相続登記をすると不動産業者からDMが大量に届く理由

はじめに

相続登記等が完了すると、不動産業者等から相続不動産の所有者に対して、ダイレクトメールや電話、訪問等の手段で、売却等の勧誘がされている実態があることをご存知でしょうか。

登記申請を司法書士に依頼した場合には、司法書士が情報を漏洩しているのではないかと疑念を抱く方もいらっしゃるようです。決してそのようなことはないのですが、大量のダイレクトメールを不動産業者から送りつけられるのは非常に迷惑だと思います。

そこで、今回は何故そのようなことになるのかについて解説したいと思います。

不動産登記受付帳

不動産登記受付帳とは、登記が申請された際に受付年月日、受付番号、登記原因(相続、処分の制限に関する登記等)及び不動産の所在等が記録される帳簿のことです。

この受付帳は、行政機関情報公開法による開示の対象となっていて、その受付帳の写しを誰でも取得することが可能となっています。ただし、登記名義人の住所氏名は記載されていませんので、登記情報提供サービスを利用することによってそれらが判明します。

不動産の所在は一つしか記録されませんが、抹消済みを含めた共同担保目録を取得することで受付帳に載っていない不動産が判明することもあります。

名簿業者

受付帳の開示請求によって、地域別の最近相続登記が申請された不動産、差押え等の処分の制限に関する登記が申請された不動産等をリスト化してそれらを販売している名簿業者が存在しているようです。

相続登記であれば売却、リースバック等につき、処分の制限に関する登記であれば任意売却等の勧誘を目的とする営業活動が効率的に行えるというわけです。

抵当権設定登記であれば、最近は利上げ傾向の状態にありますので数は少ないと思いますが、金融機関にとっては抵当権設定者が借り換えの営業対象になり得るのです。

個人情報保護との関係

不動産登記簿は、DV被害者住所等の一部の例外を除いて公開されています。住所氏名だけでなく、離婚(財産分与)、破産、住宅ローンの有無まで知られてしまうのが現状です。

一方で、不動産登記制度には権利関係を公示する重要な役割を果たしている側面もありますので、個人情報保護との関係で両者の調和にも配慮していく必要がありそうです。

司法書士の見解

司法書士に対する直近のアンケート結果によると、不動産登記受付帳の情報公開については何らかの制限が必要であり、プライバシーに配慮する必要があるという意見が多く、情報公開はやむを得ない、プライバシーの名のもとに騒ぎ過ぎるという意見は少数でした。

 

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