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長期投資に必要なこととは?狼狽売りしていませんか?
日経平均大暴落
2024年8月5日の東京株式市場は、米国の景気減速への懸念や円高の進行を受けて全面安の展開となり、日経平均株価の下落幅は4451.28円となり、かつてない急落となりました。世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデーの翌日につけた3836円を超えて過去最大の下落幅を記録しました。
下落率で見ると、今回は-12.40%、1987年は-14.90%となっていますので、過去2番目の下落率を記録したことになります。過去最大の下落といって不安を煽る記事ばかりが散見されましたが、下落率では過去2番目となるのですからそんなに大騒ぎする必要はありません。
また、翌日には過去最大の上昇幅を記録しています。上昇率は10.23%で、過去4番目の記録となりました。このように、2日間で下落・上昇幅の最高記録を更新することになったわけで、日々の株価に注視していると一喜一憂することになります。
鈴木金融担当大臣の発言
今回の株価の急落について、鈴木大臣は、NISAで新たに投資を始めた人などに対し、「株価下落などの市場変動が進む中にあっても、長期、積立、分散投資の重要性を考慮し、冷静に判断していただきたい」と述べました。
それの意味するところは、オルカン、S&P500などのインデックス投資をしているのなら、利確・損切りをするのではなく、長期的な視点に立って判断してくださいということなのだと思います。
投資以外に没頭できるものを見つける
日々の株価、為替に注視したり、証券口座に毎日ログインし、資産評価額を確認して一喜一憂することは長期投資をする妨げとなります。気になって仕方ないという方は、リスクを取り過ぎている可能性があります。リスク・非リスク資産の配分を見直す必要があるでしょう。
定年退職後に何もしないことは上記のようになりがちだと思いますので、仕事、ボランティア、趣味等の投資以外に没頭できるものを見つけることが解決策となるでしょう。
一括か積立か
まとまった資金がある場合に、それを一括または積立投資をするのか迷うことがあります。その場合の考えた方を私なりにまとめてみます。
先ず、どちらか迷っているのならば積立投資にした方が良いでしょう。迷うということは、今は高値だから一括投資は損だと感じる不安の表れに他なりません。どちらがより多くのリターンを得られるかは相場次第となりますが、過去のデータでは一括の方が勝率は高いようです。そのような理論よりも重視すべきなのは自身のメンタルです。
また、今回のような暴落時に買い増しをするタイミング投資も避けた方がいいと考えます。今が底値かどうかはわかりませんし、為替のこともあります。株価も為替も正確に予想することは専門家でさえすることはできないですし、長期運用を前提とするインデックス投資においては予想すること自体が無意味です。
リスク許容度は低めに見積もる
リスクを許容するからリターンを得られるのだと言われます。リスクを一切負いたくないのであればタンス預金するしかないですが、極端すぎますね。いずれにしても、自身の性格等も十分に考慮してリスク許容度は低めに見積もっておくとメンタルが安定すると思います。
リバランス以外何もしない
オルカン、S&P500等の投資信託、高配当株投資においては一度買ったらリバランス目的以外に売却しないことが最も重要なことではないでしょうか。
狼狽売り、買い増し等のタイミング投資をするものは機関投資家等の投資のプロと呼ばれる者達の養分となります。一般人が投資をするなら、「ほったらかし」が最強であることを肝に銘じましょう。
オルカン、S&P500への投資が否定されています!
