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はじめに
建物を新築、購入したときに所有権保存、移転登記を申請する際には登録免許税を納めなければなりません。その建物が住宅用家屋である場合には、新築住宅取得の際の負担を軽減するため、住宅用家屋の所有権の保存登記及び移転登記についての登録免許税の税率を軽減する制度が設けられています。さらに、長期優良住宅、低炭素住宅については一般住宅より低い税率が適用されます。
この特例制度の適用期限は令和6年3月31日となっていますが、3年間延長(令和9年3月31日まで)されることが予定されています。(令和6年度税制改正の大綱、令和5年12月22日閣議決定、二 資産課税、2 租税特別措置等(国税)〔延長・拡充等〕(5)~(8))
軽減税率 | 本則 | 一般住宅 | 長期優良住宅 | 低炭素住宅 | |
戸建 | マンション | ||||
所有権保存 | 0.4% | 0.15% | 0.1% | 0.1% | 0.1% |
所有権移転 | 2.0% | 0.3% | 0.2% | 0.1% | 0.1% |
長期優良住宅とは
長期優良住宅認定制度は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅の建築・維持保全に関する計画を「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するものです。「長期優良住宅」とは、大きく分けて以下1~5の5つの措置が講じられている住宅を指します。
1.長期に使用するための構造及び設備を有していること
2.居住環境等への配慮を行っていること
3.一定面積以上の住戸面積を有していること
4.維持保全の期間、方法を定めていること
5.自然災害への配慮を行っていること
認定申請は着工前までに行う必要があり、先ずは登録住宅性能評価機関へ長期使用構造等であるかの確認を申請し、確認書等の交付を受けます。その後、所管行政庁に対し、認定申請をして認定通知書の交付を受けます。この認定通知書は、長期優良住宅として住宅用家屋証明書の交付を受けるために必要となります。
登録免許税の税率引き下げ以外のメリットとして、地域型住宅グリーン化事業の補助金受給、住宅ローンの金利引き下げ、住宅ローン減税の控除対象限度額の引き上げ、不動産取得税の課税標準からの控除額の増額、固定資産税の減税措置適用期間の延長、地震保険料の割引等があります。
低炭素住宅とは
都市機能の集約やそれと連携した公共交通機関の利用促進、建築物の低炭素化等の施策を講じることにより、地域における成功事例を蓄積し、その普及を図ることを目的として「都市の低炭素化の促進に関する法律」が制定され、平成24年12月に施行されました。その法律で定める低炭素住宅とは、建築物における生活や活動に伴って発生する二酸化炭素を抑制するための低炭素化に資する措置が講じられている、市街化区域等内に建築される住宅を指します。
以下の1~3のすべてを満たす建築物について、所管行政庁(都道府県、市または区)に認定申請を行うことにより、低炭素住宅としての認定を受けることが可能です。
1.省エネ基準を超える省エネ性能を持つこと。かつ低炭素化に資する措置を講じていること
2.都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針に照らし合わせて適切であること
3.資金計画が適切なものであること
認定申請は着工前に行う必要があり、先ずは審査機関に事前の技術的審査を依頼して適合証の交付を受けます。その後、所管行政庁に対し、適合証を添付のうえ認定申請書を提出して認定証の交付を受けます。
まとめ
長期優良住宅、低炭素住宅として登録免許税の税率引き下げを受けるためには、当該住宅が、認定住宅であることを証明した「住宅用家屋証明書」を当該住宅所在地の市町村役場に発行してもらうことが必要です。
司法書士が登記申請を代理人として行う場合には、建築主または売主に対して、登記申請を行う住宅が長期優良住宅または低炭素住宅に該当するかを確認させていただきます。ご理解、ご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。