このページの目次
なぜ予防が大切なのか
「【2022年5月22日】
【株式会社ベネッセスタイルケア】により
【脳卒中は予防できる】
というオンライン医療セミナーが開催されました。」
脳卒中には、血管が詰まることによる脳梗塞と破れることによる脳出血の2つのタイプがあります。以前の記事「認知症の人の支えとなる認知症サポーターとは?」において、脳血管疾患が認知症の原因となることをご紹介しました。
脳卒中はガン、心疾患に次いで日本人の死因の上位を占めています。命を取り留めた場合、後遺症により体に麻痺が残って重度の要介護となっても、判断能力を有している限り、成年後見制度が機能することはありません。
判断能力が不十分な人を守る制度であって、身体的能力の有無とは無関係だからです。しかしながら、脳がダメージを受ける以上、その部位によっては判断能力が不十分になってしまうケースもあり得ます。
世の中には、ぽっくり死やピンピンコロリといった家族の介護や成年後見制度に頼らずに人生を終えたいと望む方がいらっしゃると思います。寝たきりになってしまう原因の約3割が脳卒中であり、認知症によるものと合わせると約6割となります。
脳卒中により寝たきりになってしまうと本人のみならず、家族の負担が非常に大きくなってしまいます。言うまでもなく負担とは介護だけではなく、成年後見制度を利用しなければならないことを含んでいます。
動脈硬化が脳梗塞の原因とは限らない
高血圧等により脳の血管が動脈硬化で狭くなって起きる脳梗塞があります。ラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞と呼ばれるものですが、それらが全てではありません。
心房細動等の心疾患を要因として、心臓や大動脈にできた血栓が脳に流れて血管に詰まって起きる心原性脳塞栓症も脳梗塞に分類されます。
一過性脳虚血発作を見過ごしてはいけない
一過性脳虚血発作(以下、「TIA」といいます。)とは、一時的に脳に血流が流れなくなり、神経脱落症状が現れる発作をいいます。本格的な脳梗塞の前触れとなるもので、TIAを起こすと48時間以内に脳梗塞を発症することもあります。脳梗塞と同様の症状が短時間続いて自然に消失するのが特徴です。
顔がゆがむ、片方の手足があがらない、ろれつが回らないなどの症状が現れますが、持続時間はほとんどの場合30分以内です。すぐに脳神経内科の専門医に受診するようにし、決して放置してはいけません。
定期健診が重要
高血圧は脳卒中の発症率を高め、最も重要な危険因子です。生活習慣の改善も大切なのでしょうが、薬物治療に頼らざるを得ないところもあると思います。患者を診察しているドクター自身が降圧剤を服用していることなどをよく耳にしますし、服薬している人の多いことがうかがえます。
不整脈が原因の心原性脳塞栓症は、他のタイプの脳梗塞よりも重篤な後遺症を残すことが多いようです。他には、糖尿病、高コレステロール、喫煙、過度な飲酒、運動不足、肥満等のメタボリックシンドロームが原因となります。
これらは、定期健診で心電図、血液検査等によって判明しますし、対策を講じることができます。それに基づいて生活習慣の改善・薬物治療を怠りなく実践していくことが脳卒中を予防することにつながるのではないでしょうか。