投資のプロほど否定する
投資初心者はオルカンかS&P500に投資しておけば大丈夫というような風潮が見られます。このような風潮を危惧し、初心者の投資方針を否定したうえで警鐘を鳴らす記事が散見されます。多くの場合、執筆者は短期間で億単位の資産形成に成功した投資の上級者やプロと呼ばれる人です。
ただ、実際のところ個人投資家のほとんどが国外株式に投資しているわけではないようです。20代から40代の世代は国外株式への投資が多いようですが、50代以降の世代は国内株式に投資している割合が高いことが見て取れます(金融庁NISA口座の利用状況調査(令和6年3月末時点))。
いずれにしても、投資上級者、プロ達がオルカン、S&P500等の広く分散されたインデックス投資を否定する根拠に対して、反論したいと思います。
投資のスキルが身につかない
インデックス投資はほったらかし投資とも言われますので、投資の勉強をしないことは投資家のデメリットとなって投資のスキルが身につかないとの主張です。
そもそも、投資未経験者が投資をする理由は、インフレ対策や老後資金の確保を目的としている方が多いのではないでしょうか。投資家として成長しようなどとは考えていないですし、投資に時間を割いて市場平均以上のリターンを得られたとしても非常に効率は悪いです。
そんなことより、自己投資をして本業を頑張ったり、今の生活を充実したものにするほうが有意義だと思います。下手に投資スキルを身につけ、欲張ってよりハイリターンを求めて、個別株、FX、仮想通貨等に手を出すことのほうが怖いのではないでしょうか。
インデックスのスピード以上に資産が増えない
インデックス投資は市場平均のリターンしか得られないローリスクローリターンの投資方法であるとの主張です。
確かにオルカン、S&P500投資は個別株投資に比べればローリスクだとは思います。ただし、投資信託という枠の中では投資対象を株式100%とする金融商品となりますので、インデックスファンドの中でもハイリスクハイリターンなものではないかと考えています。
もし、市場平均以上のリターンを短中期で得たいのならば、アクティブファンド、個別株投資を自己責任でやればいいのではないでしょうか。
インデックス投資は長期運用することで効果を発揮するもので、短中期にリターンを得られるものではないということは、投資初心者として肝に銘じておく必要があるでしょう。
長期間の退屈さに人は耐えられない
長期間にわたる投資は多くの人にとって苦行であり、長続きしない。特に下げ相場で含み損を抱えながら黙々と積立を継続する退屈さに耐えることはできないとの主張です。
率直に仰る通りだと思いますし、それだけ投資で成功するのは難しいことなのでしょう。投資を趣味でするのなら、個別株でも何でもやればいいとは思いますが、やはりインデックス投資が一番合理的で再現性が高い手法ではないかと考えています。
よく言われていることですが、私のような投資アレルギーのある者は金融リテラシーを身につける努力を怠らないことが何よりも重要なのではないでしょうか。
アラカンがオルカン投資を始める理由
貯蓄する世代
私は投資をしたことがありません。元本が保証されないのですから、投資=(イコール)ギャンブルと決めつけていたのかもしれません。そのようなことから、せっせと貯蓄をしていたわけです。私と同世代の中には同じような方がいらっしゃるのではないでしょうか。
2024年3月、マイナス金利政策の解除によって、メガバンク3行は普通預金の金利を0.001%から0.02%へ引き上げました。その後、ゆうちょ銀行も足並みを揃える形で同率への引き上げをしています。
ゆうちょ銀行の金利がメガバンクより高かった時代は遥か昔のことで、今やどこに預けても金利の差がないことがわかります。ネット銀行の金利がやや高いとも言えますが、大差ないと言っていいでしょう。
インフレによる預貯金の目減り
我が国は借金まみれですが、国民の資産は約2,000兆円で、そのうち預貯金が約1,000兆円あると言われています。インフレによって預貯金が目減りすることを耳にする機会が増えていると感じます。老後2,000万円問題が話題になったことがありますが、今では4,000万円問題と言われているようです。
新NISA制度は、国が国民に対して資産運用を促し、老後資金は各自で準備をして下さいとのメッセージではないかと推測されることもありますが、強ち間違っているとも思えません。
ポジショントークに注意
以前の記事「50代以降のオルカン・S&P500に投資は有りなのか!?」において、SNSで投資(NISA)をする人の発信が増えていることに言及しました。
あなたが貯蓄から投資へとシフトするには、自発的に情報を仕入れて投資に関する知識を習得することがマストであると考えます。銀行、証券会社等で勧められたから、人気のYouTuberが投資していたからといって何となく始めることは、投資が失敗するリスクが高まります。
何故なら、投資商品を勧める場合、ポジショントークによるものが圧倒的に多いからです。YouTubeの動画を視聴する場合には、できるだけたくさんの配信者の動画を視聴することをお勧めします。
名著を読む
動画配信者の多くは、名著を読めと主張することが多いです。例えば、「敗者のゲーム」、「インデックス投資は勝者のゲーム」、「ウォール街のランダム・ウォーカー」等です。これらの本に記載されている図表やデータなどを引用することも多いです。
