このページの目次
金融庁の税制改正要望
2025年8月29日、金融庁は2026年度の税制改正要望の内容を公表しましたが、ポイントとなるNISAに関連する主なものは以下のとおりです。
NISAは現在18歳以上が利用できますが、今後それが全世代に開放されて使いやすくなる可能性があるのです。0歳から資産運用を始めることができれば、長期運用が容易となって資産形成に資することが期待されているようです。
- つみたて投資枠を未成年者にも拡大
- 対象商品の拡充
- スイッチング(投資商品の入れ替え)規制の緩和
贈与税
年間110万円までの贈与なら贈与税はかからないということをご存知の方は多いでしょう。言うまでもなく、つみたて枠をフルに使うと贈与税がかかります。じゃあ、毎年110万円に抑えてつみたてをすればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、事はそう単純ではありません。
贈与契約については後述しますが、仮に贈与が認められたとしても一定の期間にわたって一定額を繰り返し贈与する定期贈与に該当すると贈与税が課される可能性があるのです。
例えば、「毎年100万円を10年間に渡って贈与する」というような約束(契約)をした場合です。この場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束した年に「定期金に関する権利(10年間に渡り毎年100万円ずつの給付を受ける権利)」の贈与を受けたものとして1000万円から110万円を控除した残額に対して贈与税が課されます。
贈与契約
贈与は契約です。契約は当事者同士の意思表示が合致することで成立します。つまり、「あげます。」「もらいます。」の両方の意思表示が合致しなければならないのです。
意思表示をするためには、そのための能力を有していなければなりません。何歳になれば能力を有することになるかですが、一般的には10歳前後とされています。当然のことながら0歳児には「もらいます。」という意思表示はできません。
では、どうするか。親権者である父母が法定代理人として意思表示をすることができます。例えば、祖父が0歳の孫に贈与したい際には、祖父と孫の父母間で贈与契約を締結することによって目的を叶えることができるのです。
上述した全世代NISAが実現すれば、0歳でもNISA口座が開設できます。未成年者名義の口座は開設できますが、口座内において親や祖父母の資金で購入した金融商品を管理すると問題が生じます。
名義預金(口座)
名義預金とは、名義人と実質的な所有者が異なる預金のことを指します。具体的には、親や祖父母が子供や孫の名義で開設した口座に自分のお金を預ける行為などが含まれます。
例えば、未成年者名義のNISA口座に対して親や祖父母が勝手に入金を継続しても、贈与契約がされていなければ、実質的な所有者は入金をした者です。
名義預金は相続財産とみなされて相続税の課税対象となりますので注意が必要です。

司法書士の藤山晋三です。大阪府吹田市で生まれ育ち、現在は東京・三鷹市で司法書士事務所を開業しています。人生の大半を過ごした三鷹で、相続や借金問題など、個人のお客様の無料相談に対応しています。
「誰にも相談できずに困っていたが、本当にお世話になりました」といったお言葉をいただくこともあり、迅速な対応とお客様の不安を和らげることを心掛けています。趣味はドライブと温泉旅行で、娘と一緒に車の話をするのが楽しみです。甘いものが好きで、飲んだ後の締めはラーメンではなくデザート派です。
三鷹市をはじめ、東京近郊で相続や借金問題でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。