このページの目次
自己破産とは
債務者が裁判所に対して破産手続開始の申立をして、債務を免除してもらう手続きです。
破産の手続きには、破産手続きと免責手続きがあります。破産手続開始決定がされると、債務者の財産は破産管財人によって換価されて、債権者の平等を害することなく債権額に応じた按分により債権者に配当することになります。
それが破産手続きです。
ただ、実際には債務者に換価できるような財産がなく配当がされない同時廃止事件が多数を占めています。
したがって、支払不能になった人の債務を免責することを目的とした免責手続きを自己破産の手続きといってもよいでしょう。
自己破産の注意点
債権者の平等を害してはいけない
債権者平等の原則というものがあります。
自己破産に限らず、債務整理(借金整理)をする際には、全ての債権者を平等に扱わなければならないとする原則です。
債権者Aが200万円、債権者Bが100万円の債権を持っており、債務者の財産が15万円しかないといった場合の債権者への返済額はA:10万円、B:5万円となります。
これが上述した債権額に応じた按分です。友人知人からの借金だけを全額返済するようなことはできないのです。
生活の再建が最終目的である
自己破産により借金がゼロになったからといってそれで終わりではありません。
借金を多く抱えてしまい支払不能になった原因をつきとめて、それを除去し改善するためにはどうしたらよいのかを当事務所に来られる依頼者の方と一緒に考えていくスタンスが重要であると考えています。
自己破産のデメリット
ブラックリストに載る
自己破産をすると、クレジットカードやローン審査の際に銀行などからの請求に応じて信用情報を開示する信用情報機関に事故情報が登録されます。
したがって、5~10年程度の間クレジットカードやローンの利用ができません。実際には、借金の滞納をすることにより既にブラックリストに載ってしまっていることが多いです。
就ける職業が制限される
警備員、保険の外交員などの職業に就くことができなくなります。
ただし、破産手続開始決定から免責許可決定までの破産者である期間に限られます。具体的には3~6ヶ月程度の期間となります。
官報に名前が載る
官報とは国が発行する新聞のようなものです。
インターネットで官報を無料で見ることもできますが、過去のもの全てではなく期間が制限されており、制限を超えたものの閲覧は有料となっています。一般の方が見ることはほとんどないと思いますが、官報に住所・氏名などが掲載される以上、自己破産を誰にも知られることはないとは断言できません。
注意点として、闇金業者などが官報をチェックして破産者を狙って融資勧誘のダイレクトメールを送ってくることがあります。
自己破産のよくある誤解
戸籍に記載される
戸籍に記載されることはありません。
免責不許可になった場合のみ、裁判所から本籍地の市町村役場の戸籍に関する事務をつかさどる者に対する通知により、破産者名簿に載せる取扱いがなされていますが、破産者名簿は戸籍とは全く別物であり、第三者が閲覧することはできません。
選挙権がなくなる
選挙権がなくなることはありませんし、選挙に立候補する被選挙権もなくなることはありません。
当選すれば議員などの公職に就くことも可能です。自己破産により、国民に等しく与えられる権利である公民権が奪われることはないのです。
自己破産で免責されない債務
自己破産により全ての債務が免除されるわけではありません。
このような免責許可の決定があっても例外的に免責されないもの(非免責債権といいます。)が次のとおり定められています。
- 税金、社会保険料等の支払
(租税等の請求権) - 破産者が悪意(積極的な害意を持っての意味)で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- 婚姻費用、養育費の請求権
- 雇用関係に基づいて生じた使用人の給料支払等の請求権
- 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
(債権者名簿作成時に債権の存在を失念しており、そのことについて破産者に過失がある場合を含みます。) - 罰金等の請求権