本については、どれか1冊を繰り返し読むことが良いと思います。対して、YouTubeはたくさんの配信者の動画を視聴することで特定の人を妄信することを避けられます。
名著を繰り返し読むことにより、投資で失敗しない可能性が一番高いのは、インデックス投資であることがよくわかるでしょう。
オルカン、S&P500のどちらにするか
どちらにするかは非常に迷いました。最終的にオルカンにしたのですが、名著で触れられているインデックス投資に近いのはオルカンの方ではないかというのが主な理由です。
ただ、迷う最大の要因はオルカン、S&P500のリスク(標準偏差)はほぼ同じであるにもかかわらず、リターンはS&P500の方が高いことです。したがって、シャープレシオも高い値となります。また、アラカンが投資を始めた場合、投資期間は長くても20年位であり、米国一強の情勢は変わらないであろうともよく言われています。
確かにそうなのですが、もし私が運用中に亡くなったときには子供が相続することになります。NISA口座の名義人が亡くなった場合、相続人は特定口座で承継することが可能です。つまり、子供への相続を視野に入れますと、オルカンの方が長期で持ち続けることができると考えたわけです。
人によっては、S&P500、オルカンとS&P500の両方という方もいらっしゃいます。長期運用ができると思うものに決めることが一番重要ではないでしょうか。実際、ほとんどの方が長期保有できずに僅か数年で売却しているのです。
株式投資の本質とは?インカムゲインorキャピタルゲイン?
株式の歴史
世界初の株式会社は17世紀のオランダで誕生しました。その後、18世紀にイギリスで株式会社に係る法整備がされ、イギリスが金融市場の中心地となりました。そして、第一次世界大戦の終結によって、19世紀からはアメリカが世界経済のリーダーとなるのです。
日本では、19世紀に初めての株式会社が設立され、東京・大阪に証券取引所が開設されています。ただ、日本における株式市場が活発化したのは20世紀の戦後以降となります。そこからバブル期までに時価総額世界第二位になるまでの急成長を遂げることとなるのです。
債券との違い
株式との比較対象として債券があります。債券とは、国や地方公共団体、企業などが投資家からお金を借り入れるために発行する有価証券のことです。国が発行するものが国債、企業が発行するものが社債となります。要するに借金なのですから、元金は返さなくてはなりませんし、利息も支払わなければなりません。
対して、株式は出資ですから会社側は社債と違って出資額を返す必要はありません。会社にしかメリットがないように感じられるかもしれませんが、株主は会社が利益を上げて配当してくれることを望んで出資します。出資する側は、ちゃんと利益を上げることのできる会社かどうか見極めることが通常です。
インカムゲイン
株式投資というと、売り買いを繰り返して利益獲得を目指すキャピタルゲインを主目的とするイメージを持たれる方が多いと思います。上述したように、近年の資本主義経済発展に多く寄与してきたのが株式制度ともいえます。
その上で私の株式制度に対する印象を述べますと、本質的な役割はインカムゲインを求める投資家と資金融通を求める会社との間でギブアンドテイクの関係を築くことではないかということです。
証券会社の思惑
株式投資をするには、証券会社で口座開設をしなければなりません。言うまでもなく、証券会社は手数料商売なのですから、キャピタルゲイン目当てに短中期に売買を繰り返す顧客は上客となります。
一方で、インカムゲイン目的の株式は購入後に長期間放置されますので、証券会社は利益が上がりません。裏を返せば顧客側にとっては口座管理コストが一切生じないこととなるのです。
ところで、最近の個人投資家は総合証券ではなく、ネット証券に口座開設をするようになっています。手数料の安さ、クレカ決済によるポイント獲得等の多くの恩恵を受けられるからです。口座数ランキングの1位と2位はSBI証券と楽天証券で、3位野村證券となっています。
インカム目当てのメリット
不労所得を得ることができるのが最大のメリットではないかと思います。病気や怪我で働くことができなくなったり、年金生活によって収入が減った場合の保険のような役割が期待できます。また、上述したように管理コストがかからないことも挙げることができます。
賃料収入を得ることができる不動産投資と比べて株式投資の利回りは劣ることが一般的ですが、不動産投資は投資というより不動産賃貸業という事業を立ち上げるようなものですので、単純に比較することはできないと考えます。
投資に時間をかける必要がなく、株価変動を気にする必要がないこともメリットとなります。個人投資家は本業で忙しいのが通常ですから、投資に時間を割くことは大きな負担となります。
毎年、必ず配当があるわけではありませんが、東証がPBR1倍割れ企業に対して改善を促すメスを入れたことで、増配を打ち出す企業が多くなるのではないかと期待されています。
デメリット
短期に利益を得ることができず、株価が下がれば含み損を抱えることになります。また、個別株への投資は必然的にハイリスクなものとなりますし、リスク許容度の範囲内、かつ資産配分を十分に検討したうえで投資するか否かの判断が求められます。
ただ、このことはキャピタル目的であっても同様ですから、インカム目的特有のものではありません。
50代以降のオルカン・S&P500に投資は有りなのか!?
