Archive for the ‘不動産登記’ Category

未登記の増築部分を登記した場合の建物課税価格の算出方法

2022-02-07

はじめに

増築をしたが登記をしていないというのはよくあることです。登記の有無にかかわらず、固定資産税は現況(床面積等)に対して課されます。

増築時に建築確認申請をしますと、市町村がそれを知ることができますし、航空写真や定期的な現地巡回によっても増築を把握することができます。市町村は建物所有者から増築前後の図面の提示を求めることなどによって、課税床面積を算出します。

登記後に登記床面積>課税床面積となる問題

未登記増築部分の登記は土地家屋調査士が申請することが多いと思います。20年以上未登記であったなんてことはざらにあるのですが、完了後の登記簿謄本を司法書士が見ると頭を抱えることがあります。登記床面積が課税床面積を上回っている場合には、評価証明書をそのまま使うことができないからです。

この記事では、2つのケースを紹介して実際の課税価格の算出方法について触れていきます。

平成年月日不詳種類変更、増築の登記がされたケース

建物表題変更登記がされる前の表題部

所在 千葉県
種類 店舗居宅
構造 鉄筋コンクリート造
床面積 160.64㎡
平成2年3月新築

変更登記後の表題部

種類 居宅
床面積 170.65㎡

課税価格の算出

以下の計算は、令和2年度のものに基づいています。
令和3年4月1日以降の価格とは異なりますので、ご注意ください。


新築の併用住宅の課税価格は、土地家屋調査士が作成した床面積の内訳書を参考にして算出します。
例えば、上記の建物の内訳が
居宅 150㎡
店舗 10.64㎡
だとします。
新築建物課税標準価格認定基準表にしたがって計算します。
133,000円×150㎡+120,000円×10.64㎡=21,226,800円

ここからが本題です。平成年月日不詳変更、増築という登記がされたわけですから、新築直後に居宅への変更、平成31年4月30日(平成最後の日)増築したものとして計算していきます。

考え方としては、評価額が下がらない(最も高額となる)方法で計算をするわけです。

増築前の建物の評価額+増築部分の評価額
上記の計算式を基に経年減価補正率表を参考にして計算していきます。
133,000円×160.64㎡×0.3059(非木造、経過年数30年)+133,000円×(170.65-160.64)㎡×0.9579(経過年数1年)=7,810,871円

昭和58年月日不詳変更、増築の登記がされたケース

建物表題変更登記がされる前の表題部

所在 東京都
種類 居宅
構造 木造
※課税床面積 210.58㎡(評価証明書による。)

変更登記後の表題部

種類 居宅・車庫
構造 木・鉄骨造
床面積 219.89㎡

課税価格の算出

登記床面積>課税床面積となっていますので、前述のとおり評価証明書の価格は採用できません。また、居宅と車庫及び木造と鉄骨造の内訳がわかりません。そのような場合には前記ケースと同様の考え方によって高い方を採用して経年減価補正をします。

新築建物等課税標準価額認定基準表によれば、車庫より居宅の方が高く、木造より鉄骨造の方が高いので㎡単価は124,000円となります。

計算式
評価証明書記載の価格+124,000円×(219.89-210.58)㎡×0.2191(非木造、経過年数38年)

まとめ

未登記の増築部分を登記することによって現況と登記上の床面積が一致しない場合の計算方法について一部ご紹介しました。

登記床面積>課税床面積となる場合であっても、評価証明書の価格をそのまま使うケースもありますので、管轄法務局への事前相談は必須でしょう。

連帯債務者の相続、債務引受による抵当権変更登記について

2021-12-20

債務引受を遺産分割協議書に記載することの可否

賃貸マンション、アパートなどの事業用不動産を相続するときに被相続人の債務を相続することがあります。例えば、連帯債務者A・BのうちAが死亡してその子B・Cが相続人となって遺産分割をするケースで考えてみましょう。不動産の所有者はAとします。

Bが事業用不動産を相続することにする遺産分割をBC間ですることには全く問題ありません。ただ、Aの連帯債務については、相続人であるB・Cが法定相続分に応じた割合で相続します。Bは不動産の所有権だけでなくA死亡後の賃料を取得することとなります。対して、Cは連帯債務のみ相続することになるわけですから、両者に不公平感が生じるのです。

このような場合に、Cが相続した連帯債務をBが免責的に引き受けることがあります。要は、Aが生前営んでいた不動産賃貸業をBのみが引き継ぐということです。

被相続人の債務を相続人のうち誰が相続することになるかを遺産分割協議書に記載することは可能です。ただし、債権者に主張することはできません。主張することの可否は方向性の問題ですから、債権者が遺産分割の内容を承諾することはできます。

実務では免責的債務引受契約が必要となる

銀行などの債権者が、被相続人の債務を承継する相続人を定めた遺産分割協議に同意・承諾することは基本的にはありません。債権者の関心事はローンの返済がきちんとなされるかであって、本来B・Cの2名に対して請求できるものがBにしか請求できないことになるのはリスクでしかないからです。

債権者と引受人となる者との間の契約による場合の登記原因証明情報

免責的債務引受契約が三面契約でなされた場合には、今まで通り債務引受契約書を登記原因証明情報にすることが可能です。

三面契約ではなく、債権者と引受人となる者との間で債務引受契約がなされた場合に問題が生じます。上記設例の場合では、債権者とBとの間で免責的債務引受契約をしますと、債権者がCに対してその契約をした旨を通知した時に、その効力が生ずるとされています。

つまり、債務引受契約書のみでは登記原因証明情報として不足していることになります。通知したことを証する情報を提供する必要がありますし、また通知は到達しなければ効力が発生しません。契約書を登記原因証明情報にするには、併せて配達証明付内容証明郵便を提供することになると考えられます。

ただ、銀行などの債権者にそれを要求することは無理だと思いますので、司法書士が報告型の登記原因証明情報を作成するしかないでしょう。

以下に、登記の原因となる事実又は法律行為の記載例を掲げます。

(1)令和〇年〇月〇日、債権者○○及び連帯債務者Bは、上記〇記載の抵当権の被担保債権である○○に対する連帯債務について、Bが免責的に引き受ける旨の免責的債務引受契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
(2)同日、債権者○○は、連帯債務者Cに対し、本件契約を締結した旨の通知をし、同日、当該通知は到達した。
(3)本件契約にかかる債務は、令和△年△月△日連帯債務者Aから相続した連帯債務である。
(4)よって、令和〇年〇月〇日、上記〇記載の抵当権の連帯債務者はBに変更された。

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