登記簿の附属書類の閲覧基準の改正について(令和5年4月1日施行)

登記簿の附属書類とは

登記簿の附属書類とは、登記申請書及び添付書面を指し、不動産登記(権利、表示)を申請する際に法務局に提出するものです。そのうち、土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図は、誰でも閲覧、写しの交付請求ができることとされています。

改正前においては、前記図面以外の登記簿の附属書類の閲覧請求をするには、利害関係があることの要件が付されていました。利害関係の有無については、登記官の判断、解釈に委ねられていたために統一した手続がなされないなどの問題点がありました。

そこで、登記申請書及び添付書面の閲覧の請求の基準を明確化、合理化する観点から、令和5年4月1日からは、登記申請人以外の第三者が閲覧の請求をする場合には、「正当な理由があること」が必要となりました。つまり、正当な理由があるときは、登記官に対し、登記簿の附属書類の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができると改正されたのです。

なお、登記を申請した者は、「正当な理由」の有無にかかわらず、自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧を請求することができます。

正当な理由

登記申請人以外の第三者による閲覧の請求は、正当な理由がある場合に、正当な理由があると認められる部分に限って、することができます。

法務省の通達によれば、この「正当な理由がある」とは、請求人において登記簿の附属書類を閲覧することに理由があり、かつ、その理由に正当性があることをいう。具体的には、登記簿の附属書類中の個々の書類に含まれる情報の内容、重要度なども考慮しつつ、その閲覧が認められる程度の正当性があるかどうかを個別に判断することになる、とされています。

一般に正当な理由があると認められる場合

(1)登記簿の附属書類のうち請求人が作成した書類の閲覧を請求する場合には、「正当な理由がある」と認められます。ただし、同一文書について複数の作成名義人が存在する場合には、他の作成名義人の署名や押印等に係る部分については、別途「正当な理由がある」かどうかを判断する必要があるとされています。

(2)自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類を請求人が閲覧することを申請人が承諾した場合には、「正当な理由がある」と認められます。この場合の正当な理由を証する書面として、自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類を請求人が閲覧することを承諾したことを内容とする当該申請人作成に係る承諾書の提示及びその原本又はその写しの提出を求められます。

一般に正当な理由があるとは認められない場合

(1)他の法令等により交付等に係る手続が規定されている場合には原則として認められません。例えば、相続人調査を目的として戸籍謄本等の閲覧請求をする場合が挙げられます。ただし、戸籍謄本等が保存期間経過により廃棄され、附属書類の閲覧請求以外の手段によって戸籍内容等の確認ができないとき、官公署が公益目的で相続人調査を行うために必要なときなどは、例外として正当な理由が認められます。

(2)被害者等の現住所の閲覧制限措置がされている場合には、当該現住所が記載された部分については、当該被害者等が請求人となる場合を除き、「正当な理由がある」とは認められません。被害者等とは、DV、ストーカー、虐待などによる被害者を指します。

 

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