闇バイトの重すぎる代償―栃木・上三川町強盗殺人事件から見える若者の危機

事件報道

栃木県上三川町で発生した強盗殺人事件は、社会に深い衝撃を与えた。会社役員宅に侵入した犯人らは、室内にいた富山英子さん(69)を刃物で刺すなどして殺害し、駆けつけた長男・次男にも重傷を負わせた。県警は実行役として16歳の男子高校生4人を逮捕し、さらに指示役とみられる20代夫婦も逮捕。逮捕者は計6人にのぼった。

背後には、SNSを通じて若者を勧誘する匿名・流動型犯罪グループ(匿流=とくりゅう)の存在が疑われている。この事件が示すのは、闇バイトが若者の身近な危険として急速に広がっているという現実だ。「高額報酬」「誰でもできる」といった甘い誘いに乗り、軽い気持ちで応募してしまう若者が増えている。しかし、その代償はあまりにも重い。

共謀しただけでも正犯になる

刑法60条は、複数人が共同して犯罪を実行した場合、全員を正犯として処罰すると定める。さらに共謀共同正犯という考え方により、実際に手を下していなくても、犯行計画に加わっただけで正犯と同じ責任を負う。

「運転しただけ」「見張りをしただけ」「指示を受けただけ」――こうした言い訳は通用しない。今回の事件でも、遠隔で指示を出していたとされる夫婦が実行役と同じ強盗殺人の正犯として扱われている。

強盗殺人は最も重い犯罪の一つ

刑法240条は、強盗が相手を負傷させた場合は無期または6年以上の拘禁刑、死亡させた場合は死刑または無期拘禁刑と定める。強盗殺人は、刑法の中でも最も重い犯罪の一つだ。

今回逮捕された高校生らは、16歳で十分に是非善悪を判断できる年齢であり、心神喪失等の他の責任阻却事由がない限り責任能力が否定される可能性は極めて低い。軽い気持ちで関わったとしても、死刑または無期拘禁刑という極めて重い刑罰の対象となり得る。

親の責任はどうなるのか

未成年者が罪を犯した場合、一般に民法714条に基づき、親が監督義務者として賠償責任を負うことがある。しかし、今回のように16歳で責任能力が認められる場合、714条の責任は原則として親には及ばない。

ただし、ここで終わりではない。最判昭和49年3月22日は、714条の責任が成立しない場合でも、親自身の監督義務違反が一般不法行為(民法709条)として成立し得ることを認めている。
つまり、

  • 子に責任能力がある
  • 714条の監督義務者責任は成立しない

→それでも、親の監督義務違反があれば709条で責任を問われ得る
という構造だ。

したがって、18歳未満の子を持つ親も、「自分には関係ない」とは言えない。場合によっては高額の損害賠償請求を受ける可能性がある。

若者へのメッセージ

SNSで「必ず稼げる」「高額収入」といった言葉を見ても、絶対に応募してはいけない。闇バイトは、あなたの人生を一瞬で破壊する。困っていることがあれば、家族、学校、行政窓口、専門家など、必ず相談できる場所がある。

闇バイトは、若者の不安や孤独につけ込む犯罪ビジネスだ。どうか一人で抱え込まず、助けを求めてほしい。今回の事件を、未来を守るための警鐘として受け止めたい。

 

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