登記識別情報通知書の取扱いについて

登記識別情報について

登記識別情報通知の下部には12桁の英数字が記載されています。パスワードのようなものです。つまり、登記識別情報通知の書面そのものが重要なのではなく、あくまでもそこに記載されている登記識別情報(12桁の英数字)が重要となります。

したがって、書面を手元に保管していても、登記識別情報を第三者に見られたり、コピーされたりすると、従来の権利証が盗まれたのと同様の危険があります。

登記識別情報が通知される場合

不動産登記法第21条

登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

 

申請人自らが登記名義人となる場合とは、売買、贈与、相続を原因とする所有権移転登記が代表的なものとして挙げられるでしょう。司法書士が申請人の代理人として登記申請をしたときには、代理人に通知されます。

対して、相続人の債権者が相続人に代位して相続登記を申請する場合には、登記識別情報は通知されません。この場合の申請人は債権者であって相続人ではありませんから、申請人自らが登記名義人となる場合に該当しません。

通知を希望しないことも可能ですが、登記識別情報の提供を要する登記を申請する際に、後述する事前通知や本人確認情報の提供等を利用することになります。

登記識別情報の失効の申出の制度

登記識別情報は、次の登記(売却や抵当権の設定等)をする際の申請人を確認するための資料として利用されるものですが、登記識別情報を紛失し、これが誰かに盗み見られた可能性がある場合などには、登記名義人又はその相続人その他の一般承継人の申出により、登記識別情報を失効させる制度が設けられていますので、必要があればこの制度を利用することもできます。

登記識別情報を提供することができない場合の代替措置

登記識別情報通知書の紛失等により、登記識別情報を提供することができない正当な理由があるときは、登記識別情報を提供することなく他の方法により申請ができることとされています。具体的には、登記識別情報による本人確認に代えて、登記所から登記名義人あてに、「事前通知」により本人であることの確認をすることになります。

この「事前通知」とは、登記識別情報を提供すべき登記名義人の住所地にあてて、本人限定受取郵便により、登記の申請があった旨及びその申請の内容が真実であるときは2週間以内にその旨の申出をすべき旨の通知をし、この通知に対して、2週間以内に申請に間違いがない旨の申出がされることをもって、本人からの申請であることを確認するというものです。

また、登記の申請を司法書士等の資格者に委任して行う場合には、「事前通知」の方法によらずに司法書士等の資格者が本人であることを確認した旨の書類 (「本人確認情報」)を提供する方法や公証人に同様の書類を作成してもらい、提供する方法もあります。

なお、事前通知の方法では手数料はかかりませんが、司法書士等に「本人確認情報」を作成してもらう場合には、そのための手数料がかかる場合もありますので、利用される場合は、あらかじめ確認をしておくのがよいでしょう。

最後に

登記識別情報は、不動産登記法の改正(平成17年3月7日施行)において設けられました。その後、平成20年7月頃までに全国の登記所のオンライン庁指定が完了しています。ですから、それ以降に作成された登記済証(権利証)は存在しないことになります。

私を含め、紙の権利証に馴染みがある方も多いと思いますが、登記識別情報通知書は従来の権利証に代わるものです。権利証と同様に厳重な管理をすることをお勧めして、本稿を終えます。

 

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