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譲渡制限株式の譲渡に係る承認手続
2つの方法
譲渡制限株式を譲渡するには、譲渡の際に株式会社の承認を受けなければなりません。承認を請求するには2つの方法があり、譲渡前に譲渡人(株主)が請求するものと譲渡後に譲受人(株式取得者)が請求するものです。
譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
第137条
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
以後、2つの請求を併せて譲渡等承認請求と呼ぶことにします。株主からの請求は単独ですることができますが、株式取得者からの請求は原則として株主と共同してしなければなりません。本当に株式の譲渡がなされたのかを担保するためです。
承認機関
譲渡等承認請求がされた場合の承認を決定する承認機関は、取締役会設置会社であれば取締役会、取締役会設置会社でなければ株主総会(普通決議)となります。
定款で承認機関を別途定めることもできますし、承認機関については会社法上の制限は設けられていませんので、代表取締役を承認機関とすることも可能とされています。
買取り請求
譲渡等承認請求の際には、あらかじめ株式会社が承認しないときは株式の買取りを請求することができます。株式会社が買い取ることもできますし、別に指定買取人に買い取らせることも可能です。
指定買取人の決定機関は譲渡等承認請求の承認機関と同じとなります。取締役会設置会社ではない株式会社においては、買取りに関する事項の決定及び指定買取人の指定は株主総会の特別決議で行う必要があります。
承認決定通知
承認機関が承認の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者に対し、当該決定の内容を通知しなければならないとされています。
対して、あらかじめ買取りの請求を受けた場合において、承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式を買い取らなければなりません。
買取りの通知
買取りの通知は、株式会社が買取る場合には株式会社が行い、指定買取人が買取る場合には指定買取人が行うこととされています。
譲渡等承認請求の際に買取りの請求をした譲渡等承認請求者は、買取りの通知を受けた後は、株式会社、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができます。