解散した法人の担保権に関する登記の抹消(令和5年4月1日施行)

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はじめに

形骸化した登記(休眠登記)の抹消手続の簡略化に関する改正のうち、今回は解散した法人の担保権に関する登記の抹消について触れていきます。

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができると定められています。この適用対象となる所在が知れない者として、登記義務者である登記名義人のほか、その相続人その他の一般承継人が該当します。

そのうえで、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定を得ることにより、登記権利者は、単独で登記の抹消を申請することができます。さらに、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したとき、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも同様に単独申請が可能です。

要件

不動産登記法第70条の2

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

 

条文から要件を抜き出すと、①共同して登記(先取特権、質権又は抵当権に関する登記)の抹消の申請をすべき法人が解散していること。②不動産登記法第70条第2項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないこと。③被担保債権の弁済期から30年を経過したとき。④法人の解散の日から30年を経過したとき、となります。

なお、共同して登記の抹消の申請をすべき法人の清算人が死亡していることが判明した場合には、「法人の清算人の所在が判明しない」場合に該当します。

添付情報

(1)被担保債権の弁済期を証する情報
金銭消費貸借契約証書、弁済猶予証書、債権の弁済期の記載がある不動産の閉鎖登記簿謄本等が該当します。

(2)共同して登記の抹消の申請をすべき法人の解散の日を証する情報
共同して登記の抹消の申請をすべき法人の登記事項証明書等

(3)法第七十条第二項に規定する方法により調査を行ってもなお(2)の法人の清算人の所在が判明しないことを証する情報

ⅰ 登記義務者の登記事項証明書の交付請求をし、登記義務者が合併により解散していることが判明した場合には、登記義務者の合併後存続し、又は合併により設立された法人について登記事項証明書の交付請求をします。

ⅱ ⅰにより、法人の登記簿に共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者(共同して登記の抹消の申請をすべき者が合併以外の事由により解散した法人である場合には、その清算人又は破産管財人。以下同じです )として登記されている者が判明した場合には、当該代表者の調査として当該代表者の住民票の写し、戸籍の附票等の交付請求をします。それらが取得できない場合には、不在住証明書や不在籍証明書等を取得します。

ⅲ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法により、登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛てて書面を送付します。(ⅰの措置により登記義務者が合併により解散していること及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除きます )

ⅳ ⅰ及びⅱの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者が判明した場合には、当該代表者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法により、共同して登記の抹消の申請をすべき者の法人の登記簿上の代表者の住所に宛てて書面を送付します。

上記ⅰ~ⅳの結果を記載した報告書の添付が求められます。

 

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