SNSで話題に
2024年1月から新NISA制度がスタートし、つみたてと一般(成長投資枠)の併用が可能となり、年間投資枠及び非課税保有限度額の増額並びに非課税保有期間が無期限化されるといった変更がされました。
最近SNSで、旧NISAからオルカン・S&P500のインデックスファンドに積立投資をしている人の含み益がすごいことになっている、今すぐNISAを始めたほうが良いなどの情報発信が目に付きます。そこで、アラカン(50代後半)、投資初心者である私がNISAを始めるべきなのかについて思うままに書いてみました。
eMAXIS Slimシリーズ
オルカン・S&P500の中でも注目されているのが、三菱UFJアセットマネジメント株式会社が運用しているeMAXIS Slimシリーズです。同シリーズが人気の理由として、信託報酬等のコストの低さを挙げることができます。
2024年6月現在、日々の純資産額に対して年率0.05775%以内をかけた額となっています。また、受益者還元型信託報酬という仕組みを採用しており、このファンドの純資産総額が増えれば増えるほど、運用にかかるコストが安くなります。委託会社間での価格競争によって、今後まだ下がる可能性があります。
円安、S&P500最高値更新
上記2つの人気ファンドは為替ヘッジなしで運用されていますので、円安による恩恵を多く受けることができます。また、2024年6月現在、S&P500は最高値更新を継続しています。オルカンの米国株への投資割合は約60%ですので、S&P500の影響を大きく受けることになります。
よく言われていることですが、以上の2つが含み益を増やした要因だと思います。ですから、今後円高に転じたり、リーマンショックのようなことが起こると元本割れすることもあり得るでしょう。
余剰資金
よく、投資は余剰資金でやれと言われますが、全くその通りだと思います。間違っても年金を全て投資にまわすようなことは避けるべきでしょう。50代以降がつみたてNISAにより投資信託を始めるに当たって、重視しなければならないのは多くのリターンを求めないことです。
40代までであれば投資に失敗しても取り返すことはできますが、アラカン以降の年代は老後資金を枯渇させることに繋がってしまいます。余剰資金の有無については、口座に眠っている預貯金があるかどうかが判断材料となるでしょう。
低金利により、例え定期預金に入れても貰える利息はごく僅かです。したがって、投資(NISA)を始めるなら、そのような預貯金を資金にすることが良いのではないかと思います。
長期運用、積立投資
インデックスファンドへの投資で失敗しないためには、最低でも15年以上の長期運用が不可欠となります。一時的な暴落により損切りするようなことは絶対に避けなければなりません。
積立については損失リスクを抑えられると説明されることが多いですが、長期運用を前提とするならば一括投資をしても両者に大差はないと考えます。暴落時に成長投資枠で一括投資することも選択肢のひとつとなるでしょう。
チャートが気にならない金額で
最後に投資額を決めるに当たって、考慮すべきことを書いてみます。これは自分への言い聞かせでもあるのですが・・。
長期運用が必要なのですから、積立額はチャートが気にならない金額にすることをお勧めします。チャートが気になって眠れないようなら積立額を下げる必要があります。理想なのは、積立額を決めたら15年間ほったらかしにするということです。