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自己破産した場合の職業制限
債務整理のうち特定調停、任意整理、個人再生であれば仕事に直接的な影響はありません。
自己破産の場合には職業制限があり、破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの間(数ヶ月間)特定の職業に就けなくなります。その職業は、警備員、生命保険外交員、宅地建物取引士、弁護士、司法書士などです。
自己破産が終わって免責許可決定が確定しますと職業制限は解除されますので、再就職、資格登録ができることになります。
取立て・督促が職場にされることも
貸金業者は正当な理由がないのに、職場に電話、ファックス、訪問をして取立て・督促をしてはならないことになっています。
正当な理由があれば取立て・督促が許されると解釈することもできますが、自宅への郵便物の送付、携帯番号への電話などによっても債務者と連絡が取れず、全くアクションがないようなケースにおいては、正当な理由があると判断されることが考えられます。
債務整理をしても解雇はされません
会社は、従業員が債務整理したことのみを理由として解雇することはできないことになっています。
また、債務整理をしたことを会社に告知する義務もありませんし、自ら退職する必要もないのです。
個人再生・自己破産特有の影響
官報公告
個人再生・自己破産の場合には、官報に住所・氏名などが掲載されます。インターネットで官報を無料で見ることもできますが、過去のもの全てではなく期間が制限されており、制限を超えたものの閲覧は有料となっています。
一般の方が見ることはほとんどないと思いますが、会社に知られる可能性が全くないとは言えません。
会社からの借入れがあるとき
会社を債権者として手続きを進めていくことから、会社には知られてしまうことになります。
ちなみに、任意整理では会社に対する借金を債務整理の対象から外すことが可能です。
退職金の証明書
個人再生の場合、退職金支給見込額の8分の1を清算価値として計上しなければなりません。
清算価値とは、個人再生の再生計画における弁済率が、自己破産における場合の配当率以上でなければならないという基準です。要するに、自己破産する場合よりも多くの額を返済することが個人再生では求められているのです。
自己破産の場合、退職金支給見込額の8分の1(20万円以下である場合を除きます。)が換価処分の対象となります。どちらの場合も退職金の支給見込額(ない場合はその旨)の証明書を会社に発行してもらう必要があります。
裁判所を介する手続き
個人再生と自己破産は裁判所を介して行う手続きなので、裁判所に行く必要があります。
平日に休まなければなりませんので、休む言い訳を考える必要がでてきます。
早期に相談することが重要
受任通知の送付
上述したように貸金業者からの取立て・督促を無視していると、職場に対してそれがなされるかもしれません。
早期に司法書士、弁護士などの専門家に相談することが仕事に影響しないように債務整理をするための方法となります。債務整理依頼後、債権者に対して受任通知を送付することにより、取立て・督促はストップします。
給料が差し押さえられることも
最も避けたい事態ですが、誰にも相談せずに放置すると給料が差し押さえられます。裁判所から会社に対して、書類を送付しますので確実に会社に知られてしまいます。
会社は以後、給料を債務者(債務整理をする従業員)に支払うことが禁止され、直接に貸金業者から給料を取り立てられることになります。また、複数の業者から差押えがされますと、会社が給料を供託しなければならない事態も生じ得ます。
供託とは、金銭、有価証券などを国家機関である供託所に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人(業者)に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度です。ここまでいくと、会社の従業員に対する印象がかなり悪くなりますし、仕事に影響しないわけがありません。
繰り返しになりますが、相談する時期が早ければ早いほど事態の悪化を防ぐことができますので、お気軽に当事務所にお問い合わせください。