所に取りに行く場合には申請書に押した印鑑を持参しましょう。補正するときも同様です。