マンションの底地に残っていた仮登記担保(所有権移転請求権仮登記)の抹消

敷地権化されたマンション

新しいマンションでは土地の敷地権化がほぼされていますが、古いマンションでは分譲時に敷地権化されていなかったものが、後に敷地権化されることがあります。専有部分の表題部や、所有権保存登記に原因の記載があるか否かを確認することで判明します。

後に敷地権化されたマンションを信託することになったのですが、その時は漠然と土地の権利証が要るから注意しないといけないなあと思った程度でした。

土地の登記情報を取ってみたら

決済ではありませんが、権利証の受付番号の照合をしなければなりませんので土地の登記情報を取得したところ、土地の共有持分を目的とした仮登記担保(何某持分全部移転請求権仮登記)が残っていました。

後でわかったことですが、マンション購入時に融資をした債権者が抵当権設定だけでなく、仮登記担保(所有権移転請求権仮登記)と停止条件付賃借権設定仮登記をしたようです。

なぜ残ってしまったのか?

区分建物の登記記録には、甲区の所有権保存登記以外何もありません。つまり、移記前に抹消登記が申請され、区分建物については仮登記担保、抵当権及び賃借権仮登記が全て抹消されたのです。ローンは完済したということですね。

土地の共有持分に設定された抵当権は、敷地権化する時に受付番号が同じものについては登記官の職権で抹消されます。ただ、仮登記担保については抵当権のような規定が適用されませんので土地には残ることになります。

司法書士が抹消登記を申請したのかは不明ですが、不動産の表示に敷地権の表示を記載してしまったのが原因かと思います。

このマンションは売れるのか?

土地だけに仮登記担保が残った状態で売ることはできるでしょうか?仮登記の本登記をすることは分離処分禁止の規定に抵触しますのでできませんし、そもそもローンは完済しているわけですから本登記がされることもないでしょう。

だからといって、放置するわけにはいかないですよね。仮登記担保は所有権の仮登記ですが、債権担保を目的としているわけで、その意味では何ら抵当権と変わりないのです。

抹消書類は司法書士が作成!?

売れない状態で信託することはできませんので、仮登記名義人に連絡を取って仮登記抹消に着手することにしました。仮登記名義人には非常に丁寧にご対応いただきましたが、「抹消に必要な書類は司法書士が作成してください。そのうえで代表者が押印します。」と言われました。

仮登記担保の抹消なんて、登記原因証明情報のない頃の昔にやったきりだし、頭を悩ませてしまうことになったのです。需要があるかはわかりませんが、登記原因証明情報としての放棄証書と仮登記の登記上の利害関係人から単独申請する場合の承諾書の主要な部分の文例を掲げて、この記事の結びとしたいと思います。

・放棄証書
〇〇(地方)法務局○○支局・出張所 ○○年○○月○○日受付第○○号をもって登記された後記物件に対する所有権移転請求権を、○○年○○月○○日放棄致しました。

・承諾書
〇〇(地方)法務局○○支局・出張所 ○○年○○月○○日受付第○○号をもって登記された後記物件に対する所有権移転請求権を、○○年○○月○○日放棄致しましたので、貴殿において所有権移転請求権仮登記の抹消登記の申請をされることを承諾します。

 

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